知っていますか? 家具を作る道具たち。
刃物の手道具3点についてご紹介します。
こんにちは。
みなさま、はじめまして。
この度、新しくRe:CENO KYOTOに仲間入りしました、
ムロノソノと申します。
今年の5月からRe:CENOに入社し、
京都店の店舗スタッフとして働いております。
前職では家具を作るお仕事しており、
造作家具や木の小物など作っておりました。
家具がとても好きで、インテリアの魅力を多くの方に
お伝えしたいと思っておりますので、
どうかよろしくお願い致します。
さて、話は変わりまして、
みなさんは家具がどのようにして作られているか
気にされたことはありますか。
みなさんのご自宅にある家具は、
誰かの手によって作られています。
今回は家具を作っていた私の経験も踏まえながら
家具を作る時に使う『刃物の手道具3点』について
ご紹介したいと思います。
家具のこういった形には
このような道具が使われているというのを
知っていただけると、また違った視点で
インテリアが楽しめるかと思います。
それではご紹介していきます。
木を削る道具:鉋(かんな)
鉋(かんな)は後ろに引きながら、
表面数ミリを薄く削り、
テーブルの天板などの『化粧面』を
仕上げる道具になります。
・刃の出しろの調整
・木目の読み方
・力の加減
それらを微調整しながら作業を行うので、
仕上がりは使う人の腕に左右されます。
『平らな接合部』にも鉋は使われており、
木組みを行った際にできる、僅かな段差を
平らに仕上げる事が出来ます。
AGRAソファーの土台の枠部分
2つの木材をあわせた時にできる段差のことを
『目違い』といいます。
鉋で目違いを取る際には、
一か所だけを削るのではなく、
全体的に削ります。
そうしないと一か所だけ凹んでしまうので、
全体が平らになるよう、バランスを見ながら
削っていきます。
また丸や円などの『曲線・曲面』には
「南京鉋(なんきんがんな)」と言われる
横長の鉋が使われます。
平鉋(ひらがんな)に比べて、自由に削れる分、
削りすぎないよう、注意して削り進めていきます。
木を切削する道具 : 鑿(のみ)
鑿(のみ)は木に対して突くような動きをして、
木を切削する道具になります。
刃の形状も大きさもたくさんあり、
加工の用途に合わせて使い分けます。
余談なんですが、
平鑿(ひらのみ)を研ぐのはとても難しいです。
砥石にあたる面積が小さいので、
刃の角度が変にならないように
手首を固定しながら研いでいきます。
私も前職では仕事終わりにずっと練習しており、
はじめの頃は何度も刃を丸くしておりました、、。
「嫁は貸しても砥石は貸すな」の教え
決して砥石は他人に使わせてはいけないという意味。
研ぎ方には人それぞれの癖があり、誰かに使われてしまうと
砥石に癖が残り、一気に研ぎにくくなってしまうので、
決して他人に貸してはいけません。
鑿はホゾと呼ばれる
木組みの加工に使われます。
WICKER CHAIRの脚部分
椅子やテーブルの脚には、
ホゾとホゾ穴を彫って
組立てている物があります。
見えなくなる場所なのですが、
ホゾの正確さが家具の強度に繋がるので、
緩みが出ないよう、細部まで正確に成形します。
またスプーンや器などの
丸みを帯びた掘り込み箇所には
丸鑿(まるのみ)が使われています。
刃先が丸いものや首から曲がっているものなどがあり、
それらを使い分け、木目を読みながら掘り進めていきます。
木を切断する道具 : 鋸(のこぎり)
鋸(のこぎり)は刃を木に当てて、
後ろに「引く」ときに切ることが出来ます。
樹種や切る箇所によってはかなり力を使うので、
ずれたり切りすぎたりしないよう
注意して作業を行います。
ちなみに海外の鋸は「押す」ときに切ることが出来ます。
先に紹介していた鉋(かんな)も、海外のものは
「押す」ときに削ることができます。
「引く」という使い方は日本の道具の特徴ですね。
鋸が使われているところは、
家具の接合部分で、写真のような
『ダボ埋め』が施されている箇所です。
家具の接合場所には、
ビスを使って組んでいる物があり、
ビスの頭を隠す技法として、
ダボ埋めというものがあります。
ダボを切り落とす際には、
『あさり無し』の鋸を使うと良いです。
『あさり』とは
鋸(のこぎり)のギザギザの箇所が
少し外側へ開いている箇所の名称です。
少し開いていることで、木材が鋸の刃を
挟まないようにしてくれます。
『あさりなし』だと、
刃を家具にくっつけて切っても傷が付かないの、
ダボ切りをする機会がありましたらオススメです ^ ^
また、あまり無いかもしれませんが、
椅子やテーブルの高さを低くしたい時に
鋸が使われます。
機械で行う事もありますが、
物によっては機械ではできない物もあり、
そのような時は手道具で行う方がやり易いです。
墨付けをしっかり行い、ズレのないように切断します。
過程を知ると、インテリアはもっと面白く感じる。
いかがでしたでしょうか。
普段何気なく使っている家具でも、
その過程を知ると、より愛着が湧きませんか。
木の元々の自然の形から、
人の手によってカチッとした形に変わる過程は
知れば知るほど面白いです。
みなさんもインテリアショップへ行かれた際には
作る人目線で家具を見ていただき、
インテリアを楽しんでいただけたらと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。