お部屋の中でよく目にとまる場所「フォーカルポイント」を意識的に作ることで、印象をグッとあげることができます。
https://www.receno.com/pen/coorderule/u4/2022-06-16.phpセンスのいらないインテリア【スタイリング編】|美しいレイアウトの基礎知識(前編)
美しいレイアウトとは?
みなさんは新しいお家に引っ越す際に、家具のレイア
ウト配置について、どの様に決めていますか?
多くの人は、
「わからないけど、なんとなく。」
「テレビ線の位置があるから、そこを起点に。」
「間取りをみて、感覚でレイアウトした。」
などなど、深く考えることなく、間取りに合わせて
なんとなく決めていることも多いかもしれません。
また、新しくお家を建てる際にも、設計士さんなどに
イメージを伝えながら、設計といっしょにレイアウト
もある程度委ねたという方も多いでしょう。
この記事では、そんな「レイアウトはよくわからない」
という方も分かりやすく学べる「レイアウトの基本」を
紐解いていきます。
- これから新居に引っ越す方
- 新しくお家を建てる方
- すでに暮らしているけど、気に入っていない方
は、ぜひご覧いただければと思います。
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さて、実践的なセオリーを解説していく前に、まずは
「どのようなレイアウトだと、暮らしは豊かになるのか。」
から、紐解いていこうと思います。
充足した暮らしのために、レイアウトに求めるのは
- 暮らしやすさ(使い心地)
- 見た目の美しさ(見心地)
の2つです。
暮らしやすさ(使い心地)
まず、もっとも大事なのが「暮らしやすいレイアウト」
であることです。
当然といえば、当然ですね。
例えば「キッチン」と「ダイニング」を離れた場所に
レイアウトしてしまうと、作った料理を運ぶのに手間
がかかってしまいます。
また「リビング」が生活動線のよく通る場所の傍にある
と、せっかくゆっくりとリラックスしたいのに、常に家
族の誰かがバタバタと近くを通って、落ち着きません。
この場合は、できるだけ動線を広くとるようにして、
お互いがストレスにならないように配慮すべきです。
また、窓の前にテレビを配置してしまうと、テレビの
後ろから光が差し込んでしまい、まぶしくて見づらか
ったりします。
ですから、これらの例でいうと
- ダイニングは、キッチンの近くに
- リビング近くの主動線は広めに
- テレビの配置は、光の差し込みを考慮する
といった具合に、暮らしやすさを求めるうえで、考慮
すべきなのが「暮らしやすさ(使い心地)」を考えた
レイアウトです。
暮らしやすさをしっかりと考えたレイアウトができて
いることで、生活は快適で、心地よいものになるでしょう。
見た目の美しさ(見心地)
一方で、ほとんどの方があまり考慮できていないのが
「見た目の美しさ(見心地)」のレイアウトです。
ただ「暮らしやすい」「使いやすい」だけに配慮した
レイアウトでは、せっかく素敵なお家に引っ越したり
新しく建てたとしても、充足感が半減してしまいます。
暮らしやすいけれど、なんだか物足りない。という様な
50点満点のレイアウトです。
お部屋にディスプレイをするのは、美しさを求めるから
人は、本来「使いやすい」だけでは物足りず、
日々の暮らしの中で
- 家にいると、心が落ち着く
- 素敵なお家で、満足して暮らしたい
- 人を迎えたときに、良い印象を与えたい
などなど、使いやすさに加えて「美しい」「充足する」
という要素を感じることで、豊かな暮らしを感じます。
お腹を満たすにはコンビニのお弁当で十分だけれど、
いつもコンビニ弁当では、心が満たされないのと同じ
です。
ですから、満足のいくレイアウトを求めるには
暮らしやすさ(使い心地)× 見た目の美しさ(見心地)
の2つをバランスよく両立させることが大事だという
ことをまず前提条件として覚えておきましょう。
この「両立」の観点をレイアウトの基本としてご理解
いただけると、多くのお家が今よりも暮らしやすく、
また、美しくなる可能性を秘めていると思います。
「使い心地 × 見心地」が揃ったレイアウトを作るには?
さて、レイアウトを考える上で、大事な2つの「心地」
をご理解いただけましたでしょうか。
次にこの章では、実際にレイアウトを考える際のコツを
ご紹介していきます。
ポイントは、4つ。
- 「フォーカルポイント」からはじめる
- 「生活動線」を計画する
- 「片づけやすさ」を仕込む
- 「上空間のレイアウト」も考える
「使い心地と、見心地」がバランスよく揃ったレイアウ
トを完成させるための考え方と、実践のポイントを順番
に紐解いていきます。
1.「フォーカルポイント」からはじめる
レイアウトの最初の一歩は、お部屋の見どころとなる
「フォーカルポイント」を見つけて、その場所を起点
に考えていくことが大事です。
フォーカルポイントとは「注視点」のことで、お部屋の
中で最も興味を惹き、注目を集める場所のことを言います。
フォーカルポイントは、お部屋の印象を大きく左右する
場所なので、この場所が美しく仕上がっていることで、
お部屋を美しく感じやすくなります。
従来の考え方では「レイアウト」といえば
「ソファーは、どの向きで置いたらいいか?」
「ダイニングは、どういう配置がいいか?」
「収納家具は、どこに置くか。」
などの現実的な「配置」の観点からのみ語られること
が多いですね。
ですが、新しいインテリアの基本では
「お部屋のどこに目がいきやすいか?」
「どの場所を見どころとして設定するか?」
を先に設定します。
「使い心地のレイアウト」を考えるよりも前の段階で
「見心地のレイアウト」を計画しておく事で、お部屋
の心地よさを、従来よりもぐっと引き上げるのです。
使い心地は良いけれど、見心地が悪いお部屋
この順序が逆になってしまうと、
「家具は整ったけど、なにか物足りない......」
「とりあえず暮らせるけど、素敵じゃない気がする」
という問題が起こりがちなのです。
(こういうお家が多いですね。)
だからこそ
フォーカルポイントを決める → そこを起点に配置を考える
という順番でレイアウトを決めていきます。
そうすることで「見心地」にもしっかりと配慮されて、
充足感のあるお部屋づくりが可能になります。
住宅の形は、千差万別さまざまありますが、多くのお家
で共通してフォーカルポイントになるポイントは、おお
よそ同じ場所になります。
ご紹介していきましょう。
フォーカルポイント1:入口から見える場所
玄関からお部屋へとつながるドアを開けて、最初に目に
入る場所は、フォーカルポイントのひとつです。
お部屋に入って一番に目に入るのですから、第一印象
を良くするのに、大きく影響を与えます。
この場所に、例えば
- 収納家具を置いて、棚上をディスプレイ
- 美しい名作チェアやミラー
- アートなどの壁面ディスプレイ
- 大型植物や、スツールに載せた中型植物
などをレイアウトします。
上のビフォーアフターをご覧いただいければ、印象の
違いは一目瞭然でしょう。
フォーカルポイントに必要なアイテムをレイアウトして
スタイリングしておくことで、お部屋の印象を一気に引
き上げることができます。
フォーカルポイント2:ダイニング横
ダイニングの横も、代表的なフォーカルポイントです。
住宅の間取りによって、目が留まりやすい場所が奥に
くるか、左右にくるかはそれぞれですが、ダイニング
の傍には、必ず「白く、無機質な壁」があります。
ダイニング横にはサイドボードなど土台となる家具を
レイアウトして、その上の空間をアートや照明などで
飾るようにしましょう。
そうすることで、ダイニングシーンの見心地はぐっと
魅力を増してきます。
フォーカルポイント3:リビング横
もうひとつの代表劇なフォーカルポイントは、
リビングの壁です。
リビング横の壁もすっぽりと空白地帯になりがちな場所
なので、アートなどをレイアウトすることを検討します。
ダイニングと同様に「白く、無機質な壁」をそのままに
せずに、アートや植物、照明などをレイアウトすること
で、見心地を向上させることができます。
テレビがないレイアウトの場合にも、白い壁をそのまま
にしないように気を付けましょう。
ソファーとテレビの配置によっては、この壁部分にテレ
ビが大きく居座ることもあります。
その場合は、テレビの左右に観葉植物やフロアライト
などを置くことで、うまく注目点をずらすことができ、
美しさを保つことができます。
このあたりは、美しいレイアウトの基礎知識(後編)
にて、詳しく解説していきます。
ワンルームは「角と上空間」をフォーカルポイントに。
最後にワンルームのフォーカルポイントについても、
紐解いておきましょう。
10畳以下くらいのワンルームは、縦長の細い一直線の
間取りが多くあります。
そのような場合は、お部屋の入口から見える視線の先
には「窓しかない」ということも。
この場合も、リビングのテレビ問題への対処と同様に
部屋の左右の端に、植物やフロアライトなどのインテ
リアを置くことで目線を惹きつけ、美しいと感じる印
象を与えます。
そうすることで、ワンルームで見どころが作りづらい
お部屋でも、見心地を上げることができるのです。
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さて、レイアウトのステップ1として、
「フォーカルポイント」からはじめる。
をご紹介しました。
レイアウトを考えるうえで、使い心地からスタートする
のではなく、見心地から始めるのは意外だったでしょうか?
ただ、この「フォーカルポイントからはじめる」という
手法を用いることで、お部屋の印象を引き上げ、インテ
リアの印象を良くするのが、レイアウトではとても大事
なポイントなのです。
フォーカルポイントを起点としたレイアウトをしないと、
後からいくら素敵な家具を増やしたとしても、お部屋の
印象をプラスに変えることができません。
ですから、レイアウトのはじめの一歩は、フォーカル
ポイントに美しい家具を配置することからはじめるの
が、美しいお部屋づくりレイアウト成功の秘訣です。
2. 「生活動線」を計画する
さて、フォーカルポイントで「見心地」からスタート
できたので、次は「使い心地」の面からもレイアウト
を考えていきましょう。
「使い心地 = 暮らしやすい」レイアウトを実現するに
は、生活動線について理解しておきましょう。
ただ、これはさほど難しく考える必要はありません。
生活動線について知っておきたいのは
- 日々の生活の動きをイメージして、動線を設定する
- 生活動線は、60cm以上が基本
- 余裕を持たせたいなら、80cm以上に
- 動線に隣接するダイニングチェアの後ろは1m以上
- それほど通らない場所は、狭くても許容する
ということです。
お部屋の中の通り道 = 生活動線は、基本的には
60cm以上で設定しましょう。
「家具と家具」や「家具と壁」など、それぞれの間に
60cm以上あると、ムリなく通ることができます。
また、家具のサイズとの取り合いにはなりますが、
余裕をもった配置にしたい場合は、生活動線の通路幅
を「80cm」取るのもおすすめです。
80cmあることで、余裕を感じさせるレイアウトが可能です。
動線に隣接するダイニングチェアの後ろは「1m以上」
必要というのは、チェアに人が座った場合には、テー
ブル+50cmほどのスペースが必要になります。
座った状態で、後ろを人が通ることを想定すると
人が座った状態(50cm)+ 動線(60cm)= およそ1mほど
の通路幅が必要になります。
なので、1m以上という計算式になるのです。
使い心地のレイアウトに大きく関係するのは、生活動線
にまつわる「動きやすさ」です。
動線の基本数値を理解し、レイアウトの際に動線の幅に
気を付けておけば、暮らしやすさはぐんと上がります。
ぜひ上記の数値を参考にしてみましょう。
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さて、レイアウトのステップ2として、
「生活動線」を計画する
をご紹介しました。
生活動線について、しっかりと基本数値を理解してお
けば、置ける家具のサイズ感を決めることができます。
また、洗濯や配膳、掃除など日々のストレスとなりやす
い家具についても、できるかぎりストレスを減らすこと
ができます。
レイアウトを考える際には、生活動線を計画すること
も忘れず行いましょう。
ちなみに...
通路幅との取り合いになる「家具のサイズ」の選び方
については、書籍「センスのいらないインテリア」や
過去動画などで分かりやすくまとめています。
そちらも合わせて参照していただければと思います。
センスのいらないインテリア|サイズについてまとめ
3.「片づけやすさ」を仕込む
さて、レイアウトのポイントの3つ目となるのは、
「片づけ」についてです。
新しく住み始めるときには悪くなかったのに、数年後
には、思っていたような美しさがなくなって、来客が
ある時にだけ、一生懸命片づけている...... なんてこ
とは、本当によくあります。
日本の住宅は狭く、クローゼットなどの住宅設備として
の収納だけでは足りないのが原因です。
誰しも十分な収納を備えたお家に住みたいのですが、
そうもいきません。
ですから、最初のレイアウトをするタイミングで、
「片づけやすさ」を意識して仕込んでおくことで、
数年経っても、きれいに過ごしやすくなります。
片づけは、日々過ごす場所の近くにそれぞれしまう場所
をレイアウトしておくことで、散らかりづらくなります。
具体的には、リビング、ダイニングにそれぞれ収納家具
をあらかじめ配置しておくのです。
それぞれの場所に収納家具をレイアウトするときには
3つの種類の収納を使い分けましょう。
3つの種類とは
- 隠す収納
- 死角収納
- 手軽収納
です。
順番にご説明していきましょう。
隠す収納
隠す収納は、扉が付いた「収納の中が見えない」収納です。
もっとも代表的なのは「クローゼット」ですね。
ただ、前述のとおり、多くの住宅では「クローゼットで
は足りない」ということが起こり、お部屋の中にまで
さまざまな日用品が溢れ出てきているのが、実状です。
ですから、部屋の中にサイドボードなど「隠す収納家具」
をしっかりとレイアウトしておきましょう。
キャビネット(扉付き収納)、チェスト(たんす)と
呼ばれる家具がそれにあたります。
隠す収納は、中身がごちゃごちゃしていても、扉を
閉めれば、お部屋には影響を一切与えません。
これが便利なところです。
飾りながら収納をする「オープン収納」を選んでしまう
と、お部屋の中にごちゃつきが見えてしまいます。
安価なオープン収納を選んでしまうと、このような
散らかったイメージの原因になります。
ですから、よく目に付く場所に置く収納家具は、中身
が隠れるものをレイアウト計画に入れておくことが
重要です。
死角収納
「死角収納」とは、「隠す収納」とは異なり「見えて
はいるんだけれど、目に入りづらい」収納テクニック
のことです。
例えば、さきほどの散らかりの原因になっていた
オープンシェルフなどでも、かごを使って一目では
中身が見えづらいように収納します。
そうすることで、散らかった印象を減らすことができます。
死角収納の良いところは、隠す収納の様に扉や引き出し
がないので「さっと取り出して、さっとしまえる」とい
う点です。
お気に入りのオブジェや写真、本などのディスプレイを
楽しみながら、うまくかごなどを配置しながら、見せた
くない日用品は、死角収納としてしまえる様にレイアウ
トを考えておきましょう。
手軽収納
最後にご紹介するのが「手軽収納」です。
これは「死角収納」よりも、さらに楽に収納するテク
ニックです。
例えば「トローリー」と呼ばれる台車のついた収納棚
のようなアイテムを、ダイニング横にレイアウトして
おきます。
ダイニングテーブルは、日々の暮らしのさまざまな物が
一堂に会する場所ですから
「いつもテーブルの半分は、物で埋まっている。」
という家庭も、結構多いですね。
ですから、テーブルの横にいつもトローリーを置いて
おくことで、テーブルの上のものをさっと逃がすこと
ができます。
トローリーは可動式なので、レイアウトというくくり
ではないですが「片づけやすさを仕込む」という意味
では、とても便利なアイテムですので、合わせてご紹介
いたしました。
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さて、レイアウトのステップ3として、
「片づけやすさ」を仕込む
をご紹介しました。
レイアウトする時点で、しっかりと片づけまで計画して
おくと、生活動線と同じく、後々の暮らしがとても楽に
なります。
日用品があふれ出ているのは、ストレスになります
からね。
レイアウトの際には、片づけもぜひ計画に入れておく
と良いでしょう。
4.「上空間のレイアウト」も考える
さて、レイアウトについて最後のポイントです。
「レイアウト」というと、ついつい床に置く家具だけ
に頭がいきがちですが「空中のアイテムレイアウト」
も、実はとても大事です。
「目線の先(=上空間)」に、しっかりとアイテムを
レイアウトしてあげることで、お部屋全体のバランス
が整うからです。
逆に「上から見た間取り図」だけを頼りにレイアウト
していくと、上の画像のように「目線の先」ががらん
とした寂しいお部屋になりがちです。
ですから、レイアウトは「目線の先(=上空間)」に
も意識をはらうようにしましょう。
空間バランスについては、以下の記事にて詳しく解説
していますのでここでは割愛しますが、レイアウトに
関わる部分ですので、ぜひご一読ください。
センス不要で、インテリアスタイリングを美しく仕上げる「空間配置」のセオリーをご紹介します。
https://www.receno.com/pen/pointstyling/u4/2024-06-28.php----------
さて、美しいレイアウトの基礎知識について、心地の
観点からスタートし、実践的なレイアウトを考えるコ
ツをご紹介してきました。
続いては、シーンごとのより実践的な対処方法として、
「シーン別レイアウトのポイントと実例」をご紹介し
ていきます。
長くなりましたので、続きは「後編」にて。
センス不要で、インテリアスタイリングを美しく仕上げる「レイアウト」のセオリー後編をご紹介します。
https://www.receno.com/pen/vasestyling/u4/2024-08-10.php