木製家具の木目や節など個性の違いが出てくる理由を解説します。
こんにちは。
品管チームのわたなべです。
今回のマガジンでは、家具の木材の木目や節などの
個性の違いについて、お話いたします。
木は自然素材なので、完全に同じ木材はありません。
同じ樹種の木を同じように加工しても、違う色味や、
木目が出てきてしまいます。
また木を切り出す場所によって、節が出てきたり、
特徴的な木目が出てきたり、いろいろな個性が、
あらわれます。
リセノの家具で、多く扱われているオーク材を
例にして、色味の違いや節のできる原因について、
詳しく説明していきます。
木製家具の木目や色味の違いが起きる原因
同じ樹種・同じ地域で取れた木材でも、色味や木目が
かなり違うことがあります。
どうして違いが出てくるのか、その理由について、
お伝えします。
木の色見の違いの原因
画像のデスクの天板は、濃い色の木材と薄い色の
木材が混ざっていますが、同じ地域で取れた
「ホワイトオーク」の無垢材だけを、接ぎ合わせて、
できています。
このように、木目や色味に違いができるのは、
木の「遺伝子」と「生育環境」の2つが、
大きく影響しています。
先祖代々、同じ地域で暮らしてきた人たちでも、
似ているところはあっても、みんな容姿は違いますし、
ましてや兄弟でも、顔つきや体系が違いますよね。
木も同じように、遺伝子の違いや、育ってきた環境の
違いで、木目や色味に違いが出てくるものです。
木の切り方による木目の違い
左:板目(いため)/右:柾目(まさめ)
木を切り出すときの、方向によって、木目の表情は、
大きく変わってきます。
丸太の中心からずらして、年輪に対して平行に切ると、
いかにも木らしいタケノコ模様が付いた「板目」の
木材になります。
丸太の中心に向かって、年輪に対して直角に切ると、
直線的なタテジマ模様の「柾目」の木材になります。
木の部位による色味の違い
色味の中で、大きな違いが出てくるのが、皮に近い
部分の材料です。
木の中心に近い部分は「赤身(心材)」、木の皮に
近い部分は「白太(辺材)」と呼ばれ、赤身の方が色
が濃く、白太の方は色が薄いことが多いです。
赤身と白太の境目が、樹種によって、くっきりと出て
きたり、あいまいなものがあります。
オークの木は大きいもので高さが25m、
直径1mにまで達するものがあり、
一本の樹木で何台もの家具を作ることも可能です。
その大きな木のどこの部分を切り出されたかで、
出てくる木目や色味は変わってきますので、たとえ
同じ木から、切り出した家具だとしても、2つとして
同じものはないのです。
木製家具に出てくる節の原因と種類
木製家具の中には、節がある木材が使われているもの
があります。
ここからは、その節について、お伝えしていきます。
節ができる原因
節は、木が成長していく過程で、枝が幹に巻き込まれ
た部分です。
枝がないと、葉っぱもつくれず、光合成ができなく
なるので、木には必ずあるものです。
つまり、節があることは、そこに枝があり、ちゃんと
葉を茂らせていた樹木だった証(あかし)といえます。
節の種類
節にも、種類がいくつかあります。
上の写真のような節は「生き節」といい、枝がちゃん
と生きている状態で、木の幹に取り込まれたものです。
枝が枯れた状態で、幹に取り込まれたもののことを
「死に節」といいます。
木に節がくっついておらず、すぐに抜け落ちてしまう
ので、「抜け節」とも呼ばれます。
節の部分に穴が空いた状態になるので、補修材で、
埋められてから使われます。
点々とある小さい節のことを「葉節」といいます。
葉節は、新しい枝の芽が出てこようとした状態で、
枝の成長が止まってしまい、そのまま幹に取り込まれ
てしまったものです。
節無しの木材を探していも、葉節すらない材料は、
なかなか見つけることができないほど、自然にある
ものです。
節のある家具
日本では、家具に使われる木材に、節が入っている
ものは、悪いものとされてきたので、家具作りには、
節のない材料が選定されてきました。
ただ2000年代に入ったころから、節があると、
見た目に個性的でおもしろいと、国内のインテリア
好きの人たちに受け入れられ始めました。
節があることが自然であるという考え方も相まって、
節のある材料が家具に使われる機会が、一気に
増えてきました。
最近では、プリント合板などの自然物ではない木目調
の材料にも、節が印刷されたものが販売されており、
人気があるようです。
リセノのオリジナル家具「Re:CENO product」では、
見た目の好みから、節のあるオーク材を使った製品が
多いです。
突板を使った家具でも、節ありのもの取り入れている
のが、特徴的です。
突板の原木に、節があるものを選ぶことは容易いです
が、節は周りの木の部分に比べて硬いので、薄くスラ
イスしたときに、きれいに節を残すのは難しく、
技術が必要とされます。
節ありの家具には、このような背景があることも理解
しておくと、より家具選びがおもしろくなるでしょう。
節以外に出てくる木の個性的な木目
節以外にも、木材にはさまざまなことが原因でできる
個性的な木目があります。
その一部をご紹介していきます。
虎斑(とらふ)
「虎斑(とらふ)」と呼ばれるこの模様は、白く
光って見え、虎の毛並みのような縞模様が特徴で、
「シルバーグレイン」とも呼ばれます。
立ち木の時に、養分貯蔵の役割を担っていた
細胞組織が、「虎斑」となって現れます。
柾目方向の木目にあらわれ、板目(タケノコ模様の
木目)には出てこないのが特徴です。
傷やへこみ、塗料の色ムラなどと勘違いされることが
ありますが、虎斑は見る角度を変えると、はっきりと
見えたり、周りと馴染んで見えたりするので、
自然にできたものということがわかるかと、思います。
栄養を豊富に含んでいること、希少性の高さから、
虎斑が入っていると高級な材料とされています。
黒い点々や赤褐色への変色
オーク材は、他の樹にはあまり含まれていない
ポリフェノールやタンニンといった成分を持っており、
この成分があるためウイスキー樽に使われています。
木材に含まれるこの成分が、使用環境により空気中の
水分と結合し、黒褐色、赤褐色などに変色する場合が
あります。
黒い斑点ができると、カビと間違われることがありま
すが、これもオークの持っている自然な個性の一部なの
で、心配せずに使いつづけてもらえる事象といえます。
鉱物線、細長い黒い筋
木の成長過程で、傷がついてしまったときに、
傷を治そうとして、養分である鉱物(ミネラル)を
集中させた跡が、細長い黒い筋となってでてきます。
「鉱物線(ミネラルストリーク)」や、「かすり」と
も呼ばれます。
必ずしも筋(線状)で出てくるわけではなく、斑点
状に出てくる場合もあります。
入り皮
木がまだ若いころ、傷ついて樹皮がめくり上がったり
したのち直そうとして、表面の樹皮が幹の中に取り
込まれたあとを「入り皮」といいます。
鉱物線は、傷を治すための栄養素が通った跡ですが、
入り皮は、傷跡そのものです。
「パークポケット」とも呼ばれます。
節や自然な個性を知って、木材を楽しみましょう。
木材の節や、木目の話はいかがでしたでしょうか。
同じ木材を使っていても、個性が出てくるということ
をご理解いただけたかと思います。
それでは、今回のおさらいです。
- 木目や色味の違いは、同じ地域で取れた同じ樹種でも起きる。
- 節は、枝の生えていた自然な証
- 個性的な木目は、できた背景がそれぞれある。
今回のマガジンを通じて、木目を見て、木が立って
いた時にあった出来事を、少しでも想像し、家具に、
より一層愛着を持ってもらえれば何よりです。
最後まで、お読みいただきありがとうございました。