【おかえりカラー】元気な女の子が、誕生しました。
8月31日未明。
「陣痛がきたみたい」
左手でお腹を抑え、右手のスマホで
陣痛間隔を記録する妻。
最初のうちは、いつもと変わらない
会話ができていたものの、
少しずつ痛みの間隔が短くなり、
余裕が無くなっている様子。
その間に僕は、入院に必要なものを
手提げに詰め込みます。
陣痛が10分おきになり、
病院に連絡したところ、
「今から来てください」
と言われ、車に乗り込みます。
病院に着くと、ゆっくりと車を降り、
エントランスで、妻に荷物を託しました。
「ありがとね、また連絡する」
痛みを我慢しながらも、
感謝の言葉や要件を忘れないところが、
妻の強さだったりします。
「頼むね。連絡して」
そう伝えて、妻を見送ります。
一旦、車の中で妻からの連絡を待ちます。
その間、いろいろなことを考えました。
もちろんほとんどは幸せなことで、
生まれた後の子育てのことや、
どこかに連れて行って、はしゃぐ子どもの姿とか。
でも、妻の痛がる様子を見たせいか、
最悪のことも頭をよぎります。
ぼーっと、スマホで動画を見ながらも、
頭の中では、ぐるぐると考えが巡り、
気が気ではなかったのだと、
今になってそう思います。
それから、2時間ほど経ち、
妻から、まだ時間がかかるから
一旦帰宅して欲しいと連絡が入りました。
帰宅後、2~3時間仮眠を取り、
午前9時頃に目覚めました。
幸いにも仕事がお休みだったので、
次の連絡まで自宅で待機します。
時間が経てば経つほど、落ち着かず、
インスタグラムを開いては、
ストーリーで近況報告をしてしまう始末。
いつも見てくれているフォロワーさんを
ドキドキさせてしまう内容ばかりで、
ご心配をお掛けしました。
そんなことをしながら、
あっと言う間に夕方になり、着信が入ります。
「大森さんの旦那さんですか?これから
病院の方に来ていただけますか?」
助産師さんからでした。
急いで病院に向かいます。
抗原検査で陰性を確認した後、
立会用のエプロンを着て、
分娩室の隣にある廊下の席に座りました。
カーテンがかかって中が見えない部屋が
何部屋か続いています。
その部屋の1つから
突然、声が聞こえてきます。
「いっぱい吸ってー。はい、今だよー。」
「良い感じだよ、もう少し頑張ろうね」
あの部屋で違いない。
なんとなく妻の声も聞こえたような気がする。
だけど、とてつもなく異様な空気感で、
なんだか嫌な予感がする。
助産師さんも5、6人いるようだし、
全員が慌てている様子です。
「だめだね、出ないね」
という先生の声も聞こえてきて、
考えないようにしていた「最悪の事態」
なのかもしれない!と、思った瞬間、
涙が止まらなくなりました。
さらには、妻のいきむ声も、
徐々に苦しそうになり、
その声を聞いては、涙が溢れてきます。
追い打ちをかけるように、
どんどん騒がしくなる室内。
先生や助産師さんの声が大きくなる一方で、
次第に妻の声が聞こえなくなります。
何度も何度もいきむ内に、
体力を消耗してしまったのだと思います。
「もう少しだよ、頑張って」
「頭見えてるからね」
中の様子が分かりませんが、
産まれる直前だということは、分かりました。
「最後だよー」
「頑張って、頑張ってー」
と聞こえたすぐ後に、
「ビャー、ビャー」
と泣く声が聞こえました。
すぐに、旦那さん入っていいよ、と言われ、
ようやく中に入ります。
額に汗の粒をたくさんのせた妻を見て、
鼻水と涙が止まらない僕には、
「よく頑張りました」と、言うのが精一杯でした。
その奥には、助産師さんに囲まれた赤ちゃんが。
「すごく大きいよ」
「ほんとだ、大きいねー」
「何グラムだったの?」
「3,900...ほとんど4,000グラムだね」
「それは中々出てこないわー」
先生や助産師さんの会話を聞く限り、
どうやらかなりのビッグベイビーのようです。
きみもよく頑張ったね、ありがとね。
あれから、妻と赤ちゃんは里帰りをはさみ、
最近我が家に帰って来ました。
今は夜泣きをするので、
眠い目をこすりながら出勤したりする日々ですが、
寝顔を見るだけで癒されます。
千と千尋に出てくる湯婆婆と暮らす赤ちゃんに
似ている気がしたので、
「坊、お腹空いたの?」
と、冗談で話しかけたら、妻に
「全然似てないし」
と怒られる。そんな日々を過ごしています。
ありがたいことに、
今年1月から書かせていただいている
「おかえりカラー」ですが、
ようやく新たなカラーが加わりました。
我が家はどんな色になるのかな。
今からとても楽しみです。
今後も家族3人の暮らしをお送りしていきますので、
どうぞよろしくお願いいたします。
さてさて、出産という大きなイベントが
無事終わり、次なるイベント「引っ越し」が
待っています。
「おかえりカラー」
まだまだ続きます。