フロアライト「Oak&Oilparch」の企画経緯と
コンセプト設計についてお話しします。
こんにちは。ヤマモトです。
2019年に発売したオリジナル照明「Oilparch pendant」
に、フロアライトタイプが新たに登場します。
「Oilparch」は、オレンジ色の柔らかな光でお部屋を
照らす照明で、レザーが光っているような独特な意匠
と、生活を快適に変える工夫を隠し入れています。
本日のマガジンでは、この照明のコンセプト設計を
改めて紐解いていこうと思います。
ナチュラルヴィンテージなインテリアに合う
「カーフレザー」のような意匠デザイン
このフロアライトの最大の特徴は、シェード部分の
独特の意匠と質感にあります。
その見た目は、まるで「レザー」のよう。
カーフ(仔牛)のしわのようなランダムな凹凸があり、
その風合いが、レザーのように見えるのです。
でも、実はこのシェードは「紙」でできています。
エンボスを施した特性の紙に、手作業で1枚1枚手塗り
で仕上げています(2019年の発売から、一貫して社内
にて作業しています)。
それも3種類のオイルを独自に調合し、1枚あたり5回
から6回ほど塗り重ねる、非常に手間のかかる塗装を
施して、丁寧に仕上げています。
「紙に印刷して色を付ける」というのは一般的ですが、
「紙にオイルで塗装をする」というのは、家具屋なら
ではの発想でしょう。
1点ずつ手作業で塗装していくのは、なかなか手間の
かかる作業ですが、印刷ではのっぺりとした均一な
印象しか出ないのに対し、手で塗りこむと独特の陰影
が出来て、ムラのある仕上がりになります。
この手間をかけて、紙がまるでレザーのような意匠を
もつ独特のシェードに仕上がります。紙自体がオイル
の塗装に耐える強いものというのもポイントです。
照明は点灯しているときの美しさはもちろんのこと、
日中の消灯している時の美しさも重要です。
Re:CENO productの家具のような「海外の田舎」の
インテリアの様な素朴であたたかな空間づくりにおいて
昼夜問わずしっくりフィットする照明を作りました。
「紙」をシェードにするのは、実は難しい。
独自の仕様にたどり着きました。
「なーんだ。ただの紙か」
と思われるかもしれませんが、紙をシェードに
仕立てるには、実は細かな苦労があります。
通常、シェードは布などで出来ていることが多いの
ですが、布であれば素材自体に柔らかさがあるので、
シェード布を上下の円形のフレーム部分に巻きつけ
て、固定ができます。
通常は、フレームに布を巻き付けて仕上げます。
これが今回のように紙の場合、紙は布のように柔らか
さがない為、自由に折り曲げることができず、また、
折りジワもついてしまうので、フレームに巻きつけて
固定することができません。
和紙のように「薄く、軽い」素材であれば、のりで
固定も可能なのですが、この場合フレームを細かく
通したりする必要があり、シンプルな美しいデザイン
にはなりません。
(提灯を思い出してもらえると分かりやすいです)
今回の紙は、厚いぶん重みがあり、
提灯の手法も使えません。
こんな理由で、紙をシェードに利用するのは簡単そう
に見えて、実は案外実現が難しいのです。
「レザーのような紙シェード」というコンセプトまで
は早かったのですが、この部分をどう解決するかにとて
も時間がかかりました。
解決策は、フレームを無くして浮かせる。
さて、課題を解決するために、あれやこれやと工夫を
こらすのが、リセノの製品づくりです。
開発当初は、一般的なシェード製作手順である「のり」
で、フレームと紙シェードの固定を試しました。
が、出来上がってすぐは良いものの使っていくうちに
照明の熱でのりの固定が弱まり、シェードがフレーム
から外れて、落ちてしまいます。
どうにかフレームとシェードを留められないかと、
レザーで巻いたり、鋲を打ったりと
いろいろと試しましたがなかなか思い描くような
すっきりとしたデザインにならず、
どうもイメージが違います。
悪戦苦闘の末に思いついたのが
「いっそのこと留めにくいのならば、
フレームを無くしてしまおう」
という突拍子もないアイディア。
フレームを無くして、内側からネジでシェードを固定す
るという前例のない方法を試してみたのです。
シェードの内側から上下4箇所のネジで固定することで
本来はあるはずの円形のフレーム自体を無くすことに
成功し、シェードも円形を保つことに成功しました。
外側から見えるのは、金色のマイナス真鍮ネジのみに
なり、すっきりときれいな意匠に。
上下の円形フレーム自体を無くしながらも、ネジで
しっかりと固定することで、きれいな円形を保つこと
が出来たのです。
上下の円形フレームをなくすことで、
影がなくなり、より独創的なシェードに。
紙をシェードにする工程で
上下の円形フレームをなくしたことで、
偶発的にもうひとつメリットが生まれました。
それは、上下の「シェードの影」が無くなることです。
下の画像でわかるように、
通常のシェードであれば上下にフレームがあるため
光を通さず、影になってしまいます。
今回、上下4箇所のネジで留めることで
円形のフレームを無くしたので、
上下の影も出なくなりました。
照明の端から端まで、すべて光っています。
ほんのわずかなポイントですが、これにより、まるで
宙に浮いているかのようなすっきりとした光を放つ、
より美しいフロアライトに仕上がりました。
「こっくり」とした味わいのある空間に。
消灯時の佇まいも、魅力のひとつ。
この照明は、消灯時も魅力のひとつ。
消灯している姿は、ゆったりと落着きがあって美しく、
独特の存在感を感じます。
お部屋のスタイリングを考えるときには、
- 上空間 = 目線の高さ
- 中空間 = 家具の高さ
- 下空間 = 床
という「空間の高さ」それぞれに効果的にバランスよく
インテリアアイテムを配置することが大切です。
そうでないと、目線の高さに壁しかなく、寂しい印象に
なってしまったりするためです。
ビフォーアフターの画像を見ていただければ分かりやす
いと思いますが、美しい家具が揃っていたとしても目線
の先のスタイリングが不十分であると、寂しい印象を受
けてしまいます。
このフロアライトは、レザーのような見た目の存在感が
象徴的であり「上空間 = 目線の高さ」のスタイリング
アイテムとして、良い役割を果たします。
ソファーの横に置いておくことで、ソファーをさらに
引き立てる役割を果たしてくれるため、お部屋の装飾
としても役立ってくれることでしょう。
また、住宅というのは効率を重視して作られている為、
「角」がたくさんあります。
「角が立つ」という慣用句があるように、角というのは
心理的に緊張感を感じさせます。
その角を打ち消すために、円形のアイテムを配置する
というのも、リセノが研究して定義したスタイリング
セオリーのひとつです。
この照明を部屋の角に置くことで、円形のシェードに
よって角が見えなくるため、お部屋の緊張感を和らげる
効果も期待できます。
フロアライトとは、インテリアスタイリングを考えるう
えで、想像以上に良い働きをしてくれるのです。
ペンダント照明と「レピテーション」で、
より統一感のあるスタイリングに。
お部屋に統一感を出すためのインテリアのセオリーと
して「レピテーション(繰り返し)」というものがあ
ります。
お部屋というひとつの空間の中には、さまざまな素材、
カラー、かたち、テイスト(文化)のアイテムが存在
しますよね。
ひとつひとつのアイテムがあまりに共通点がないと、
全体的に雑多な印象になってしまいます。
ペンダントライトとフロアライトの意匠が異なると、統一感に欠ける
そうならないように使用するのが「レピテーション」
というセオリーです。
やり方は、知ってさえいればとても簡単。
共通の要素があるアイテムを選ぶようにするだけです。
要素は主に、
- 素材レピテーション
- カラーレピテーション
- 形状レピテーション
- 文化レピテーション
といったものがあります。
全体がばらばらとしないように、共通の要素を選ぶこと
で、お部屋にまとまった印象を与えることができます。
この照明は「Oilparch」シリーズとしてペンダント照明
も発売済ですので、そちらとレピテーションすることで
個性が強いこのフロアライトも、個性が浮いてしまうこ
となく、お部屋になじませることができます。
生活シーンに合わせて、実用的に。
「調色・調光電球」のLED電球を採用しました。
セットの電球は「通常のLED電球」と「スマートLED
電球」の2種類から選べるようにしました。
スマート電球とは、調光・調色が出来たり、Googleや
Amazonのデバイスと連携して声で操作できたりする
次世代的な電球です。
明るさの調整
専用のアプリと連携させるだけで、スマホで
明るさや色味を調整することが可能です。
タイマー機能もあり、大変便利です。
いくつか使用イメージをご紹介します。
普段使いはこれがオススメ!
色味 [オレンジ] × 明るさ [明るい]
明るさ100%だと、60W相当の明るさを取れるので、
上の画像のように明るく照らしてくれます。
オレンジ色の素敵な空間です。
まったりとした落ち着いた夜に。
色味 [オレンジ] × 明るさ [暗い]
色味をオレンジ色のままに、明るさをぐっと下げると
より落ち着いた明かりを演出できます。
週末に自宅でお酒を傾けたり、DVDを見たりといった
まったりとしたい時に最適。
寝室にも良い感じです。
やる気を出したい時に最適!
色味 [ホワイト] × 明るさ [明るい]
リビングやダイニングで仕事や勉強をしたい時には
しっかりとやる気を出す「白色」がおすすめです。
普段は「白色」のいわゆる蛍光灯のような明かりでは、
素敵なインテリアシーンとはいえないですが、必要な
ときだけ変えられるのというは、とっても便利です。
家具に合わせて選びやすい
定番の3色を作りました。
シェードはオイルパーチで共通ですが、フレームカラー
はリセノの家具と合わせて選びやすい3つの色をご用意
しました。
いずれもホワイトオークを使用していますので、非常に
美しい木目と、長く愛用できる耐久性を持っています。
ブラウン
こっくりとした色味を施した「ブラウンカラー」は、
ブラウンの家具と合わせて統一感のあるスタイリング
にぴったり。
落ち着きのあるミドル色のブラウンカラーですので、
重すぎず、女性にも人気のカラーです。
ヴィンテージレッド
北欧アンティーク家具によくみられる赤みを帯びた
ブラウンである「ヴィンテージレッドカラー」。
ブラウンカラーよりも明るさがあり、上品な見た目は
味わいのある上質なお部屋づくりにぴったりです。
ナチュラル
オークの色味をそのまま生かした「ナチュラルカラー」
は、オーク材の良さをもっとも感じられる色です。
さわやかな印象を与えてくれるので、どんなお部屋にも
合わせやすい万能選手です。
こだわりを詰め込んだ「oilparch floor light」
2024年5月29日(水)に発売しました。
というわけで、新作のフロアライトの企画経緯と
コンセプト設計を紐解いてきました。
5年前に発売した「Oilparch Pendant」は、おかげ様で
たいへん人気をいただき、ロングセラー商品となって
います。
このフロアライトによって、個性的であったペンダント
ライトをレピテーションで部屋になじませやすくなり
ます。
こっくりと味わい深いお部屋づくりを目指される方は
ぜひご検討いただければ嬉しいなと思います。
また、各店舗でも展示していますので、気になる方は
ぜひとも店舗にて、シェードの風合いやスマート照明
の使い心地などを試していただければと思います。
フロアライト Oak&Oilparch