センスのいらないインテリア【スタイリング編】|「円形」をお部屋に取り入れて、空間の印象をやわらげる。
お部屋の緊張感をやわらげるために
「円形」を活用する。
お部屋の中に存在するものを見渡してみましょう。
- 扉や窓などの「建具」
- キッチンや、冷蔵庫などの「住宅設備」
- テーブルや、本棚、収納などの「家具」
- ラグマットや、アートなどの「インテリア」
お部屋の中には、さまざまなアイテムが存在しますが、
そのほとんどには、ひとつの共通点があります。
それは「角がとがった四角形である」ということです。
住宅や住宅設備、また、家具やインテリアに至るまで、
お部屋の中にあるものは、できるかぎり効率よく配置
するために、四角形にデザインされています。
小さなスペースにたくさんを詰め込むには、四角形が
もっとも効率が良いからです。
また、場所を取らないという点以外にも、製造において
も角がある方が作りやすいからという理由もあります。
丸く角をあしらうのには、手間暇がかかりますからね。
四角形は、製造の効率が良く、面積効率も良いため、
お部屋にあるものは必然的に四角形になっていくのです。
ただ、「角」があるというのは、心理的に緊張感をもた
らしてしまいます。
この画像のように、同じ場所に、同じサイズのテーブル
を置いたとしても「四角形」と「円形」とでは、こんな
にも印象に差があります。
とがったものからは、脳が知らず知らずのうちに危険性
を読み取るからと言われています。
また、整然としたものを見ると、整った印象を受ける
反面「きっちりとしないといけない」という緊張感も
感じます。
きっちりとかしこまった場所に行くと、自分もきっちり
としないといけないと「ピシッと背筋が伸びる」感覚に
なりますよね。あれと同じ心理現象です。
また、円形の良さという観点から紐解くと、日本には
「侘び寂び(わびさび)」という独自の感性を生かし
た文化があります。
西洋の美意識は、絢爛さや豪華さであったり、シンメ
トリー(左右対象)のような整った状態を美とするの
に対して、日本の美意識は、質素さや閑寂さ、非対称
や余白を重んじます。
日本人は、古来より「完全で、完成された美」よりも
「完成していない余白のある美しさ」を好むのです。
この「侘び寂び」が求める非対称や余白を、インテリア
における「円形」は演出してくれます。
効率性の高い「四角形」に対して、効率性は低いけれど
見た目に柔らかさを感じ、完成していない余白を感じさ
せるのが「円形」だからです。
心身ともにリラックスを求める自宅であるからこそ、
「円形」を取り入れることで、よりリラックスを感じる
効果を高めることができるのです。
このような心理を伴って、お部屋に「円形」を入れることで
- 心理的な安心感
- 見た目のやわらかさ
- 整然としすぎない美しさ
を得られることがお分かりいただけましたでしょうか。
このような心理のポイントを理解しておく事で、インテ
リアアイテムを選んだり、配置したりする際のひとつの
道しるべとなります。
そして、結果として美しく、心地の良いお部屋が出来あ
がるというわけです。
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そして「円形」をインテリアスタイリングに活かす為
に、大事なポイントが3つあります。
それは
- 「円形」の家具・インテリアを取り入れる
- 家具の横に「円形」を置く
- お部屋の角に「円形」を配する
というアイテムセレクトと配置における3つのセオリーです。
ひとつずつ紐解いていきましょう。
セオリー1:「円形」の家具・インテリアを取り入れる
さて、ではひとつめのセオリーである「円形」のアイ
テムセレクトについて、見ていきましょう。
大きな家具やインテリアは、お部屋に占める割合が大
きいことから、その効果も大きく得られます。
意識して、大きな家具やインテリアに「円形」を選ぶ
ことで、お部屋にやわらかさを与えることができます。
いくつか代表的な例をご紹介します。
円形の「家具」を取り入れる
お部屋の中心アイテムのひとつが、テーブル・チェア
を含むダイニングシーンです。
お家の中で大きな面積を占める「ダイニングテーブル」
に円形のものを選ぶのは、効果がもっとも大きく、お部
屋の印象が大きく変わるので、特におすすめです。
ダイニングテーブルに円形を選ぶことで、四角形のテー
ブルよりも、座れる人数がフレキシブルになるのも良い
点です。
柔らかな印象とともに、実用性も高く、友人や家族で
の食事もリラックスした気持ちのいい時間になるでしょう。
また、テーブルだけでなく、円形フォルムのチェアを
選ぶのも、ダイニングシーンを柔らかな印象にする
アイデアのひとつです。
背もたれに丸みのあるチェアを取り入れると、空間に
柔らかさを与え、見た目にも緊張感をやわらげてくれます。
また、リビングシーンにおいては、ソファーに「丸み」
のあるものを選ぶのは、高い効果が得られます。
ソファーが「円形」というのものは少ないですが、座面
のクッションや、ひじ掛けなどに「丸み」のあるデザイ
ンのものを選ぶことで、柔らかな印象を感じられます。
ソファー前に置くテーブルも、長方形などのローテーブ
ルだけではなく、円形や楕円形のサイドテーブルを置い
て、柔らかさを出すのも良いでしょう。
さらにイメージが膨らむように、リセノスタッフ宅で
の実例もたくさん載せておきます。
円形のダイニング・チェア スタイリング実例
参考画像
丸いテーブル・チェア・照明(ナチュラル)
丸いテーブル・チェア・照明(ナチュラル×ブラック)
丸いテーブル・照明・スツール(ホワイト×ヴィンテージレッド)
テーブル上に丸い花瓶を置くと、さらに柔らかい印象に
色壁だと、円の曲線がより際立つ
北欧の名作であるYチェアは、どの角度からみても柔らかい曲線を持つ
エクステンション型の半円テーブルは、省スペースにぴったり
楕円形のテーブルは、大人数におすすめ◎
四角いテーブルの場合は、チェアの背もたれに円形を取り入れて柔らかさを演出する
円形のソファー・テーブル スタイリング実例
参考画像
ふかふかの柔らかいソファーは、丸みを感じやすい
ソファーと合わせて丸いプフを置くと、より柔らかい印象に
ソファーの周りには、円形のサイドテーブル
角が目立つソファーの場合、丸いテーブルを置く効果はより大きい
テーブル上の小物も丸みがあると、より柔らかい印象に
丸みのあるソファーとサイドテーブル・テーブルランプ
円形のサイドテーブルとダストボックス
丸いこたつテーブルとサイドテーブル
円形の「照明」を取り入れる
天井から吊り下げる「ペンダントライト」や
ソファーの横に置く「フロアライト」
テーブルやサイドボードに置く「テーブルランプ」
など、照明はお部屋にたくさん配置されることが多い
インテリアアイテムであり、普段の生活でもよく目に
入りやすいアイテムです。
お部屋の上空間、中空間の高さにあるので目に入りやすい
日々の生活の中で「目にすることが多い」アイテムと
いうことは、つまりは「円形」を選ぶことで、日々の
緊張感をやわらげる効果が高いということになります。
照明は、夜のほっと一息つくリラックスタイムに
とても活躍するアイテムです。
円形から柔らかな光をこぼれる様子は、そのフォルム
と相まって、気持ちを落ち着けてくれます。
また、円形の照明は、消灯している日中にも、その柔ら
かなフォルムは、可愛らしく、柔らかな印象をお部屋に
与えてくれます。
照明は、光の拡散の観点からも「円形」のものが多い
ですので、お気に入りのアイテムを選ぶようにしましょう。
円形の照明 スタイリング事例
参考画像
円形シェードのペンダントライト・テーブルライト
円柱シェードのペンダントライト
円形シェードのペンダントライト
円柱のペンダントライトを2連にしてオブジェのように
照明の色は、背景とコントラストをつけてメリハリをつけるのも◎
円柱シェードのフロアライト
円形シェードのフロアライト
円形シェードのフロアライトとポータブルライトを多灯置き
名作のテーブルライトは、オブジェとしての役割も
テーブル上には、持ち運びができるポーダブルライトが便利
円形の「小物・雑貨」を取り入れる
大きな家具や照明以外にも、円形の小物や雑貨を選ぶ
ことで、空間の印象をやわらげることができます。
小物は、時計やグラス、植物の鉢やアートまで、
様々なものがあります。
例えば、掛け時計は壁に配置するもので、必然的に目線
によく入るインテリアのひとつです。
丸い時計を選ぶことで、お部屋にやわらかさを感じさせ
ることができます。
ほかにも、シェーカーボックスのような収納アイテムや
ラタンで編んだ洗濯かごや円形のミラー、置き時計など
を意識して円形のアイテムをセレクトすることで、柔ら
かな印象をお部屋に加えることができます。
円形の小物・雑貨 スタイリング事例
参考画像
サイドテーブル上に、丸みのある花瓶・ガラスのオブジェ
ソファー横に、円形の編みカゴ
シェルフの上に、円形の編みカゴ
天井から丸みのあるオブジェを吊るす
四角いベッドの上に、丸い置き時計
四角いピアノの上に、シェーカーボックス
デッドスペースに小さな棚を置き、丸いオブジェを飾る
サイドボード上に、円形のランプ・シェーカーボックス・ミラー・花瓶
四角いアートの横には、丸みのある木製オブジェ
丸みのある照明・シェーカーボックス・ドライフラワー
ダイニングテーブルの上に、円形のガラス花瓶とシェーカーボックス
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さて、ひとつめのセオリーは、まずアイテム選びの
段階で、円形のアイテムを選ぶ視点を持ちましょうと
いう趣旨のものでした。
ソファーやテーブルなど、サイズやデザインだけを求
めて選ばれることが多いと思いますが、プロの視点は
お部屋に置いたときの柔らかさを引き出すという点に
も目を向けています。
これは「意識するかしないか」だけのポイントですの
で、ぜひ家具・インテリア選びの際には「円形」にも
着目して選ぶようにしましょう。
続いてのセオリー2・3は「配置」に着目したセオリーです。
セオリー2:家具の横に「円形」を置く
さて、1つ目のセオリーでは、円形のアイテムを選ぶと
いうことを紐解いてきました。
2つ目のセオリーでは、その円形のアイテムを配置する
「場所」に関するセオリーをご紹介します。
テレビボードやサイドボードなどの収納家具や、ベッド
などの家具は、本来の目的のために、円形にするわけに
はいきませんね。
収納家具は、たくさんのモノを効率的に収納する必要が
ありますから、四角形が最も適した形状ですし、ベッド
やマットレスも、円形のものは一般的ではありません。
しかしながら、大きな体積をもつこれらの家具は、お部
屋の印象にも大きなインパクトがあり、角の印象がより
強調されてしまいがちです。
そんなときに使えるのが「家具の横に円形を置く」と
いうセオリーです。
例えば、収納家具の横に「円形」を感じさせるスツール
や、フラワーベースを置いてみましょう。
円形のインテリアを、四角形の横に置くことで、角の
印象が中和されて、柔らかな印象を感じられます。
この様に感じるのは、横面の四角を、円形が「上書き」
してくれるからです。
置くだけの簡単なテクニックで、印象が大きく変わりま
すから、ぜひともお部屋に取り入れましょう。
家具の横に円形を置くスタイリング事例
参考画像
サイドボードの横に、円形のスツールと花瓶
サイドボードの横に、円形のガラス花瓶
サイドボード横に、円形の鉢・丸い葉っぱの大型植物
サイドボードの横に、円形のスツール
TVボード横に、円形のフロアライト
ベッド横に、円形のサイドテーブル・照明
ベッド横に、円形のスツール・ミラー
ベッド・ソファーの間に、円形のフロアライト・サイドテーブル
ベッド横の棚に、円形のテーブルライト
ベッド横に、円形のスツールとかご
セオリー3:お部屋の角に「円形」を配する
3つ目のセオリーは、お部屋の「角」への対策です。
家具や住宅設備だけでなく、角が立っている最大の場所
は「お部屋自身」です。
お部屋も当然効率化を求めて、四角形をしていますから
多くの角があるわけです。
この角も心理的には緊張感を感じる原因になっています。
ですから、さきほどの「家具の横に円形を置く」という
テクニックと同様のイメージで、部屋の角にも円形を置
くことで、印象を中和しましょう。
使いやすいのは、円形のシェードが付いたフロアライト。
置くだけで、お部屋の角の印象をやわらげてくれます。
それ以外にも、天井からペンダントライトをうまく垂ら
してきたり、円形のサイドテーブルを置いたり、丸い鉢
に入った大型の植物を置くことでも、角を打ち消すこと
ができます。
また、サイズは特別に大きくなくても構いません。
小さなテーブルライトを部屋の角に置くだけでも、
大きな印象の改善が図れます。
お部屋の角に円形を配するスタイリング事例
参考画像
リビングの角に、円形のフロアライト
ダイニングの角に、円形のフロアライト
寝室の角に、円形のフロアライトと小物
ワンルームの角に、円形のフロアライトと時計
ワンルームの角に、円形のフロアライトと植物鉢
リビングの角に、丸みのある照明やドライフラワー
ダイニングの角に、大型植物
玄関廊下の角に、円形の照明とスツール
リビングの角に、円形の鉢・大型植物
セオリーのまとめ
さて、「円形をお部屋に取り入れて、空間の印象をやわ
らげる。」というセオリー、いかがでしたでしょうか。
あらためてまとめますと、
スタイリングの課題
- お部屋にあるものは、角が立った「四角」が多い
- 「四角」は、心理的な緊張感を感じやすい
解決のためのセオリー
- 緊張感を和らげるために「円形」を選ぶ
- 緊張感を和らげるために「家具の横」に円形を置く
- 緊張感を和らげるために「部屋の角」に円形を置く
スタイリングセオリーの効果
- 角の緊張感が減り、リラックス感が増す
- 見た目にも柔らかく、美しいお部屋になる
- サイズやデザイン以外の家具選びの指針になる
です。
このセオリーは、センスやテクニックなどはまったく
不要で、知っているかどうかだけで違いが出るという
とても使いやすいものです。
心理的な効果を理解し、セオリーを活用することで、
より自分や家族好みのリラックスしたお部屋を誰でも
作ることができます。
みなさんのお家にも「円形」のものはあるかと思います
ので、ぜひ試しにセオリーを使ってみていただけると、
効果を感じていただけると思います。
動画でもご覧いただけます。
今回ご紹介した内容は、プロが解説する
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