オフィスチェア「WIRY OFFICE CHAIR」の企画経緯と
コンセプト設計についてお話します。
こんにちは。ヤマモトです。
Re:CENO productに、新たにオフィス家具が加わります。
2016年から販売している「WIRYシリーズ」の意匠を
継承した「オフィスデスクとチェア」で、自社で働く
スタッフ用に企画した家具でもあります。
本日のマガジンでは、この新作のオフィス家具について
企画の経緯とコンセプト設計について紐解いてきます。
前編の<デスク編>では、オフィス家具企画の経緯と、
デスクのコンセプトについて書いておりますので、
ぜひそちらからお読みいただければと思います。
前編:「WIRY DESK」の企画経緯とコンセプト設計についてお話します。
使い心地が良く、見た目も柔らかに。
無機質ではない「オフィスチェア」
前編の企画経緯でもお話した通り、オフィスチェアは
無機質で、メカニカルなデザインのものが多いです。
オフィスというのは、たくさんのデスクとチェアが
ざーっと並ぶ関係上、シンプルな方が美しいから
でしょうか。
もしくは、無機質でメカニカルな方が、仕事に集中で
きる場所と認識しやすいから、かもしれません。
オフィスチェアの有名ブランドの「HermanMiller」や、
美しいデザインの「Vitra」なんかも、メカニカルな
デザインを打ち出しています。
ただ、僕の感覚では、もう少し家具のような質感が
あった方が、現代のオフィスには合っているような気
がします。
オフィスの在り方は、昔と比べると、効率性を求める
ものよりも、あたたかみや居心地の良さを高めて、
それにより仕事のパフォーマンスが最大化するという
流れが主流になってきています。
シンプルなデスクと、オフィスチェアと、パソコンと
では、無機質な「仕事場」そのものですもんね。
り込んでいます。
僕たちのオフィスもリノベーションをするにあたって、
ファブリックフロア → オーク無垢床に張り替える
予定で、居心地の良い空間で、リラックスして働ける
場所にしようと考えています。
そうしたら、メカニカルなオフィスチェアよりも、
ファブリックや木を使った「椅子」に近い意匠の方が
デザイン的にもフィットしますし、リラックス感を
感じられるだろうと思います。
長時間座る場所としての要素も、つつがなく。
「高さ調整」と「座り心地」と「耐久性」
さて、そういうわけで「椅子」の意匠に近づけて、
「リラックスを感じられるオフィスチェア」という
コンセプトが決まり、デザインがスタートしました。
「椅子」に近いデザインということは、「そうしたら
椅子でいいのでは?」という疑問とあたることになり
ますが、そうではありません。
オフィスチェアに求められる要素として、大きく3つの
要素が存在するからです。
1つ目は「高さ調整」の機能です。
オフィスチェアは、いろんなメンバーが入れ替わり
使うことがありますので、それぞれの座高にフィット
する「可変性」が必要です。
自宅での短時間の仕事や勉強ならば、座高が合ってな
い椅子をとりあえず使っていても良いともいえます。
ただ、1日8時間×平日5日間=40時間以上を過ごす
オフィス仕事や、恒常的なリモートワークでは、高さ
が合わない椅子を使い続けると、姿勢が悪い状態が
続くことで、体を痛めてしまいます。
コロナ禍の影響で、自宅でのリモートワークが急に
始まった人の多くが苦しんでいるポイントでしょう。
なので、高さ調整の機能は、オフィスチェアに必須の
機能であり、椅子ではまかなえない機能なのです。
今回のオフィスチェアは、大手メーカーも採用してい
る機構を採用し、座面高さを 47cm~54cmの「7cm」
の高さ調整が可能になっています。
自分に最適な高さに出来ることで、気持ちよくデスク
に向かえると思います。
必須の機能の2つ目は「座り心地」です。
長い時間座り続けることを想定しているので、心地に
もこだわっています。
座部分には、リセノのソファでおなじみのコーデュロイ
のファブリックを張り込んでいます。
柔らかな触り心地が気持ちよく、とても人気の高い
この生地は、オフィスチェアらし
からぬリラックス感を感じられます。
背もたれと座面には、取り外し式の固めのウレタンを
仕込んでいるのでオフィスデスクにしては、気持ちの
いい座り心地を実現しています。
また、レバーを操作すれば、後ろに倒れる機能が開放
されて、こんな風に「船こぎ」ができるので、一息つ
きたいときに、気持ち良かったりします。
集中した後は、体が固まってしまいがちですから、
体勢を変えて、体をほぐせるのが大事だったりします。
ちなみに座面下部の回転体を操作すると、この後ろに
倒れる硬さを調整できますので、お好みの硬さが
選べますし、倒さないようロックも可能です。
また、オフィスチェアの独特な機能として、足元には
キャスターが付いていますよね。
キャスターは、別になくてもいいんですが、ある事で
立ち上がりが楽だったり、ちょっと考えごとをする時
にデスクからすいーっと遠ざかったり、横や後ろの席
の人と話をするときに、便利だったり。
やっぱりオフィスチェアには、キャスターがあると、
何かと便利なんですよね。
というわけで、キャスターもばっちり装備しています。
また、360度回転もしますので、考え事をするときに、
体を左右に振ることができるのも、仕事のストレスと
向き合ううえで、地味に貴重な機能であったりもします。
そして、3つ目は耐久性です。
オフィスチェアは、長い時間使うものですから、
耐久性も重要なポイントです。
ウレタンシートは、取り外すことができて、これだけ
を買い替えができるように提供します。
すぐにへたれることはないですが、ウレタンの性質上
ずーっと同じ場所に座っていると、だんだんと痛んで
きます。
なので、数年に1度くらいで買い替えていただければ
より長くお使いいただけるかなと思います。
また、アーム部分には、オーク無垢材を配しています。
オフィスチェアの手の部分はもっとも擦り切れてしまう
箇所で、また、手で触りますので、自然と汚れが目立つ
ところでもあります。
このアームにオーク無垢材を配することで、擦り切れて
しまうこともなく、また、同時に意匠性も高めています。
生地は、オリジナルカラーに染色。
1cmの太畝で、ざっくりとした印象に。
生地は、手に触れた時のやわらかさを求めて、綿100%
の綿糸をゆっくりと丁寧に織り上げた国産のコーデュ
ロイ生地をオリジナルカラーに染め直したものです。
製造工程でこだわったのは、太い畝(うね)幅。
コーデュロイは、畝の太さで印象がガラリと変わりま
す。畝幅が太ければ、ゆったりとラフな印象に。
細い畝幅だとスッキリと引き締まった印象に。
WIRYシリーズには、畝幅1cmの太畝を採用し、少し
離れた場所から見ても、ざっくりとした温かみを
感じるデザインを求めました。
カラーも、一から染め直したオリーブ&キャメルの2色
の生地は、独特の深みと味わいがあり、ざっくりと
ワークな印象とともに、上質さも感じさせる色合いに
仕上げています。
時が経つことで、
より深みのある風合いに。
コーデュロイ生地は、長い間使っていくと、いい感じ
にクタッとした雰囲気が増してきます。
何回も触れているうちに畝の凹凸が平らになり、色合
いも少しずつ落ち着いて、周りの家具とも馴染みが
よくなってきます。
使い始めにも増して、やわらかさ、色合いが経年で
深みを出し、さらに懐かしさの感じられる風合いに。
時間を掛けることでしか生まれないその質感は、
きっとインテリアにも新しいものでは得られない
奥行きの感じられる空間にしてくれると思います。
「2色のオーク」×「2色のファブリック」
の4タイプで発売します。
今回、ファブリックはリセノでも安定して人気のある
「コーデュロイ」を採用しました。
見た目にも独特の質感があり、触り心地も柔らかなの
が特徴です。
アームのオーク材は、ナチュラルとミッドブラウンの
2色をご用意しました。
デスクカラーと合わせたりと、お好みに合わせて、
お選びいただければと思います。
また、当店の取り扱い生地である「クリンプ生地」や
「リネン生地」もオーダーで張ることも可能ですので
ご希望の方は、店頭などでご相談いただければと思います。
「WIRY OFFICE CHAIR」
2021年7月2日より予約発売を開始します。
というわけで、新作のオフィス家具について、企画の
経緯とコンセプト設計について<前編・後編>の2回に
渡って、紐解いてきました。
7月2日に予約にて発売し、お届けは8月中頃から順次
を予定しています。
リモートワークが推奨され、自宅でのお仕事時間が
増えた方も多いと思います。
短い期間のリモートワークなら良かったのですが、
これからも続くであろう自宅仕事において、体を痛め
ないためには、きちんとした家具でお仕事することが
必須です。
ぜひ前編の<デスク編>もお読みいただき、オフィス
家具選びの候補に加えていただければと思います。
また、文中で出てきました本社のリノベーションにつ
いても、コロナ禍の影響で止まってしまっていたの
ですが、ようやく少しずつ動き出しそうです。
リノベーションが完了後には、今回ご紹介しました
デスクとオフィスチェアがずらっと並んだ様子もお見
せできると思いますので、そちらも追ってレポート
していきます。
楽しみにお待ちください。
前編:「WIRY DESK」の企画経緯とコンセプト設計についてお話します。