「無垢材家具」と「突板家具」の違いを学ぼう。
こんにちは。山本です。
今日からはじまります「インテリアの基本レッスン」。
毎回、インテリアの様々なテーマについて、
分かりやすく解説していこうという連載企画です。
読んでいただく皆様には、なんとなく普段から
疑問に思っていることや、聞いたことのない知識
まで、楽しく、分かりやすく、ふむふむと、
勉強してもらえればと嬉しいなと思います。
第1回のテーマは、「無垢材家具」と「突板家具」。
そもそも無垢材はなんとなく知ってるけど、
突板って何?という方が多いと思います。
トツバン?トッパン?ツクイタ?
家具に馴染みの無い方は、読み方も分からない
ですよね。僕も少し前までは、そうでした^^
(ちなみに ツキイタ と読みます。)
でも、無垢材家具も突板家具も、実はみなさん
普段からきっと目にしています。
なぜなら、人気のインテリアショップの家具でも
多く取り扱われているのは、この2タイプの家具の
どちらかだからです。
「あそこのインテリアショップの家具って、いけてるよねー!」
っていう家具は、必ずどちらかの家具と言っても
いいくらいです。
というわけで、第1回目の今回は、
この2種類の家具の製法や特徴について、
解説していきます。
無垢材家具とは?
無垢材家具は、「無垢材」を使って作られた
家具の事を言います。
無垢材とは、「木」そのもののこと。
森で育った木を、切って、削って、製材して
できるのが無垢材です。
いわゆる丸くて太い木を、四角形の柱状や、
板状に整えて、その製材された木 = 無垢材。
そして、この無垢材を使って作られているのが、
無垢材家具です。
無垢材家具の特徴は、素材が純粋に「木」そのもの
なので、長く使っていけばいくほど、木に風合いが
出てきます。
これは経年変化といって、
木の色に深みがでてきたり、逆に色が少し褪せたり
と独特の風合いが出てくる現象です。
(塗装方法や樹種によって、風合いの出方は
異なります。)
また、重くて、重厚感があり、頑丈なのも
特徴と言えるでしょう。
なので、一度購入したら、長く使用でき、
何十年というスパンで愛用できます。
無垢材家具は、まさに一生物の家具と
言えるでしょう。
突板家具とは?
突板 = つきいた と読みます。
突板とは、0.2mmくらいにうすーくスライスした
木のシートを、ベニヤなどの板に張り付けたものを
指します。
分かりやすく横からみたところを、図解します。
芯材に貼り付ける前の「突板」は、こんな感じ。
横から見ると、とても薄いシートベニヤ板の様な
ものであることが分かります。
表面は「木」そのものですが、その土台となる
部分は、合成材などによって作られた、
芯材が使用されます。
芯材とは
木屑などを固めてつくる、家具の土台となる材料。MDFなど。
または、安価な無垢材(松や杉など)が、芯材に使われることもあります。
下の画像は、芯材を組み合わせた段階の家具です。
※写真の脚部分は、無垢材
この状態の家具の表面に、「突板」を貼付けていく
と、「突板家具」になるわけです。
突板を貼り付けると、こんな風に完成します。
表面に見えるのは木のシートなので、
見た感じは「木の家具」そのものです。
家具の知識のない人が見ると、無垢材の家具と
そうそう見分けはつきません。
突板家具は、木の風合いをしっかりと感じられつつ
重量も軽くて取り回しがしやすく、値段も抑えめ。
価格は、だいたい無垢材家具の半額くらいの
イメージです。
つまりは、比較的安価で、木の風合いを楽しめる
様に開発された家具が、「突板家具」なのです。
無垢材家具のメリット・デメリット
2つの家具の違いは、お分かりいただけましたか?
では、あらためて、2つの家具の
メリット・デメリットをまとめてみます。
無垢材家具のメリット
- 使い古せば古すほど、独特の味わいが出やすい(経年変化)
- 重厚感がある。
- 頑丈
無垢材家具のデメリット
- 価格が高い
- 重い
- 木が呼吸するので、ソリが出る場合がある。
といった感じです。
金額は高いけれど、しっかりと長く使いたい人、
また経年変化を楽しみたい人に選んでいただきたい
家具と言えます。
人が触れる機会が多い家具には、
傷や汚れがつきやすいため、突板家具では、
表面がはがれて、下地が出てきてしまう恐れが
あります。
そのため、リビング・ダイニングテーブルなどには、
無垢材がよく使われます。
また、ソファやチェアーなどは、そもそも体の荷重
を支えるために、無垢材で作られます。
突板家具のメリット・デメリット
突板家具のメリット
- 無垢材家具と遜色なく、木の風合いを楽しめる。
- 軽くて、取り回しがしやすい。
- 無垢材家具と比べて、価格が安い。
突板家具のデメリット
- 表面の木のシートを削ると、ベニヤが出てきてしまうため、傷つきやすい種類の家具には不向き。
- 経年変化を楽しむには、不向き。
といった感じです。
ざっくり言うと、金額が安めで、軽くて実用的。
木の風合いもしっかりと感じられます。
家具に大きなお金を掛けられない人や、
インテリアの好みがまだ定まってない人には、
比較的、導入しやすい家具と言えます。
ちなみに北欧ヴィンテージの家具たちも、
実は、突板家具だったりします。
製法としては、古い技術なんですね。
本日のまとめ
さて、今回は、それぞれの家具の解説と、
メリット・デメリットを解説しました。
今後、インテリアショップで家具を見る際には、
是非、無垢材家具と、突板家具を
見比べてみましょう。
2つのタイプの家具の作りの違いが分かれば、
価格の違いや、使っていくイメージをより
深められると思います。
日本の現在のトレンドとしては、
無垢材を誉め称える風潮がありますが、
私個人のおすすめとしては、無垢材ですべて揃えて
いくのはおすすめしません。
なぜなら、どうしても高額になってしまうのと、
一度購入してしまうと一生ものの家具のため、
自分の好みが変わったときに、変更が効きません。
「好きじゃなくなったけど、買い替えられない。」
といった事になります。
ある程度、インテリアを楽しむためには、
自分の好みが定まらないうちは、なるべく高額な
無垢材家具をいきなり買うのは、控えましょう。
自分の好みがはっきりと分かってから、
自分の家にずっと置いておきたい無垢材家具を
購入するのが、おすすめです。
また、収納棚などの傷がつきづらい家具は、
そもそも無垢材家具でなくても、十分と言えます。
特に可動棚などを無垢で作ると、ずっしりと重く、
女性では、棚の高さを変えるのも、一苦労になって
しまいます。
最終的なポイントは、
- 触れる機会が多く、傷つきやすい種類の家具(テーブルなど)は、「無垢材家具」がおすすめ。
- 傷つく機会が少なく、取り回しをしたい家具(収納棚など)は、「突板家具」がおすすめ。
- ずーっと使って、味を出していきたい家具は、「無垢材家具」がおすすめ。
- 自分の好みが分かって、一生物を見極める目がつくまでは、「突板家具」がおすすめ。
といった感じです。
今回は、2種類の家具の製法について書いて
きましたが、それぞれにも、塗装方法の違い
や、樹種の違い、産地の違いなどにより、それぞれ
経年変化や耐久性なども変わってきます。
デザインや価格が気に入った家具が見つかった場合
は、製法の違いをまず確認しましょう。
それでも分からない事は、お店のスタッフに聞いて
みましょう。
当店の家具についても、気になることがあれば、
プロのスタッフがお答えいたします。
では、今回はこのへんで。
また、第2回でお会いしましょう。