【食べるしゃべる眠る。】第五話|ぼくと妻とのりんごミュニケーション
家に1人で居たある昼。
りんごを食べたいと思って冷蔵庫を開けると、
3種類もあった。
大きな袋に入ってる濃い赤のりんごと、
小さな袋の薄い赤のりんごと、
裸で薄い緑のりんご。各2つずつ。
そそられるままに"大袋・赤"に右手を伸ばした直後、
重大なことを思う。
これ、食べたらどうなるか?
冷蔵庫の食材はぜんぶ妻が考えあって
買ってきたもので、勝手に食べるのは危険である。
ならば今食べないのが安心・安全なのだが、
でも今食べたい。
でもでも、食べたらどうなるか?
夜に帰宅する妻と、どんな会話になるか?
慎重に予測のうえ、右手を"大袋・赤"から
"裸・緑"に移し、半分剥いて食べた結果が、
以下のとおりである。
<予測>
ぼく:昼、りんご食べたよ。緑の
妻:あ、緑の食べたの?酸っぱかったんじゃない?
ぼく:それほどでもなかったよ
妻:じつは赤いのはちょっと高くて、
楽しみにしてるりんごなの。
ぼく:そうだと思ったよ
妻:置いててくれてありがとう。
ではみんなで食べましょう!
ぼく・妻・娘:おいしいね!
<結果>
ぼく:今日、りんご食べたよ。緑の
妻:えーー!緑の食べたん??酸っぱかったやろ??
ぼく:かなり...
妻:もーーー
ぼく:びっくりするほどすっ...
妻:あれだけは食べてほしくなかってん!
ほく:え?!
妻:あの緑のは、生食用じゃなくて、
ジャムとか作る用として売ってたやつやねん!
ぼく:そうなん?
どうりでめっちゃ酸っぱいと思ったわー
妻:もーーー
ぼく:ははは、まぁ、切った残り半分は
ぼくが責任もって食べるから
妻:違う違う、食べんといて!
ぼく:ええ?!
妻:あのりんご、年に数回しか出ない
貴重なやつやねん。値段もちょっと高くて。
たっぷりジャムを作ろうと思って買ったんや
ぼく:そうなん...
はりきって自分で剥いたりんごは酸っぱかったうえに、
叱られた。
酸っぱすぎる結果。
妻:でも、私がちゃんと伝えてなかったから。ごめん
ぼく:ごめん
そんなこんなで、夜は更けていった。