【やわらかく、ひびく。】真夜中のお茶会
予想外に降り始めた雪に向かって自転車を漕ぎ、
帰路についたある夜。
やっとの思いで玄関のドアを開けると、
その日はリビングに明かりが付いていました。
「ただいまー」
そのままリビングに入っていくと、
みんなが温めていた空気で、ホッと一息。
誰かが食べた、にんにくとごま油の香り。
お腹の減りに拍車がかかります。
「おかえりー」
「なんかいい匂い。晩ごはんなに作ったのー?」
そんな会話から始まる、ある夜の一コマ。
以前に少し書いたことがあるけれど、
私はシェアハウスに住んでいます。
1階には共用のLDKがあって、
2~4階に4部屋ずつ、それぞれの個室。
玄関からLDKまでの廊下にエレベーターがあって
疲れていたら自分の部屋に直行もできる、
そんな優しい配慮もあふれる住処。
仕事や勉強に趣味、みんなそれぞれ忙しい日々だから
いつもリビングでワイワイなんてことはないけれど、
タイミングが合ったときはちょっとおしゃべり。
たまに即席ティータイムがはじまる、なんてことも。
塩トリュフチーズあられは、クセになるしょっぱさでした。
「これ、めっちゃ美味しかったお菓子。どうぞー」
「これ、作ったから食べません??」
サービス精神旺盛な人たち。
ひとりの一言が呼び水になり、
気付けばあっという間にいろんなお菓子が集まって
深夜の束の間の癒やしタイム。
大家さんからは、愛にあふれるバレンタイン。
家族でもなく、ここで出会って
たまたま生活を共有することになった人たち。
そんなメンバーが心地よく暮らせていることは
奇跡のようなことだなぁと、しみじみ感じます。
それは大家さんの大らかで温かな人柄のお陰であり、
一人ひとりの思いやりが築き上げてきた賜物。
当たり前になっていることが、有り難い生活。
別の大雪の日。冷蔵庫の中には手作りケーキが・・!
疲れたとき、「つかれたーー」って吐き出した言葉を、
「つかれましたねー」って受け取ってもらって。
ただそのやりとりで、ふっと緩む。
それぞれ頑張る時間も愛おしいけれど、
張り詰めてばかりはいられないから。
せっかくシェアしているこのときこの瞬間、
いいときも、ちょっとしんどいときも、
いろんな人の波が重なって、
真ん中に戻ってこれることがありがたい。
誰かが私のちからになってくれている。
そう考えると私だって、時には誰かの力になれている、
と思ってもいいのかも・・?
コロナ前は、こんな感じでたまにパーティーすることもありました。
「なになに?仕事して帰ってきて、
これから野菜切って料理するの!!すごい~~」
「え!!わざわざご飯、レンジでチンするんですか!
えらいなぁ~」
そんな茶番掛かったやりとりも、
ふざけた感じで言い合っているけど、わりと本気。
え、甘やかしすぎ?甘やかされすぎ?
いやいや、きっとそんなことはないはず。
ちょっと緩んだら、それが明日につながるんですから。
「じゃ、おやすみなさーい」
「また今度、一緒に甘いものでも食べよー」