「folk伸長式ダイニングテーブル」の企画経緯と
コンセプト設計についてお話します。
こんにちは。ヤマモトです。
Re:CENO productに、新たにダイニングテーブルが
仲間入りします。
オーク材を使ったシンプルな伸縮テーブルですが、
例のごとく、細やかな工夫や使い方の提案を入れています。
本日のマガジンでは、このダイニングテーブルの
コンセプト設計を紐解いていこうと思います。
人の増減にフレキシブルに対応する
楕円伸長式ダイニングテーブル
今回発売するダイニングテーブルは、オーク突板天板と
オーク無垢フレームを使った伸長式仕様です。
家族や友人が集まっての食事する際に、フレキシブルに
可変し、人数の増減に対応するというコンセプトで
設計しました。
「フレキシブル=柔軟」という表現のゆえんは、
1つは伸長することで、テーブルの面積が広がること。
エクステンション天板を取り外すと、110cmの円形になり、
エクステンション天板を付けると、170cmの幅広の楕円形ダイニングになります。
もう1つのフレキシブル=柔軟性を感じられるポイント
は、楕円形にデザインしたことで生まれた「角R」。
この「角R」をうまく使った多人数への柔軟な対応力です。
本来「角」になる四方が、「角R」の円形になっている
ことで、テーブルを囲む様にチェアを配置でき、
長方形よりも多くの人が座れます。
四角形だと「長辺・短辺」という4つの辺ができるのに
対して、楕円はひとつのつながった辺として捉えること
が出来るので、より柔軟に人を受け入れることができ、
まさに「みんなで卓を囲む」スタイルになります。
四方の斜め部分って、なにげに一番リラックスする席
だったりして、個人的に好きだったりします^^
また、住宅というものは、面積効率を考えて作られて
いますので、住宅のインテリア製品は、圧倒的に
「四角形」が多いです。
キッチン、冷蔵庫、TVボード、ラグマット・・・。
角が多いのが、心理的な緊張感につながります。
日々の暮らしのアイテムの中で、角が丸いというのは、
それだけでも、空間の緊張感を緩和する心理的効果が
あります。
比較すると、長方形と楕円形では、こんなにも角が
あることの圧迫感は違います。
こんな心理的な意味でも、ダイニングに柔軟な印象を
与えてくれます。
「楕円形」「伸長式」という2つの意匠設計が、生活に
フレキシブルさと、空間にリラックスを与えてくれる
ように、今回のダイニングを設計しました。
北欧ヴィンテージ式を採用した
「脚の位置が変わる」伸長仕様
さて、今回のダイニングテーブルは伸長式ですが、
「伸長」の方式は、市販のテーブルの中でもそれぞれ
いくつかの仕様に分かれています。
主だった仕様は、3種類です。
1つは、バタフライ式伸長。
ウェグナーのCH006が有名です。
伸長部分の天板がパタッと折れる、シンプルな伸長仕様
ですが、伸長部分のある辺は、板が邪魔で利用できなく
なるのが、難点です。
もう1つは、スライド式伸長です。
スライド式は、伸長する部分が、普段の天板の下に
隠れているので、使えなくなる辺が存在せず、機能性
に問題はありません。
しかしながら、ダイニングテーブルにすると、天板の
厚みが野暮ったくなるのと、何度もスライドしている
と、天板に擦り傷などがつきやすいのが難点です。
上記2つの伸長仕様に対して、今回採用したのは
「エクステンション式」です。
中央に追加天板をプラスすることにより、全長を伸ばします。
この仕様は、北欧ヴィンテージのダイニングテーブルで
よく使われるのですが、大きな特徴として、伸長時に
脚の位置も一緒に外側に動きます。
脚が外に動くことで、長辺側に何人か座っても、
脚元をすっきりと使うことができます。
また、今回のような楕円形のテーブルの場合、3つの
仕様では唯一、伸縮時に円形になるのもポイントです。
同じ楕円形のダイニングテーブルを作る際に、
バタフライ・スライド式は伸縮時は四角形に対して、
エクステンション式は、円形になります。
3つの伸長仕様の中で、伸長時の実用性と美しさの点で
エクステンション式が最も素敵と、僕は思います。
エクステンション式の難点としては、使わない時に
天板の置き場所に困るということでしょうか。
置き場所に困るというのは、地味に嫌な点だとも思う
のですが、冷蔵庫横のスキマなんかにしまうのがいい
かなと思います。
でも、実はこれもそれほど大きい問題ではないかなと。
というのは、僕自身の経験では、現実的には伸長した
ままにしておくことが多く、縮めて使うのは、用途が
変わった時かな?とも思っています。
例えば、ダイニングで使っていたのを書斎に移すとか、
人に譲るとか。
そういうライフスタイルやシーンの転換って、無い様で
実は意外とあって、そんな時にサイズを変えられるのは
「捨てる」という選択肢の前にひとつ加わるわけです
から、これが実は重要なポイントだったりします。
奥行きは、すこし深めの110cm。
この距離感が、リラックスできるんです。
このダイニングテーブルは、奥行き(直径)が110cmあります。
普通のダイニングは80cmくらいが多いですから、
ずいぶんと贅沢なサイズです。
僕は自宅では北欧ヴィンテージの115cmの楕円テーブル
を使っているのですが、この広めの奥行きは、対面の
人との距離が遠く、なにかとてもリラックスします。
飲食店なんかと違って、自宅のダイニングは空間自体が
狭いですから、対面の距離が近いと圧迫感を感じて、
友人が来た時なんかでも、なんだか外食のお店よりも
少し緊張感があり、結構疲れます。
素敵な飲食店と違って、家は明るいので、人をより
強く感じるのもあると思います。
だから、自宅のダイニングでは、できれば奥行きは
広めにとって、すこし人との距離をとった方が、楽に
過ごせたりします。
というわけで広めの設計にしたのですが、115cmという
のがあまりにも大きいかな?と思ったので、少しだけ
小さくして、110cmに設計しました。
このテーブルのサンプル完成後に、自宅でもしばらく
使ってみましたが、110cmはなかなかにしっくりと
良い感じです。
伸長すると、170cm。
少し大きいのが、良い感じです。
長い辺は、伸縮時は110cm/伸長時は170cmです。
1人あたりに必要な食事幅は60cmですから、2人だと
広め、3人だとちょっと狭めといった感じです。たまの
集まりの食事会なら、一人あたり57cmでも問題ない
かなと思います。
暮らしにあったダイニングの選び方
また、お子様は60cmもいらないですから、子供のいる
3人家族とかだと、2家族がちょうど対面に並べる感じです。
もちろん楕円形テーブルは参加人数がフレキシブルです
から、斜めに椅子を振ったりすれば、人数に確定的な
制限はありません。
180cmまで行くとかなり大きくなってしまうので、
170cmに留めておきました。
それでも割と大きいので、エクステンション天板の
オーダーカットも承ろうかと考えています。
現在のエクステンション天板を5cm刻みでオーダー
カットして、115cm~165cmでご家庭にあわせて
ご注文いただけるとかも面白いかなと考えています。
このあたりは、国内の職人さんと調整中なので、
しばしお時間ください。
天板も、脚も、丸みを。
お子様にもやさしい設計です。
天板や脚には、すべて丸みを帯びさせました。
お子様が万が一「コツーン!」とテーブルにぶつかった
りしたときにも、角が立っているテーブルよりも
いくらか安心と思います。
高さは、今回もこだわりの「68cm」に。
少しの低さが、リラックス感を生みます。
リセノプロダクトのダイニングテーブルといえば、
WIRYシリーズですが、こちらと同様に、高さを普通
のテーブルよりもすこし低めの「68cm」に設計しています。
通常のダイニングは72cmが多いので、4cmくらい低めです。
たかが4cmと思いますが、座ってみると、この4cmは
かなり体感が違います。テーブルの圧迫感が少ないので
リラックスして座れます。
通常のチェアーは座面高が42cmくらいが多いので、
差尺は26cmとなり、基本的な座りやすい差尺も
ほとんどのチェアでクリアできると思います。
感じていただかないとなかなか説明しづらいので、
お近くの方は、東京・京都のお店に足をお運びいただ
ければと思います。
もしくは、ダイニングをすでにお持ちの方は、チェアの
下に4cmくらいの本とかを置いて、相対的にテーブルが
低くなるようにして、ご自宅で簡易的に試してみてください。
結構、その差に驚かれると思います。
セットのチェアはまだありません。
お好きなチェアを自由にあわせてください。
セットのチェアですが、今回の発売には間に合わず、
現在、製作中です。
といっても、まだ半年以上はかかりそう。デザインは
出来上がっていて、ベトナムやインドネシアなどに、
試作依頼中ではあります。
というわけで、現時点では、他のチェアーを合わせて
コーディネートをオススメしています。
シンプルなオーク材のダイニングですから、オークは
もちろん、チークなんかは、違和感なく合わせられる
と思います。
リセノで人気のラタンチェアはチーク材で、ナチュラ
ルカラーに合わせると良い感じです。
ブラウンカラーも、自然素材の良さと相まって、
味わいのあるダイニングに仕上げることが可能です。
また、北欧の名作チェアとも相性が良く、意匠的にも
ぴったりとフィットします。
「J39」ともよく合いますね。
また、僕の自宅では、そもそも合わせているチェアー
は、全部バラバラです。
素材やカラーは合わせながらも、別々のチェアーを
ひとつのテーブルにあわせて使うのも、とっても
おしゃれで、気に入ってます。
ぜひこの機会にチャレンジしていただければと思います。
2019年8月発売予定です!
というわけで、新作ダイニングテーブルのコンセプトと
設計のポイントを書いてみました。
Re:CENO productは、デザインの素敵さだけを追わない
というコンセプトを持っているので、今回のテーブルも
しっかりと暮らし方の提案まで含めた製品に仕上がった
と思います。
ちなみに写真の通りですが、カラー展開はナチュラルと
ミッドブラウンの2色で、8月発売を予定しています。
(実は、この撮影中に1点変更したいアイディアを
思いついてしまい、そこをアップデートしてからの
発売です。9月中旬お届けの予約にさせてもらいます。)
少しお待たせしてしまいますが、最後までこだわった
良いダイニングテーブルですので、ぜひ、ダイニング
選びに加えていただければと思います。
folk伸長式ダイニングテーブル