【 悠々、閑々。】2年越しにやってきた、京都の夏
燃えるような提灯が揺れている。
今年の7月。
2年という、短くも、長い長い時間を経て
祇園祭の山鉾が動き出しました。
なかには、約200年もの月日を超えて復活した
「鷹山(たかやま)」という山も。
その200年に比べたら、たったの2年。
取るに足らない時間のように思えるけれど
それでも、ようやく待ちに待った夏がきたなぁと
じんわり、こみ上げてくるものがあります。
「コンチキチン」という涼やかなお囃子、
ひさしぶりに着る絞りの浴衣に、
歩くたびにカラン、と良い音がする桐の下駄。
母と2人、冷たいビールで乾杯して、
(すみません、酒飲み一家なんです。笑)
つぎはどの鉾を見に行こうか、と話しながら
鉾町の道々を、のんびりと練り歩きました。
「暑いねぇ」と、
つい口をついて出てしまう呪文のような呟きでさえ
お祭りの空気に包まれて「やっぱり夏はこうだよねぇ」と、
なんだか心地よくも聞こえてしまう。
山鉾ごとに違う趣のある装飾は、惚れ惚れとする美しさです。
鉾につられて空を見上げると、
空高く百日紅(さるすべり)が咲いている。
青い空に、ぱっと映えるドラマチックなピンク色。
実家にもあったので、小さいころ祖母に
「なんでサルスベリっていうの?」と聞くと
「猿も滑るくらい木がつるつるしているからよ」
と言われて。
なぁんだ、そんな名前の付け方って変なの。
と笑っていたのを覚えています。
百日紅が咲くと、そのときに感じていた
もうすぐ夏休みがやって来るような
わくわくした気持ちになるのは、
いくつになっても変わりません。
この日は「霰天神(あられてんじん)」の手ぬぐいと
おやつに「鮎」を持ち帰って。
お祭りの余韻のなか、ほっと一息つく時間も
うれしい夏のひととき。
1か月にわたって行われた祇園祭も終わり、
いよいよ8月がやってきました。
お祭りに花火に、かき氷...
それと、甥っ子とプールも行かなくっちゃ。
そういえば、もうすぐ弟が生まれるけれど
なんて名前にするんだろう。
あいかわらず暑い暑いと呟く毎日だけど、
こんな夏を、今年はめいいっぱい楽しんでいきたいな。