【北欧 旅日記_Vol.1】「アルヴァ・アアルトのアトリエ」に行ってきました。
こんにちは。
バイヤーのなかむらです。
先日、憧れの建築や美しい北欧家具を訪れる為、
フィンランドに行ってきました。
初回は、フィンランドを代表する建築家であり、
デザイナーである「アルヴァ・アアルト(Alvar Aalto)」のアトリエをご紹介します。
「marimekko for Finnair」で、フィンランドに向けて出発!
関西国際空港からヘルシンキ・ヴァンター空港まで
約10時間。
日本とヨーロッパを最短で結ぶフィンエアーで向かいます。
搭乗口には、マリメッコとデザインをコラボした
「Marimekko for Finnair」がお出迎え♪
機体には、マリメッコを象徴する「ウニッコ」が施されています。
機内のテーブルウエアやテキスタイルも、全てマリメッコ。
長い飛行時間の不快感も少しやわらぎ、旅の期待感に変わっていきます^^
「アルヴァ・アアルト」って?
今回訪れるのは、アルヴァ・アアルトがデザインや
建築の実験を行っていた、彼のアトリエ。
ご存知の方も多いと思いますが、アアルトの作品に
ついて、おさらいしておきましょう。
代表作はたくさんありますが、その中でも特に
有名なアイテムをご紹介します。
artek「スツール60」
iittala「アアルト ベース」
artek「SIENA」
フィンランドを中心に、大学・病院・教会・新聞社
などの数多くの著名な建築を残しています。
大きな公共機関から個人住宅まで、手掛けた数は
なんと300件以上!
20世紀を代表する世界的な建築家の一人でもあります。
アルヴァ・アアルトのアトリエ
では、いよいよアトリエを訪れましょう。
彼の仕事場である「アトリエ(Studio Aalto)」は
1955年、自邸から歩いて10分程の場所に設けられました。
ヘルシンキ工科大学やフィンランド国民年協会など、
大規模なプロジェクトを手掛けはじめ、自邸の仕事場では手狭になったためです。
このアトリエは、ムンキニエミという閑静な
住宅街にあります。
近くには、大きな木が生い茂った公園がある、自然溢れる場所。
景色を楽しみながら歩いていると、
急斜面に建っているアトリエに到着!
高いレンガ壁に覆われ、どこか閉鎖的な感じがします。
さあ、さっそく中に入ってみましょう!
まず、受付でチケットを購入し、アアルト財団に
よるガイドツアーに参加しました。
参加者は、私と友人、そしてフィンランド人の建築家のご夫妻、4人だけ。
1階にあるタベルナと呼ばれるスタッフの食堂で、
アアルト夫妻とデザインの歴史についてお話を
伺ったあと、仕事場がある2階へ進みます!
気持ちのいい光が差し込む「製図室」
天井から差し込む光を感じながら階段を上がった
その左に、製図室がありました。
両サイドの大きな窓から光が差し込み、とても明るく開放的。
天井を傾斜にしているのは、太陽の光を反射させ、
室内を明るくするためだそうです。
作業台以外はほとんど何もなく、すっきり。
真っ白なキャンバスのようなこの空間で、美しいデザインが生まれていたんですね。
この製図室は、今でもアアルト財団の方が使っています。
長い間使い続けている家具は、当時のフォルムの
ままですが、日に焼けて飴色になっていることから、年月が伝わってきます。
雑誌でも有名な「アトリエ」
続いて、アトリエへ。
ここは、主に建築デザインの実験が行われていた場所です。
吹き抜けになったこの部屋も、優しい光が差し込み
とっても素敵!
美しいディテールの家具が、たくさん並んでいます。
壁面に、長いツタをあしらい、大きな曲げ木のサンプルが展示されています。
北欧の家では、室内にツタを這わせているのを
多く見かけますが、1950年代頃に流行した手法。
アアルトも、これを好んでいたそうです。
私も自宅で真似したくなります。
たくさんの照明が吊り下がっていますが、これは
明かりのテストを行うためのもの。
冬が長く、日照時間が短い北欧では、自然光を
取り入れる設計手法をとっています。
北欧の人々は光を求め、光を浴びることに喜びを感じるそう。
とりわけアアルトは、光の設計にこだわり、
自然光と人口照明のバランスについて研究を重ねていたと言われています。
朝日から夕日まで、様々な角度から、自然光が
入るように工夫されています。
その同じ場所に、明るさ、色、印象が違う複数の
照明が掛かっています。
小さな範囲を照らす照明であることも、
北欧インテリアでの、よく利用されるシーンだけを
ピンポイントで照らす利用方法に則しています。
窓際には、彼がデザインした家具が並びます。
これらの家具は、フィンランドにたくさん生息する樺(バーチ)の木で出来ています。
樺は堅木ではないため、当時、家具材として
使われる木ではありませんでした。
そこで、彼は、積層合板の成形と曲げ技法を開発し
樺材を使いながらも、丈夫な家具を作り上げたそうです。
その技法で作られた「スツール60」は、販売数が
800万脚を超える程の、世界中で愛される商品に!
私も愛用者の一人です^^
こちらは、結核患者の療養施設
「パイミオ・サナトリウム」のためにデザインされた「パイミオチェア」。
彼を、家具デザイナーとして有名にしたこの椅子は
柔らかく曲がった脚と、なめらかに広がるコーナーのラインがとてもきれい。
プラスチックの様にも見える座面は、大判の合板。
木で出来ているとは思えない曲線のフォルムと、弾力性のある座り心地です。
また、座面の角度は、結核患者が楽に呼吸ができるように設計されているそうです。
そして、こちらは、終盤に開発されていた手法。
6本の曲げ木を組み合わせることで、さらに繊細なデザインを表現しています。
ここでは、さまざまなプロジェクトの実験や、ミーティングが行われていたそうです。
円弧を描く窓の外は、古代円形劇場を思わせる中庭が広がっていました。
奥の白壁はスクリーンになり、オーディトリウムと
して利用されていたそうです。
冬の間は、暖かい室内から野外の中庭へスライドを
映し、講義を行えるように設計されています。
今では、アアルト大学の生徒が、この石段に座り、
講義を受けることもあるそうです。
大きな木々は、外部との関係性を考え植えられたそうです。
天窓から優しい光が降り注ぐ「ミーティングルーム」
小さなミーティングルームもありました。
天窓から降り注ぐ優しい光が、掲示ボードに
張られた図面を照らしています。
たくさんの図面ケースが並んでいますが、中はカラ。
大切な図面は、アアルト美術館で保管されているそうです。
アアルトのアトリエは、彼の思いが詰まった実験室でした。
今回、ツアーに参加することで、アアルトについて
たくさんお話しを伺うことができました。
彼は、環境が建築にとって重要だと考え、
フィンランドの厳しい環境を理解し、
寄り添うように空間を作り続けたそうです。
また、その空間がいかに居心地の良いもので、
空間に立った人がその快適さを感じられるかを
追求し、物づくりに取り組んでいたそうです。
トレンドを追う物づくりとは異なり、
人と生活に根付いた物づくり。
アアルトの建築や家具が、愛され続けている理由は、
その思いが、次世代に繋がっているからなのかもしれません。
日本で建築は見れませんが、デザインした家具を
改めて見てみたいと思います。
次回は、アアルトの自邸についてご紹介いたします。
楽しみにしていてくださいね!
アルヴァ・アアルトのアトリエ 基本情報
名前 | Studio Aalto |
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住所 | Tiilimäki 20, 00330 Helsinki トラム4・4T「Laajalahden aukio 駅」から徒歩10分 |
開館時間 | 5月 ~ 9月(火〜土曜): 1日2回 11:30〜 12:30〜 10月〜4月(火〜土曜): 1日1回 11:30〜 |
入館料他 | 17 € (アアルト自邸ガイドツアーのセット30€) 言語:英語 ガイドツアーに参加することで、見学可能 |
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