「WIRYテレビボード」の企画経緯と
コンセプト設計についてお話します。
こんにちは。ヤマモトです。
Re:CENO productから、新たにテレビボードを
リリースいたします。
ダイニングシリーズのロングセラー商品「WIRY」の
「オーク×華奢なアイアン」という美しい意匠を
踏襲した製品です。
もちろん、Re:CENO productのコンセプトである
「見た目だけではない、生活に寄り添った工夫」を
今回も設計から入れています。
現代の生活やデバイスにおいて、そもそも
「テレビボードに求めるものが変化しているのでは?」
という根源的なデザイン発想の転換です。
本日のマガジンでは、このテレビボードの企画経緯
とコンセプト設計を紐解いていこうと思います。
技術革新によるテレビ本体と周辺機器の変化
近年の技術革新やインフラの整備にともなって、
テレビは薄型/大型が主流となりました。
かつてはテレビとは別に用意した機器で行っていた
録画はテレビに内蔵され、DVDやBlu-rayもディスクを
必要としない小型のストリーミングデバイスひとつで
映画なども手軽に見られるようになりました。
このようにテレビ本体および周辺機器は、技術革新と
ともに大きく変化しました。
ところが、実はテレビボード自体はその形やサイズ
自体に大きな変化はありません。
このような現代生活の中で、はたして昔のような
「収納という役割を大きく担うテレビボードは、
もはや不要なのかも?」と考えたのが、今回の企画
のはじまりです。
お部屋の有効スペースをより広く取るために、
テレビボードは「低く、薄く」に。
以前の様にテレビと周辺機器が不要になる中で、
AV機器以外にも、DVDやTVゲームのパッケージも
テレビ周りから姿を消しています。
ひと昔前は、子供たちが大好きなアンパンマンや、
ジブリ作品のDVDが、テレビボードの中にぎっしりと
入っているという家庭も多かったと思いますが、今は
すべてTVの中のストリーミングサービスに変わりつつ
あります。
つまりはテレビボードにおいて「収納」という役割は
かつてほど重要ではなくなったのです。
今回発売するWIRYテレビボードは「収納」という役割
を担う必要がなくなったことにより、奥行きは通常の
テレビボードよりも7cmほど短く、また高さは10cm
ほど低く設計しています。
奥行きが7cmほど短くなったことで、リビングの有効
寸法は広くなります。たかが7cmと思うかもしれません
が、リビングでの7cmの縮小は、割とインパクトがあります。
また、高さが10cm低くなったことにより、圧迫感が
ずいぶんと無くなり、目線に入りづらくなったことで
心理的にもお部屋を広く感じさせる効果があります。
上:LINE 奥行き42cm/下:WIRY 奥行き35cm
テレビボードの画一的なサイズを、役割の変化とともに
リサイズしたことにより、より広く・開放的に感じる
リビングづくりの一助になると思います。
また、インテリアコーディネートからの視点でも、
テレビは実はなかなかのやっかいもので、黒い四角い
物体は、インテリアの統一感を崩してしまうため、
できる限りその存在感を消したいものです。
このテレビボードにより存在感を縮小することで、
お部屋のコーディネートの完成度も上がることを
期待しています。
低くしたことで、より楽な姿勢での
テレビ視聴が可能になります。
テレビ視聴に適した姿勢は「首が10~15度下を向く
姿勢」と言われています。
ソファーに座って、テレビを少し見下げる感じの角度
が、長時間見ていても、肩が凝りづらいそうです。
通常のソファーの「座面高」は、だいたい38~40cm
くらいです。
そこから身長170cmほどの人の座高を足すと、目線の
高さは、だいたい床から85cmくらいになります。
女性だともうすこし低い80㎝くらいでしょう。
子供なら、もっと低い50~70cmですね。
「最適な角度」と「テレビまでの距離」が分かれば、
sin(サイン)・cos(コサイン)・tan(タンジェント)で
おなじみの三角関数を用いれば、最適な「テレビの
高さ」が算出できますが、ここではややこしいので、
割愛します。
ただ、ざっくりと説明すると、女性で例えるならば、
テレビ画面の中心部が、目線の高さである80cmよりも
低くなっていると、疲れづらいわけです。
32インチのテレビならば、テレビ本体の高さが約45cm。
画面中心部までの高さは、約22.5cmです。
(目線高)80cm - (画面中心)22.5cm = 57.5cm
ということで、テレビボードの高さが57.5cmで、
目線とテレビの中心が平行となります。
そこから10~15度目線を低くするためには、57.5cm
よりも低いテレビボードを選ぶのが最適となります。
そして、このテレビボードの低さが真価を発揮するのが
大型テレビを合わせた時です。
同じ式にあてはめると、55インチは高さが80cmほど
ですので、
(目線高)80cm - (画面中心)40cm = 40cm
40cmよりも低いテレビボードが最適です。
市販のテレビボードは、高さ40cm前後のものが多いの
で、より女性や子供に焦点を当てたプロダクトとして
設計したのが、今回のテレビボードで採用している
高さ「35cm」です。
左:WIRY 高さ35cm/右:LINE 高さ37cm
家にいることが多いであろう主婦の方や、子供たちが
「大型テレビ」を「自然な角度で」見られるという
解決を入れ込んだわけです。
テレビボードを選ぶときには、横幅やデザインから
選ばれる方も多いと思いますが、この「高さ」に着目
すると、普段の肩こりも軽減されるかもしれません。
また、僕のようにソファーに寝ころんでテレビを見る
という方も多いと思います。寝ころんだ時の目線の
高さは、床から約50cmです。
僕自身も自宅でWIRYテレビボードの試作品に60インチ
のテレビを置いて、いつも寝ころんで見ていますが、
やっぱりかなり楽な気がします。
「寝ころんで視聴派」の方には、出来る限り低い設計
のテレビボードを強くお勧めします。
特注の真鍮取っ手をアクセントに。
こうして成功した前面の美しいオーク木目を持つ意匠
ですが、さらに、もう一つアクセントを加えました。
WIRYシリーズに共通してアクセントとして入れている
「真鍮」パーツです。
同じWIRYシリーズの真鍮パーツを製造してもらって
いる工場に依頼し、専用で特注の真鍮取っ手を
一から成型して、作ってもらいました。
国産なら真鍮の取っ手は1つあたり4,000~5,000円ほど
しますから、これだけでもかなりの高級品です。
今回はWIRYの工場に製造を依頼していますから、
価格はもちろんかなり下がっています。
ソリッドの真鍮なので、使っていく中で経年変化を
していきますので、長く使えば使うほど、より味わいを
増していきます。
脚を取り外せば、より低くも使えます。
また、脚を外して低く使うこともできるように
追加設計しました。
脚を取り外して、アジャスターを付け替えることで、
約11cm低くなります。
和室での利用や、こたつに入って使う時には、この
低いスタイルが良いと思います。
2サイズ/2カラーで、2019年12月6日より
予約発売を開始します。
というわけで、新作のテレビボードのコンセプトと
設計のポイントを書いてみました。
Re:CENO productは、デザインの素敵さだけを追わない
という方針を持っているので、今回のテレビボードも
しっかりと生活の「不便」「不快」といった「不」の
解決の提案まで含めた製品に仕上がったと思います。
ちなみに写真の通りですが、カラー展開はナチュラルと
ミッドブラウンの2色。サイズは幅150cm/180cmの
2サイズの合計4タイプを作りました。
12月6日にオンラインにて予約販売を開始します。
東京店・京都店にはそれぞれ来週には展示を開始でき
ると思います。
実際の製品をお客様へお届けできるのは、12月下旬を
予定しています。
こだわりを入れたことで、価格も少し高めになって
しまったのですが、それ以上に長く愛せる製品に
仕上がったと思います。
ぜひ、テレビボード選びに加えていただければ
幸いです。
WIRYテレビボード ラインアップ