センス不要で、インテリアスタイリングを美しく仕上げる「レイアウト」のセオリー前編をご紹介します。
https://www.receno.com/pen/vasestyling/u4/2024-08-09.phpセンスのいらないインテリア【スタイリング編】|美しいレイアウトの基礎知識(後編)
さて「美しいレイアウトの基礎知識(後編)」として
シーンごとに、より実践的なレイアウトの対処方法を
ご紹介していきます。
こちらの記事は、<前編>よりの続きの内容となります
ので、未読の方はそちらを先にお読みください。
それでは、はじめましょう。
シーン別レイアウトのポイントと実例
さて、前編では、レイアウトの基本として押さえておく
べきポイントを紐解いてきました。
ここからはお部屋の主要なシーンごとのレイアウトの
実践ポイントを実例とともに見ていきましょう。
1.「入口から見える場所」のレイアウト実践
入口のドアを開けて、まず目に飛び込んでくるのは、
ドアの正面の景色でしょう。
間取りによって、目線の先が壁であったり、窓であった
りと千差万別だと思います。
ここでは、それぞれのパターンに応じたレイアウトの
ポイントを解説していきます。
目線の先が壁の場合
入口から入った正面が壁の場合は、その場所は分かり
やすく、作りやすいフォーカルポイントです。
窓と窓の間の狭い壁であったりと、置けるアイテムは
限定されることが多いですが、壁の幅にあったアイテ
ムを選んで、スタイリングをしましょう。
小ぶりな収納家具をステージにして、その中や棚上に
ポイントスタイリングを施すことで、美しいフォーカ
ルポイントに仕上がります。
目線の先が窓の場合
入口から入った正面の全面すべてが窓ということも
あると思います。
外の景色が美しい場合は「借景(しゃっけい)」と言
って、外の景色をアートのようなイメージで借りると
いうのが一番です。
一方、窓の外がすぐに隣家があったり、良い景色では
ない場合も多いでしょう。
ただ、窓の前ですから、フォーカルポイントとして
家具をレイアウトすることもできません。
そのような場合は、天然素材のカーテンなどで、外の
景色を隠していても、柔らかな光を取り入れながら、
美しく感じる様にしましょう。
また、それと同時に「目線の先の手前の空間」を
うまく活用します。
たとえば、天井から植物を吊ったり、モビールを吊った
りすることで、目の留まりどころをうまく演出します。
アートを掛けたり、ディスプレイができない分を、天井
から吊るすというアイデアで代用するというわけです。
シンプルなテクニックですが、味気のない目線の先が
ぐんと魅力をアップできます。
入口から見える場所 レイアウト事例
参考画像
サイドボードでフォーカルポイントを作る
ミニサイドボードと照明・植物でフォーカルポイントを作る
大型植物や照明で窓回りを装飾する
大型植物と丸みのあるチェアで窓回りを装飾する
アートやスツール、吊るす植物で窓回りを装飾する
2.「ダイニング」のレイアウト実践
続いては、ダイニングシーンのレイアウトです。
ダイニングは、食事と関係していることもあり、
朝・昼・夜を通して、もっとも滞在時間の長い空間
のひとつです。
レイアウトのポイントをしっかりと抑えましょう。
ダイニングには、美しいサイドボードを
ダイニングは、フォーカルポイントとして「見心地」
に大きな印象を与えます。
また「片づけやすさ」という点においても、非常に
散らかりがちなポイントです。
ですから「見心地」「使い心地」の両面の利便性を
考えて、ダイニングの横には、美しいサイドボード
をレイアウトしましょう。
サイドボードをステージとして、棚上をディスプレイ
することで、ダイニングの印象はとても良くなります。
また、散らかりがちな日用品の帰る場所が近くにある
ことで、片づけやすくなります。
お部屋の角には、植物やフロアライトを
ダイニングに限りませんが、お部屋の角にインテリア
をレイアウトするのは、見心地をとても良くする効果
があります。
なので、ダイニング横の角には、植物やフロアライト
などをレイアウトしましょう。
特に入口側から見える「対角線の角」は、お部屋全体
に影響を与えやすいので、しっかりとレイアウトする
ようにします。
動線を考えて向きを決める
(上)縦置き/(下)横置き
使い心地の観点でのレイアウトも紐解きましょう。
ダイニングは立ったり座ったりと、人が頻繁に行き来
する場所でもあります。
前述のとおり、動線側の通路は「1m以上」とれるよう
にレイアウトをしましょう。
60cmを確保できるようであれば、中央に配置するの
がおすすめです。
ダイニングに広さがなく、それぞれのチェアの後ろに
60cm以上を確保できないようであれば、キッチンか
もしくは壁側のどちらかに付ける様にして、通路幅を
確保します。
この場合、ダイニングは90度回した状態になり、上の
図であれば、チェアの後ろ姿が、リビング側を向くこ
とになります。
背中のデザインが美しいYチェア
「チェアの顔は、後ろ姿」と言われる様に、後ろ姿が
見えるように美しいチェアを配置することでダイニン
グの印象が良くなることがあります。
この要件は「絶対重要」というわけではありませんが、
背中が見えるように配置できるような間取りであれば、
そのようなレイアウトも検討してみると良いでしょう。
ペンダントライトは、ダイニングの中央に吊るす
「天井照明のコンセント位置が、思った場所にない」
ということで、ダイニングのレイアウトが思うように
できないというお声もあります。
また、テーブルの中央からずれた位置に、ペンダントラ
イトを吊るしている方もいらっしゃいますが、これは
あまり美しくありません。
これも解決は簡単です。
天井に簡単に付けられるフックが、安価で売っている
ので、それを付けることで、天井照明の位置は簡単に
変えられます。
ペンダントライトは、ダイニングテーブルのちょうど
真ん中の位置にあるときれいです。
ダイニングテーブルのレイアウトを好きな場所に決め、
その中央にペンダントライトを落とせるようにフック
で吊り下げて、場所を調整しましょう。
これも簡単で、効果の高いテクニックです。
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ダイニングのレイアウトのポイントは以上です。
特段難しいポイントはなく、
- ダイニングには、美しいサイドボードを
- お部屋の角には、植物やフロアライトを
- 動線を考えて向きを決める
- ペンダントライトは、ダイニングの中央に吊るす
といったところが大事なポイントです。
飾り方や、飾るためのアイテム選びは、以下をご参照ください。
センスのいらないインテリア|ポイントスタイリング編
ダイニング レイアウト事例
参考画像
サイドボードを装飾する
サイドボードを装飾する/角にフロアライトを置く
トールシェルフを装飾する/ペンダントを中央に/角に植物を置く
ペンダントライトをダイニングの中央に
ペンダントライトをダイニングの中央に/角に植物を置く
3.「リビング」のレイアウト実践
さて続いては、ダイニングと同様に重要な「リビング」
のレイアウトについて紐解いていきましょう。
リビングレイアウトで重要なのは、ソファーとテレビ
の配置方法です。
(上)ソファーを中央置き/(下)ソファーを壁置き
ソファーは特に大きな家具なので、配置する「向き」に
よって、お部屋を広く感じさせたり、ゾーニングの効果
を与えたりしてくれます。
リビングでは特に「レイアウトの向き」について、
詳しく紐解いていきましょう。
ソファーを中央に置くと、ゾーニング効果
ソファーを壁付けせずに、リビングとダイニングの間に
置くと、ソファーが間仕切りの役割を担います。
このように配置することで、リビングとダイニングの
区分けがはっきりとして、リラックス感が向上したり
ダイニングからテレビを見やすいというメリットが生
まれます。
- ダイニング = 動の場所 = 用事をテキパキ
- リビング = 静の場所 = ゆっくり過ごす
という目的がはっきりします。
広いリビングであれば、ダイニングとリビングをしっ
かりと「ゾーニング」する事で、リビングに「こもり
感」が生まれ、リラックス感がアップするのです。
ただ、一方で、ソファーが間仕切りの役割を果たす為、
LDKの空間を2つに区切ることになり、空間が狭く感じ
てしまうというデメリットも生まれます。
このレイアウト方法は、小さめのLDKよりも、広めの
LDKにおすすめのレイアウトと言えます。
ソファーを壁際に置くと、お部屋が広く見える
LDKを広く感じさせたいのであれば、さきほどのレイア
ウトとは異なり、ソファー壁沿いに付けて置くように
しましょう。
そうすることで、LDKを仕切りのない1つの大きな空間
として捉えることでき、広く感じる効果があります。
間に遮るものがないため、お部屋の長手方向を強調する
ことができ、広く感じさせる効果があります。
小さめのLDKにお住まいの場合は、特に効果が高い配置
方法なので、レイアウトの際にはこちらを選ぶことを
おすすめします。
ただ、
「小さめのLDKだけど、どうしてもダイニングから
テレビを見やすくしたい.......」
という方もいらっしゃるでしょう。
その際には「全高の低いソファー」を選ぶのも、
良い手です。
全高の低いソファーは、間仕切りの効果が低いため、
リビングとダイニングの間にレイアウトしても、比較
的お部屋を広く感じさせることができます。
テレビの存在感を減らす
また、リビングの先の壁には、テレビを配置している
ことも多いでしょう。
その際には、フォーカルポイントとして意識すべき場所
に「黒い箱」が、どーんと居座ってしまいます。
テレビ番組や映画を見るのは楽しいですが、お部屋を美
しくする「見心地」の観点では、テレビはあまり歓迎す
べきものではありませんね。
こんな「テレビはインテリアとして美しくない問題」
に対して、レイアウトでやわらげる方法があります。
それは「テレビの左右に、注目を逸らす」という方法です。
やり方は、とても簡単。
テレビの左右に「植物」や「フロアライト」など目線
の高さに来るような大きめなインテリアアイテムを置
きます。
ダイニングの角でやった方法と一緒です。
そうすることで、テレビだけが置かれているよりも、
左右に目線が逸らされることで、テレビの存在感を
弱めることができます。
また、さらにはテレビボードの左右にアートを置いたり、
ディスプレイを施すことで、さらにテレビ自体に目線が
いきづらくすることができます。
リビングのフォーカルポイントを考えるレイアウトは、
テレビの印象をどのようにコントロールするかが印象
の分かれ目となるのです。
美しい名作チェアを置くのも、良いアイデアです。
テレビの印象をやわらげる為には、左右に目を惹くアイ
テムを追加するということを覚えておきましょう。
テレビまでの距離は、画面の縦幅の3倍が最適
ベストな距離=テレビの縦幅×3
また、リビングのレイアウトのヒントになる数字を
ひとつご紹介しておきましょう。
テレビまでの最適な資料距離は「テレビの高さの3倍」
が適切とされています。
テレビサイズ | 画面の縦幅 | 最適な視聴距離 |
24V型 | 30cm | 0.9m |
32V型 | 40cm | 1.2m |
43V型 | 54cm | 1.6m |
55V型 | 69cm | 2.1m |
65V型 | 81cm | 2.4m |
レイアウトの際には、この最適な視聴距離も考慮して
ソファーとテレビを配置するようにしましょう。
テレビを買う前なら、テレビのサイズ選びの参考にも
なる数字ですので、活用ください。
テーブル選びを工夫する
「ソファーの前には、テーブルを置く」
という固定観念がある方は、一度本当に必要かを
立ち止まって検討しましょう。
ソファーのあるリビングでは、ローテーブルをそれほど
使わないという方もいらっしゃいます。
飲み物やスナックなどをリビングで飲食するには、
サイドテーブルで十分だったりします。
ソファー前のコーヒーテーブルを無くすことで、
小さなリビングでも解放感が生まれます。
リビングでテーブルをどのように使うかを考えて、
レイアウトを決めるようにしましょう。
アンテナ端子問題への対応
さて、最後は「アンテナ端子の問題」への対応です。
テレビのレイアウトについて、
「テレビのアンテナ線の位置が決まっているから、
動かしたくても、動かしようがない.......」
というお声を、ときどきお聞きします。
賃貸などでは、自由にレイアウトをしようとしても、
配線で諦めるということも、しばしば。
でも、この問題には解決方法があります。
それは「モール」を使うという方法。
モールとは、配線を隠してくれるカバーのこと。
モールを壁に沿わせながら貼っていくことで、テレビ
などのコードをさほど気にならないようにしながら、
場所を変えることができます。
モールは、Amazonで1本100円程度で売っていますから、
長めのテレビ線も合わせて購入することで、とても安価
できれいに、テレビをどこにでも置けるようにできます。
とっても簡単ですので、テレビのアンテナ線の位置で
お困りの方は、ぜひ試してみていただければと思います。
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リビングのレイアウトのポイントは以上です。
- ソファーを中央に置くと、ゾーニング効果
- ソファーを壁際に置くと、お部屋が広く見える
- テレビの存在感を減らす
- テレビまでの距離は、画面の縦幅の3倍が最適
- コーヒーテーブルと、サイドテーブル
- アンテナ端子問題への対応
です。
リビングのレイアウトは、ソファーとテレビの置き方
を考えることで、快適さを生み出すことができます。
ぜひ参考にしていただければと思います。
リビング横 レイアウト事例
参考画像
ソファーでゾーニングする/装飾でTVの存在感をへらす
ソファーでゾーニングする/装飾でTVの存在感をへらす
ソファー前にはサイドテーブルを置く
ソファーを窓際に置く/サイドテーブルを置く
テレビまでの距離は、画面の3倍が適切
セオリーのまとめ
さて、「美しいレイアウトの基礎知識」のセオリー
前/後編 いかがでしたでしょうか。
レイアウトというと、ついついパズルのように家具を
配置していくものと思いがちですが、それでは機能的
な面でしかインテリアを捉えられません。
見た目の美しさや、片づけのしやすさ、目線の先への
配慮などを合わせて「レイアウト」しておくことで、
お部屋の美しさは格段にあがるのです。
あらためてまとめますと、
スタイリングの課題
- レイアウトについてなんとなくやっている
- もっと暮らしやすいレイアウトはないか
- もっと美しく見えるレイアウトはないか
解決のためのセオリー
- フォーカルポイントからレイアウトする
- 生活動線を計画する
- 片づけやすさを仕込む
- 上空間のレイアウトも考える
スタイリングセオリーの効果
- 使い心地と、見心地が両立したレイアウト
- 片づけやすく、散らかりづらい
です。
お部屋づくりは、住み始める前の何もない状態の時が
もっとも手のいれやすい状態です。
家具を買ったり、住み始めたりすると、一度スタート
地点に戻すのが難しくなりますからね。
ですので、このセオリーにそって、最初の時点で素敵な
レイアウトについて計画いただければと思います。