センスのいらないインテリア【スタイリング編】｜「アクセントアイテム」で趣きをプラスする

インテリアに、深みと趣きを手軽にプラス。
「アクセントアイテム」を使ったスタイリング

今回のテーマは「アクセントアイテム」です。

アクセントアイテムとは、文字通り

お部屋のアクセントとなるインテリアアイテム

のことで、配色の基本セオリーでご紹介した

「5％ ＝ アクセントカラー」

と同じように、空間のスパイスの役割を果たす
アイテムのことを指します。

アクセントアイテムをスタイリングに取り入れると、
手軽にお部屋の雰囲気が良くなり、個性を感じられ、
深み、趣きといったものも感じられるようになります。

難しい知識や、取り入れ方の知識も要りません。

個性的なアイテムは、そこに佇んでいるだけで、
お部屋に個性を与えてくれる頼もしいアイテムです。

アクセントアイテムは、さまざま。

掛け時計もそうですし、オブジェ、クッション、ブラン
ケット、アート、照明 etc.....　さまざまなインテリアア
イテムが該当します。

「そんなアイテムだけで、お部屋の雰囲気が本当に変わるの？」

と思われるかもしれませんね。

でも、ファッションで例えるならば、アクセサリーで
あったり、腕時計であったり、靴であったりでイメージ
してみてください。

服装全体としてみると、割合は5％程度にすぎませんが、
それがあることで、その人なりの個性が読み取れる様な
アイテムですよね。

アクセントアイテムについて学ぶことで、あなたのお部
屋は、これまでとは見違えるほどに深みがあり、趣きや
知性、個性を感じられようになるでしょう。

お部屋での「アクセントアイテム」の効果

さて、本編に入る前に「アクセントアイテムの効果」
について、分かりやすく紐解いておきましょう。

ダイニングシーンを例にとって、ビフォーアフターで
アクセントアイテムのある場合、ない場合を比較して
見ていきます。

家具のみを配置

まず、お部屋に家具だけを配置した状態です。

引っ越した日は、大抵の場合、こんな状態からスタート
しますね。

装飾アイテムはこの時点ではなく、ベースとなる家具
だけの状態です。

面白味がないお部屋

ここに生活するために必要な照明や、日用品を加えて
いくわけですが、この過程が分かれ道です。

日本のお家で割と多いのが、上のの写真のように
「整っているけれど、面白みがない」お部屋です。

お部屋に「見どころ」や「個性」がないため、悪くは
ないけれど、決して良くもないお部屋になってしまう
のです。

この「センスのいらないインテリア」シリーズにて
学んできた方は、すでにお分かりかとは思いますが、

「ベーススタイリング」はできているけれど、「ポイントスタイリング」はできていない部屋

ということですね。

センスのいらないインテリアスタイリング編-｜ベーススタイリングと、ポイントスタイリング

センス不要で、インテリアスタイリングを美しく仕上げるセオリーの「基礎」をご紹介します。

https://www.receno.com/pen/beforestyling/u4/2024-07-05.php

一見すると、きれいに整理整頓されていて、清潔感の
ある良いお部屋に感じるかもしれませんが、おしゃれ
とは言い難い印象です。

棚の中を見てみても、ひとつひとつのアイテムたちには
個性はなく、なんとなく整然と置いているだけ。

深みや、趣きを感じる「素敵な」お部屋とは、
なかなか言いづらい印象を受けます。

これは、ファッションの例でも説明しましたが、アイテ
ムというのは、必要な用途は満たすだけでは、求めるも
の半分しか得られません。

つまりは、

「使い心地」は満たしているけれど、「見心地」は満たしていない

という状態です。

これでは、素敵なお部屋には仕上がりませんし、
暮らしていても、楽しくないでしょう。

アクセントアイテムを配したお部屋

一方、まったく同じお部屋であっても、しっかりと個性
を感じさせる質の良い「アクセントアイテム」を配した
お部屋はどうでしょう？

お部屋に「見どころ」や「個性」が感じられて、自分
だけのインテリアを楽しんでいるのがお分かりになる
でしょう。

アクセントアイテムを配して、お部屋に加えることで、
お部屋は華やぎ、そこにいることで、心が充足したり、
リラックス感を得られたり、心身ともにとても良い効
果が得られるのです。

アクセントアイテムは、棚に飾るディスプレイに限らず

• 照明
• アート
• 植物
• マット
• ベンチに置くファブリック

など、お部屋全体に散りばめていくことで、インテリア
スタイリングの良いスパイスとなってくれます。

用途を満たすだけでなく、お部屋のスパイスとなり、
個性を感じさせてくれる「アクセントアイテム」は、
お部屋づくりの強い味方になるのです。

タイプ別 5つの「アクセントアイテム」をご紹介します。

さて「アクセントアイテム」を取り入れることによって
お部屋が素敵に変化するイメージは、ご理解いただけた
でしょうか。

これらの「アクセントアイテム」は、大きくわけて5つ
のタイプに分かれます。

それは、

1. 古びた趣きのあるもの
2. 時間とともに表情が変化するもの
3. 織ったもの・編んだもの
4. 自然素材
5. 手仕事のあとが感じられるもの

の5種類です。

それぞれがお部屋に与える効果と、カテゴリごとの
代表的なアイテムをご紹介していきましょう。

1. 「古びた趣きのあるもの」

1つ目のアクセントアイテムは「古びた趣きのあるもの」です。

作られてから20年～100年ほど経過しているものを
「ヴィンテージ」、100年以上経過しているものを
「アンティーク」と呼びます。

長い年月を経過しているアイテムは、独特のかすれや
風合いといった「経年変化」が見られたり、機械が少
なかった時代に1点1点手作りで作られていたりと、現
代の新品には出せない味わいを、深く感じ取れます。

1950年代～の北欧ヴィンテージ

その独特の風合いをお部屋に取り入れることで、シン
プルなお部屋であっても、深い趣きを取り入れること
ができます。

2. 「時間とともに表情が変化するもの」

2つ目のアクセントアイテムは「時間とともに表情が
変化するもの」です。

「古びた趣きのあるもの」がすでに古いものを取り入れ
るのに対して、こちらは自分で「育てる」ことで、時間
の経過とともに、良い味わいとともに、自分自身と一緒
に過ごす時間による愛着が増すという性質のものです。

買った当初はぴかぴかであったのに、時間とともに少し
ずつシワが入ったり、かすれが出たり、深い味わいを
増していく姿は、実に感慨深いものです。

ファッションであればジーンズや革財布などがそれに
あたるでしょう。

3. 「織ったもの・編んだもの」

3つ目のアクセントアイテムは「織ったもの・編んだもの」です。

クッションカバーやブランケットなど、ファブリックに
は独自の織り柄や、編み模様があります。

布がもつ独特な風合いと、柔らかな手触り、あたたかさ
は、心身共にひとを温めてくれます。

お部屋に取り入れることで、ほっとさせてくれる重要な
アクセントアイテムです。

4. 「自然素材」

4つ目のアクセントアイテムは「自然素材」です。

自然素材とは、植物やお花のことを指し、それらの
生命感や複雑性は、人工物であふれた無機質なお部屋に
有機的な印象を与えてくれます。

2つとして同じものがない複雑な造形である植物は、
お部屋に「立体感」も与え、また育てるという手間が
愛着ももたらしてくれます。

お部屋にはなくてはならないアクセントアイテムの
ひとつと言えるでしょう。

5. 「手仕事のあとが感じられるもの」

5つ目のアクセントアイテムは「手仕事のあとが感じられるもの」です。

手仕事でひとつひとつ職人の手で丁寧に作られるアイテ
むは、工業製品にはない独特な風合いがあります。

ひとつひとつ質感や表情が微妙に異なり、ちょっと曲
がっていたり、バランスが悪かったり。

完ぺきではないからこそ、無機質なお部屋に、やわらか
なぬくもりをプラスしてくれます。

「アクセントアイテム」の代表アイテムと、実例

ここからは、上でご紹介したアクセントアイテムを
実際のお部屋でスタイリングしている写真とともに
スタイリングアイデアとして、ご紹介しましょう。

それぞれのアクセントアイテムが、お部屋においてどの
ような印象を与えてくれているのかを、実例としてぜひ
ご覧ください。

1. 「古びた趣きのあるもの」で深みを与える

ヴィンテージランプ

ランプは、一定以上の大きさがあり、お部屋を明るく
照らすだけではなく、アクセントアイテムとしても、
とても大きな影響を与えてくれます。

特に、夜に光に照らされる本体部分は、ヴィンテージ
品などは、なんともいえない美しさを感じさせてくれ
るでしょう。

ヴィンテージランプのスタイリング例

参考画像

ヴィンテージオブジェ

オブジェは、お部屋に飾るためのアイテムですが、
ヴィンテージのオブジェは、量産品であったとしても、
アート作品のような強い魅力があります。

それは、やはり長年を経ても捨てられずに、誰かの手に
よって愛でられ続けてきたという歴史を奥行きとして
感じるからでしょう。

1950年頃の北欧ヴィンテージのオブジェなどは、市場
に手ごろな（と言ってもお高めですが）お値段で手に
入れることが可能です。

北欧に限らず、古いオブジェは、ヴィンテージショップ
や、蚤の市などで掘り出しものと出会えたら、お部屋に
迎えてみましょう。

ヴィンテージオブジェのスタイリング例

参考画像

ヴィンテージ家具

ヴィンテージ家具も、アクセントアイテムのひとつです。

古い雰囲気のお部屋が好きな方は、テーブルからチェア
、シェルフまですべてをヴィンテージ品を揃えても良い
でしょう。

また、現行品の新品家具に対して、アクセントとして
すこしだけヴィンテージ家具を取り入れるのも、おす
すめです。

例えば、スツールだけをヴィンテージ品にしたり、
サイドテーブルだけをヴィンテージ品にしたりするだけ
でも、お部屋に大きな印象を加えることができます。

ヴィンテージ家具のスタイリング例

参考画像

2. 「時間とともに表情が変化するもの」を育てる

真鍮

真鍮は、上品な質感を感じさせるため、インテリア製品
にもよく使われる素材です。

真鍮アイテムは、新品のときの美しい金色も魅力のひと
つですが、時間の経過に伴って、黒ずんだ後にも独特の
趣きを感じさせてくれます。

照明、時計、雑貨などに真鍮アイテムを選ぶことで、
時間の経過とともに表情が変化していき、趣きを増して
いくのも特徴です。

真鍮のスタイリング例

参考画像

レザー（革）

レザーのアイテムも、時間の経過とともに味わいを
ましていきます。

時計や雑貨、ティッシュカバーなどさまざまアイテム
に使われるレザーは、日々の暮らしに寄り添うように
表情を変えてくれます。

革製品は、動物からもらう自然製品なので、愛着をもっ
て、長く使うと良いですね。

レザーのスタイリング例

参考画像

3. 「織ったもの・編んだもの」で表情を与える

表情のある織物

クッションカバーやブランケット、ラグマットなど
織ったもの、編んだものには、プリントとは異なる
趣深い見た目と、肌触りがあります。

凹凸があることで、陰影がついたり、手触りに変化が
あり、五感のひとつである「触感」も刺激してくれる
のです。

「織ったもの・編んだもの」の代表アイテムである
ファブリック（布）製品は、インテリアの見心地を良く
するだけでなく、直接肌に触れる心地よさもあるので、
良いものを選ぶと良いでしょう。

見心地、使い心地の2つを、同時にお部屋に与えてくれ
るからです。

表情のある織物のスタイリング例

参考画像

4. 「自然素材」でお部屋に複雑性を加える

観葉植物

観葉植物をお部屋に取り入れることで、人工物では感じ
ることができない「複雑性」をお部屋に与えてくれます。

シンプルなお部屋に「複雑性」を取り入れることで、
お部屋の雰囲気はぐっと良くなります。

観葉植物だからといって、大きなサイズに限定すること
はありません。

中サイズをスツールに乗せたり、小さな植物を棚に飾る
ことでも、良いアクセントアイテムになります。

観葉植物のスタイリング例

参考画像

生花・ドライフラワー

観葉植物と同様に、お花やドライフラワーをお部屋に
飾るのも、良いアクセントアイテムです。

花は、季節によって旬がありますので、花瓶に季節の
お花を活けるだけで、お部屋に季節感を取り入れるこ
とができます。

また、落ち着いた印象を高めるためには、ドライフラワ
ーという選択肢もあります。

生花よりも長持ちするうえに、生花とは異なる趣きを
お部屋に与えてくれます。

生花・ドライフラワーのスタイリング例

参考画像

つるで編んだインテリアアイテム

つるで編んだアイテムも、自然素材のアクセントアイテ
ムです。

つるは、つる植物という科目の植物であり、自然素材です。

人工の糸などとは異なり、1本1本が自然素材のため、
太かったり、細かったりとさまざまな形をしています。

その不均整なフォルムが、自然素材ならではの独特な
味わいを生みだすのです。

つるで編んだインテリアアイテムのスタイリング例

参考画像

5. 「手仕事のあとが感じられるもの」でぬくもりをプラス

木工品

木で作られる「木工品」は、手で削り出しを行うなど
手作業のあとが感じられるアクセントアイテムです。

職人さんが手で1点1点作り出すアイテムには、機械製
のものとは異なる独特の趣きがあります。

量産品であっても、1点ずつ微妙に異なる表情をしてい
たり、経年変化もしたりと、木工製品には昔ながらの
愛着を感じさせる一面があります。

木工品のスタイリング例

参考画像

陶器

陶器製品にも、手作りの良さがあります。花瓶などは
陶器で作られたものも多く、植物とともに良いアクセ
ントアイテムになってくれます。

また、キッチンアイテムなどでも陶器はよく使われる
素材です。

柔らかな土の表情が活きている製品は、ハンドメイド
の製品でなかったとしても、その柔らかな表情はイン
テリアの良いアクセントになります。

陶器のスタイリング例

参考画像

アート・ドローイング

アートやドローイングなども、良いアクセントアイテム
のひとつです。

アーティストが描いた手仕事を感じられるアートは、
お部屋に深い印象を与えてくれます。

また、自作の押し花であったり、家族の写真なども
良いアクセントアイテムです。

アート・ドローイングのスタイリング例

参考画像

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ここで紹介したのは、5つのタイプのアクセントアイテ
ムの一例です。

それ以外にも、アクセントアイテムとなるアイテムは
たくさんありますので、ぜひいろいろと探して、飾って
みて、自分なりの個性のあるお部屋づくりを楽しんで
もらえればと思います。

＜コラム＞モノの背景にある「カルチャー」を想像してみる

スウェーデンで陶磁界のプリンスと呼ばれたスティグ・リンドベリの「器」

ここまで、お部屋を仕上げるアクセントアイテムについ
て、カテゴリー別にご紹介をしてきました。

最後に、「インテリア通」なんて呼ばれる方たちがよく
やっているアクセントアイテムの選び方について、少し
紐解いてみようと思います。

北欧デンマークの名作椅子「Yチェア」（ハンスJウェグナー作）

「モテたい」「ひとに褒められてうれしかったから」
「趣味がほしい」「穏やかに心休まる場所を作りたい」
「家族と仲良く暮らしたい、喜ばせたい」etc...

ファッションも、お料理も、インテリアも。衣食住にま
つわるこれらに対して、夢中になるきっかけは人それぞ
れだと思います。

ただ、なにかをオタク級にマニアックに極めている人た
ちには、こんな共通点があるように思います。

それは、モノの背景にある「文化」まで含めてセットで
夢中になっているということ。

好きになったモノを同じく愛しているひとたちや、それ
を作った人が、どんな暮らしをしてきたのか。

どんな意図でもって、その「モノ」が生まれ、長い時代
の中で愛され続けてきたのか。

その中に、ロマンを感じて、もっと好きになったり。同
じカルチャーに共感する者同士で繋がりコミュニティが
生まれたり。

アフリカ民族の「クバ布」

リセノのスタッフも、インテリアを好きになったきっか
けは人それぞれですが、好きの先でインテリアが日常の
一部になるまでにたどり着く過程では、好みのインテリ
アの背景にある「文化」に夢中になる...　そんなステッ
プがあるように思います。

北欧フィンランドの名作家具「ピルッカテーブル」（イルマリ・タピオヴァーラ作）

アクセントアイテムは、比較的小さいサイズのものが多
いため、失敗したときのハードルも低く取り入れやすい
というメリットがあります。

北欧スタイル、アフリカン、アメリカン　etc...

これ好みだな！と感じるインテリアのテイストを見つけ
たとき、まずは、アクセントアイテムのひとつに
「文化」の要素を取り入れてみてはいかがでしょうか。

北欧のガラス作家エリックホグランの「ベース」

また、セオリーの中でも王道のテクニックのひとつに
「レピテーション」（同じ要素を繰り返すことで、空間
を調和させる）というものがあります。

このレピテーションを実践するとき、「文化が共通する
ものを選んでみる」というのも、インテリアをたのしむ
ひとつの方法としておすすめです。

セオリーのまとめ

さて、「アクセントアイテムで趣きをプラスする。」と
いうセオリー　いかがでしたでしょうか。

お部屋を飾る時には「どこに、何を、どのように」飾る
のかが、インテリア初心者にとっては難しい課題だと思
いますが、この記事では「何を」を分かりやすく紐解き
ました。

あらためてまとめると、

スタイリングの課題

• 何を選んで飾れば良いかが分からない

解決のためのセオリー

• アクセントアイテムという考え方を知る
• アクセントアイテムを飾ってみる

スタイリングセオリーの効果

• お部屋に深みや趣きが生まれる。
• ディスプレイが楽しくなる。

です。

この「アクセントアイテム」の記事と合わせて、他の
ポイントスタイリングの記事も読んでいただくことで、
「どこに、何を、どのように」がすべて網羅できます。

今まで難しく感じていた「ディスプレイ」が誰でもプロ
のようなイメージで作っていただけるようになります。

ぜひチャレンジしていただければと思います。