【蚤の市で見つけた偏愛品】
なにかの欠片
古いものと、
古いものが好きなひとに会いたい。
その一心で、平安・蚤の市へ足しげく通う。
毎月の僕のルーティーン。
小雨が降ろうと、風や日差しが強かろうと、
そこかしこにいる誰もが、僕とおんなじ。
子どものように、目を光らせ、
夢中で宝探しをする。
先日出会った君は、石?ブロック?レンガ?
店主にも、わからないようだった。
それなら、今から何にでもなれるんだ。
僕は、ふとそう思った。
なんだか分からなくても、いい。
たくさんの中の一つ、君とだけ目が合った。
それが、今ここにいる理由。
まさに、一目惚れ。
誰かにとっては、何者でもないとしても、
僕は、君をとても美しいと感じる。
その理由は、きっと、この佇まい。
人工物では生まれない、このフォルム。
いろんな苦難を乗り越えてきたのか
ところどころ、欠けている。
僕には、「未完成」にも、「完成」にも見える。
だからきっと、目を奪われたんだろう。
僕は肯定したい。何にでもなれる。
君がどんな毎日を過ごすのか、見届けたい。