【さて、どう暮らそう。】ダイニングテーブルの選び方
こんにちは。空間コーディネーターの平野です。
お仕事で、空間づくりのご相談を受ける際に、
よく聞かれることがあります。
「このお部屋には、何cmのテーブルが置けますか?」
「4人家族だと、どの大きさのテーブルがいいですか?」
然るべき質問なのですが、ちょっと発想を変えて
考えてみましょうと、まずお話をします。
もちろん、空間に対して置ける大きさは限られます。
ご家族の人数に応じて必要な大きさもあります。
ですが、こうでないといけないという決まり事は
ありません。
私が、お客様のお宅のダイニングテーブルを選ぶとき、
考えることは、まず3つ。
- お食事の時間をどう過ごしているか
- どんなお食事スタイルか
- 空間の中で必要な余白をとった上で、どのくらいの大きさが適切か
ちなみに、我が家のダイニングテーブル選びの
物語をすこし綴ります。
前回お話させて頂いたように我が家は、
何度も住まいが変わっています。
※前回の記事です※【さて、どう暮らそう。】住むということ
今の住まいで使っているテーブルは、3代目。
1代目のテーブルは、
1軒目の住まいに合わせて繕いました。
幅135cm×奥行き75cm。
4人で座って小ぶりなテーブルです。
この大きさにした理由は、2つ。
1つ目は、住まいのダイニングスペースの余白と、
家事動線を考えた上で、この大きさの収まりが
良かったから。
そして2つ目。この住まいは、終の住処ではなく、
いずれ大きなダイニングテーブルを迎える前提
であること。
住まいが変わったときのために、書斎机としても
使える大きさにしておくことで、ずっと
このテーブルと暮らしを共にしたかったのです。
そのため、奥行きは浅めにしました。
この1代目のテーブル。
2軒目の住まいでも使い、一旦テーブル生活を
やめた時は、私の仕事机になりました。
そして、3軒目の住まいでは、
またダイニングテーブルとして使いました。
3軒目の住まいに移った直後、娘が産まれ、
息子が9歳、娘が6歳になるまで、
この住まいで暮らしました。
朝8時半~夜19時まで保育園に通っていた
2人と共にする夕飯の時間は、
バタバタではありますが、
2人と1日のことを話す貴重な時間。
家族4人の距離が近い小ぶりなテーブルは、
お互いの温度を感じて、私たち家族には、
1つになれる幸せな時間をもたらせてくれました。
4軒目の住まいは、1軒目の住まいと同じところ。
ここでは、110cmの丸テーブルを使いました。
お客様から譲り受けたものです。
円卓の使い勝手を試してみたいという想いに加え、
譲ってくださるご縁が、いいタイミングかなと思い、
迎え入れてみました。
ここでも、いくつかの気付きがありました。
- 円卓は、脚の位置により座れる人数が限られることも。座りたい人数や用途によって、脚の形を選ぶこと。
- 丸テーブルだと角が取れる分、お料理を並べる面積が長方形に比べて少し狭くなるため、カウンターテーブルなどが傍にあると便利。
- お部屋の箱や建具、キッチンや家具も、基本は四角形。そういう中に丸が入ることで、空間に動きと柔らかさが生まれる。
空間をつくるとき、何かしら丸を入れるという事は、
ひとつのポイントだと思って大切にしています。
そして、5軒目の今の住まいでは、
ずっと実家で温めていた大きなテーブルを置きました。
「お料理をいっぱい食卓に並べたい。」
「家族や人を招いてみんなで食卓を囲みたい。」
私たち夫婦には、ずっとこの想いがあり、
そんな想いを叶えてくれる住まいに巡り合ったとき、
大きなテーブルがようやく置けました。
私たち家族の暮らしに大切なことを
その時々で叶えてくれたテーブルたち。
今は、使っていないテーブルたちも、
次に何かを担うタイミングをしっかり
待ってくれています。
空間づくりとは、パズルを完成させていくのと
同じ作業だと常々思います。
人生を楽しんでいく上で、
1つの空間だけに対してではなく、
どんな空間に住んでも
自分たちらしく暮らしていけるように。
そのためのピースをひとつひとつ埋めていく。
そんな中で、ダイニングテーブル選びは、
大切だなって思うのです。
なぜなら、食は生きていく上で、
切っても切り離せないものだから。
自分たちのパズルの完成を、
どんな方にも楽しんで頂きたいと願いながら、
打ち合わせをする日々です。