【 悠々、閑々。】手をかける、暮らしのよろこび
「あれ、また紫陽花、増えた?」
6月に入ってから、
いっせいに咲きだした庭の紫陽花に
おもわず驚いてしまう。
「簡単にできるから、お父さんが増やすのよ~」
と、笑う母。
挿し木が成功してからというもの、
この季節になると、父は毎年
紫陽花のお世話にいそしんでいるよう。
庭にとどまらず、家のいたるところに
かわいらしい紫陽花が溢れています。
(ほんとうに、いたるところに、なんです。笑)
すこしあきれている様子の母も、
なんだか嬉しそうで。
わが家にとって庭の花々は、季節の便り。
花を飾るのも、暮らしにかかせない習慣になっています。
さて、そんな紫陽花の季節。
真夏のような日が続いた京都にも、
ようやく梅雨がやってきました。
前日に「ぬれ納豆を買ってきてね。」
という母のお使いを預かって
帰るのを楽しみにしていた、わたし。
そう、6月といえば。
小豆たっぷりの「水無月」の季節です。
蒸しているあいだに、ほんわりとした
あまい匂いが湯気とともに漂ってきます。
はぁ、しあわせ...!
大人になってから京都発祥と知ったのですが、
むかしの人は体調の崩しやすいこの時期に
無病息災を願って食べていたそう。
「作ったほうが体に良いし、美味しいのよ。」
この母の言葉は、小さな頃から何度も聞いたけれど
一人暮らしになったいま、手作りのありがたみったら...
それに、手をかけることは時間がかかるけれど
手をかけた分、うれしい気持ちも返ってきますよね。
紫陽花に、水無月、
いま庭に青々と実っている梅も、
ここまで立派になるには
ずいぶん時間と手間がかかったはず。
でも、その分、暮らしを豊かにしてくれるものたち。
食べるのは一瞬なんですが...!
(愛猫の匂いチェックは免れません。笑)
今年はわたしも、父が育てた紫陽花で
挿し木にチャレンジしてみようと思います。
母は「簡単だから」と言ったけれど
実は去年、枯らしてしまった苦い思い出があるので
今度はちゃんと手をかけてあげよう。
またこの季節に、かわいらしい花が咲くことを楽しみにして。