【さて、どう暮らそう】余白づくりと、一石二鳥のモノ選び
こんにちは。空間コーディネーターの平野です。
リビングダイニングの空間づくりでは、
家具の選び方についてご相談いただくことが
多々あります。
家具選びをする際に、まず欠かせない作業は、
「その場で暮らす人が動きやすいために、
この家には、どれだけの余白が必要か。」
ということ。
例えば、ざっと16畳のリビングダイニング。
私が家具屋さんで販売の仕事をしていた頃に
この間取りを見せてもらったとしたら...
この中に置けるダイニングテーブルの最大寸法、
ソファーの最大寸法、とにかく詰め込むスタイル
でプランを考えていました。
今思い返したら、なんて提案をしていたのだと反省。
なぜかというと、「余白」という概念が
なかったからです。
人は、のびのびできる時間や場所があるからこそ、
自分らしく生きられる。
予定がぎゅうぎゅうに詰め込まれていると、
息が詰まる。
時間の使い方の上手な人は、スケジュール帳を
あけて、まず休みから固定している人が多いな
と思ったりします。
それと一緒で、暮らす場所、とくに家にいる時間の
中では、家族が一番集うであろうリビングダイニング
がモノで溢れていると、自然と集いづらくなります。
そこにいる人は、息が詰まり...
そして、家族が各部屋に散らばっていくという
現象が起こりがちになります。
余白を確保し、スムーズな動線が作れていたら、
動く人も寛いでいる人もストレスがたまらない。
空間づくりをイメージすると、家具やカーテンを
選んでいく作業は、「足し算」と思いがちでは
あるけれど。
「いかに引き算上手になるか」が自分たちらしい
空間をつくる最大のポイント。
手順は、こんなイメージです。
- リビングダイニングの広さを把握する
- その中で自分たちが必要な余白を確保する
- 残ったスペースに何を置いたらいいかを考える
ソファーは、必要かどうか?
今の生活にはどういう配置が快適か?
を余白を基準にして紐解いていくのです。
この引き算の理屈がわかると、
本当に必要なモノを選べるようになります。
そうなると、モノ選びに不安がなくなる。
「周りの人が使っているから」ではなく、
「私が、私たちが使いたいから」と思える
ようになると、自ずと自分の暮らしに必要な
物量もわかってくる。
何一つ無駄がなくなる方程式だな、と
いつも感じています。
そして、「余白をつくることで心の余裕もできる」
という嬉しいおまけ付き。
モノ選びの理屈がわかってきたら、
さらにおすすめしたい事がもうひとつ。
それは、「一石二鳥のモノ選び」。
ひとつのモノが時と場合により、
如何様にも変容し、いろんな用途がうまれる
モノを選ぶということ。
分かりやすく「一石二鳥」と書きましたが、
私自身の暮らしでは、「一石三鳥」のモノ選び
をしています。
例えば、器。
蕎麦猪口は、湯呑みにもなり、小鉢になり、
ヨーグルトやデザート入れにもなる。
例えば、布。
マルチクロスを選べば、テレビを観るときの
ブランケットに、寝る時のベッドプレットに、
遠出のときには、車に積んでお昼寝用の布団に。
突っ張り棒にかけて、のれんがわりも。
例えば、家具だと...
固めのデイベッドソファーを選んでみると、
ソファーになり、ベッドになり、座卓にもなる。
我が家、これは自分たちでも120点のモノ選び
だったなと、満足しています。
ちなみにこのソファーは今、
娘のお部屋(4.5畳)に置いています。
小学校から下校後、近所のお友だちが来て
一緒に宿題をするのが習慣の娘。
クッションをおろして、ソファーを机に変身させ、
2人並んでラグマットに座り、宿題を広げる。
そして、真ん中にはおやつが置いてある。
なんとも微笑ましい光景。
このデイベッドソファーは、娘が巣立つ時に
持っていくと言ったらいいな...なんて、
密かな母の楽しみです。
家族の暮らし方が、年々変わるように、
生活スタイルによりモノの用途も変わってきます。
「お役御免だよ。」ではなく、
「次は、こんな姿で寄り添ってね。」と。
そんな想いを込めて、
モノたちとも共に過ごしたいなと。
我が家にあるいろいろなモノを眺めながら、
今改めて思います。
「余白」と「一石二鳥」が浸透したときに、
見える景色や感じる気持ち。
皆さまに味わって頂きたいなと、
そう願いながら、綴ってみました。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。