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【蚤の市で見つけた偏愛品】
10個の小さなレンガ

僕の古いもの歴は、この10個の小さな
レンガからスタートしているものだから、
話せば、やはり少し長くなる。

ヴィンテージに目覚めたのは、リセノという
少し変わった会社に勤めはじめてからのこと。
インテリアを偏愛する人たちの巣窟。

そんな諸先輩たちと「インテリアツアー」なる
布教の道中をともにしたのは、まだ入社してから
1ヶ月と間もないころだ。

NIK_3384.jpg

蚤の市をスタート地点として、古いものや
インテリアを扱う各地のショップを
レンタカーでひたすら巡る、偏愛者たちの行軍。

新人の身には、ちょっと刺激が強いもんで。

オーバーヒートした頭で帰宅した僕が、
唯一握りしめていた戦利品が
この小さなレンガたちだった。

まだこの世界に疎かった自分が、
「なんかちっちゃくてかわいいから」という
無邪気な理由で、初めて迎えいれた古いもの。

しかし、改めて見ると、これは何なのだろう。
家を作るには、あまりにも小さい。
そして、どこにどう飾ってもまるでしっくりこない。

NIK_3374.jpg


どこかで、沼にハマる音がした。
「インテリア」と「古いもの」という、2つの沼。

沼をさまよいながら、新しいことを
覚えるたびにレンガをいじる。

三角飾り、レピテーション、均等配置...。

まるで、積み木だ。
インテリアの嗅覚を育てる、10個の小さな玩具。

レンガたちは少しずつ、部屋に
馴染むようになっていった。

NIK_3386.jpg

あれからそろそろ2年が経つ。
今でもときどき、レンガを組み替える。

小さなレンガの形をした自分の初心。

インテリアは、遊びだ。
僕はまだまだこの沼を、楽しむつもりでいる。

NIK_3388.jpg

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