【さて、どう暮らそう。】畳のある生活は、一石三鳥
私の実家は、よくある昭和の家。
ドラえもんを見ながら、のび太くんのお家が映るたび
「あ、うちだ」と思っていました。
サザエさんのお家の中も、まさにうち。
テレビで見ると、昔のわが家の光景を思い出します。
廊下に黒電話があったり、畳にちゃぶ台を置いて
家族そろって食事を囲んだり。
そんな家で育ったからか、
結婚して住む家は和室があることというのが
優先順位の上位にありました。
昔住んでいたマンションを内覧したとき、
リビングと和室を隔てる障子がとても素敵でした。
そこに一目惚れして住むことを決めたのに、
引っ越しの日に中に入ると
なんと洋風の引き戸に変わっていて...。
すごくショックで「障子に戻してください」と
不動産屋さんに無理難題を言ってしまいました。
大家さんは、良かれと思って綺麗な扉に
変えてくれたのですが、当時はとにかくショックで...。
結局、障子は破棄されていて戻りませんでしたが
そんなこともあったな、と思い出しています。
リビングの側に和室があると
ちょっとお昼寝したい時にゴロンとなれる。
人がたくさん集まった時には、ちゃぶ台を出してきて
リビングと和室の両方で、賑やかに飲んだり食べたり。
子どもが産まれたら、ベビーベッドを置かずに
畳にゴロンと寝かせて。
ハイハイができるようになったら、
子どものおもちゃを並べて。
ベッドより「畳で寝る派」の我が家は、寝室も和室。
朝起きたら、お布団を畳んで押し入れにしまい、
夜にまたお布団を敷く。
その習慣も、身体がシャンとするから好きでした。
一石三鳥が好きな私だから
多用途に使える和室が好きなんだな、と思います。
一時期、新築で和室を作らないお家が増えましたが、
最近はまた和室文化が戻ってきたというのも
建築の世界にいて、身をもって感じていること。
- 来客があった際に使ってもらえるから
- 畳に転がるのが好きだから
- リビングと和室が繋がっていることで
空間が広く見えるから
という理由で作る方が、多くいらっしゃいます。
それに加えて、
- お茶室にしたい
- 写経の場所にしたい
- 着付けをしたい
と、趣味の場として和室を作る方も増えました。
それはきっと自分の時間を大切にする人が
増えてきたからだろうなと感じます。
夏休み、娘が間取り図を書いていました。
「私が住みたいお家」というテーマで。
そこには「お習字のお部屋」というのがありました。
家はすっぴんでいる場所。
自分好みに快適にすることの大切さを、
改めて目の当たりにしました。
また、少し前に家族旅行をしたときには
ホテルに畳スペースがありました。
そこでは、夫と息子は将棋をし
娘はゴロゴロ読書をしていました。
そんな家族の傍で、ビールを呑む私。
初めて泊まる場所なのに
我が家のように寛いでいる家族を眺めながら
これは「畳スペース効果」だと確信しました。
「椅子に座る文化」と「畳に座る文化」が
融合する時に、広がる景色、住まい方。
日本の古き良き時代の慣わしを見つめ直し、
現代の利便性も取り入れながら、
温故知新・和洋折衷を織り交ぜた空間づくり。
きっと、これからの時代に
大切なテーマではないかなと思うのです。
そんな住まいをいつか作りたいなと思うのです。
ついこの間まであんなに暑かったのに
秋めいてきたかなと思ったのも束の間、
朝晩は寒さを感じるようになりました。
こたつが恋しい季節。
こたつに入って温まりながら
家族や友人とゆっくり語らう時間も、
畳の良さを感じる機会になると思います。
今の住まいには和室がありません。
「何かが足りない」とずっと思いながら
ここ数年を過ごしてきましたが、
今年の冬は、リビングに畳を敷いてみようかな。
久しぶりにこたつ生活を味わってみようかな、と。
もう一度、畳のある生活を
存分に楽しんでみようと思います。