「レザールームシューズ」の企画経緯と
コンセプト設計についてお話します。
こんにちは。ヤマモトです。
Re:CENO productから、雑貨プロダクトの新作第2弾
「レザールームシューズ」をリリースします。
ナチュラルヴィンテージの世界観にフィットする様な
ルームシューズを作ろうと思い、新たにデザインした
シンプルベーシックな意匠のルームシューズです。
ただ、シンプルベーシックながら、この製品の特長的
なポイントは、床革(トコガワ)という革を使用する
ことで、独特な質感を表現し、それと同時に本来は
捨てられる革を使うという「サステナブル」な製品に
仕上げました。
本日のマガジンでは、このレザールームシューズの
企画経緯とコンセプト設計を紐解いていこうと思います。
サステナブルの視点で、捨てる革を活かす。
「床革(トコガワ)」で仕立てました。
このルームシューズは、牛の床革(トコガワ)を使用
しています。
「床革」とは、革をスライスしたときに出る2層目に
あたる部位のことです。
一般的に「革製品」としてみなさんが目にしているの
は、一層目の「銀面(ギンメン)」を使用したものです。
これに比べて「床革」は、銀面を取った後の残りの革
であり、一般的に耐久性が銀面に対して劣るため、
価値が低く見なされ、捨てられたりする事もあります。
ただ「床革」はとても柔らかく、表面は起毛した様な
独特の質感があり、触り心地が良く、銀面の革には
ない特徴を多く有しています。
サステナブルの視点からも、牛の命からの貴重な素材
を捨てるのはもったいないので、いわば「ホルモン」
の様な感じで愛される製品を作れないかな......と、
考えはじめました。
そこで、僕たちの強い味方である京都の革職人さんに
相談し、床革をルームシューズとして使える製品に
すべく、耐久性をもたせる工夫がスタートしたのでした。
製作は、おなじみ京都の革職人に依頼。
何度も作り直して完成しました。
前述の通り、生産はレザーティッシュケースと同じく、
京都の革職人さんに依頼しています。
リセノからの依頼は、毎度のことながら全体的に
ふわーっとしたお願いが多く、今回も試作に次ぐ試作
で、半年間で10足以上を作ってもらってしまいました。
(本当にすみません汗)
ただ、今回も本当に細かな要望に、丁寧な仕事をして
いただき、また、ルームシューズに床革を採用すると
いう今までにない製品であることで、本当に二人三脚
で作り上げました。
完成まで持っていけたのは、職人さんの豊富な知識と
高い技術があってこそだと、心から感謝です。
「床革」を丁寧に塗装することで、
美しく、耐久性も上げる。
前述のとおり、床革は一般的な銀面の革に比べて、
耐久性が劣るのが弱点です。
ちなみに聞きなじみのある「スウェード」「ベロア」
も、牛や羊などの「床革」を加工したものですので、
耐久性が著しく悪いわけではありません。
ただ、プレーンなそのままの状態では、やはり製品と
して弱いのも確かです。
そこで「撥水・撥油・防汚」の効果のある液体を、
ひとつひとつ手作業で塗っていく事で、革に張りを
与え、また同時に汚れや、水濡れに強くする効果を
与えています。
スタッフ宅の洗面所で試したところ、しっかりと水を
はじいてくれました。
塗装を厚くしすぎると、表面がテカテカになり、また
独特の風合いと柔らかさが無くなってしまいますので
薄めに塗装しています。
そのため、完全防水というわけではありませんが、
個人的には、レザー製品はピカピカな状態を保つより
も、ある程度スレや汚れがつきながら、味わいを増し
ていく方が素敵と思っていますので、ちょうど良い
くらいの塗装具合かなと思っています。
使い始めから柔らかく、足なじみも抜群です。
床革は柔らかな質感を持っていますので、使い始め
から、比較的柔らかく「足の甲が革にあたって痛い」
なんてことがありません。
使い始めは、多少の革の硬さを感じますが、1~2週間
も履いていれば、あっという間に柔らかさが出てきます。
さらに使っていくごとに柔らかく、足にフィットする
ようになり、僕も3か月ほどオフィスで使っていて、
どんどんと足に馴染んできている感覚があります。
また、全体的に繊細さを感じる意匠にするために、
革は薄めに仕上げていますが、インソール部分には
クッションを入れ、底当たりのない、柔らかな履き
心地を感じる様にしています。
また、レザーティッシュケースと同様に、インソール
部分にブランドロゴも入れました。
「生成りのナチュラル」と「ムラ感のブラウン」
の2カラーを作りました。
カラー展開は、ナチュラルカラーと、ブラウンカラー
の2色展開です。
ナチュラルカラーは、着色はせずに保護塗装のみの
仕上げです。革がもともと持つ淡いベージュ色に仕上
げており、美しい女性的な色合いが特徴です。
ブラウンカラーは、1点1点職人の手で、あえて手塗り
で着色していいます。
手塗りで行うことにより、独特のムラが表現されて、
アタリ感のある仕上げにしています。
スプレーガンなどで吹くと、ムラなくきれいに仕上が
るのですが、あえてそれはせず、手作りの良さを表現
しています。
さて、ひとつ事前に知っておいていただきたいのが、
動物という個体差のある生き物の革を使うのが革製品
なので、同じ製品でも革のニュアンスが違ったり、
塗装の発色が微妙に異なったりと「差」が出ます。
この製品は、そういった個体ごとの質感や色のムラも
味わいとして楽しんでいただくことを前提とした製品
ですので、例えば、2足ご注文いただいたとしても、
まったく同じものをお届けすることはできません。
あらかじめご了承いただければと思います。
サイズは、メンズ・レディースの2種類。
いろんな足にフィットする様に設計しています。
サイズ展開は、メンズサイズと、レディースサイズ
の2サイズ展開です。
社内のいろんな足サイズのスタッフに履いてもらって
検証した結果、メンズ/レディースで区分けするには
ソールの長さがポイントだという事が分かってきました。
通常のルームシューズの場合、例えば、女性で足の大
きい人だと、レディースサイズだとソール部分が微妙
に足りなくて履きづらく、メンズサイズだと大きくて
これもまた履きづらいわけです。
なので、ソールの長さは3回くらい試作しなおして、
履きやすい長さに調整しました。ソール部分を少し
だけ長めに作りましたので、どんな足サイズの方にも
わりと良い感じで履いていただけると思います。
こだわりを詰め込んだ「ルームシューズ」
2020年12月25日より予約発売を開始します。
というわけで、新作のレザールームシューズの
コンセプトと設計のポイントを書いてみました。
12月25日にオンラインにて予約販売を開始しまして、
東京店・京都店の展示も含めて、お届けできるのは、
3月中頃を予定しています。
京都の職人さんの手作りの製品で、大量生産できない
ため、初回生産は各色・各サイズ6点のみとなります。
ご検討いただける方は、予約にてお早めにご購入いた
だければと思います。
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