【 晴れのち、キッチン 】
夏のファンタジーを詰め込んで
社会人の夏休みは短い。
小学生の頃の夏休みは、何をしても自由で
1日をもったいなく感じることなんてなくって
毎日が、キラキラ鮮やかだった。
気がつけば、8月。
待ちに待った夏季休暇がやってきました。
夏休み、と呼んでいたイベントも
「夏季休暇」なんて頭の良さそうな名前に変わって
どこまでも大人になったことを感じさせます。
この夏、旅行が大好きな私たちは
沖縄へ行ってきました。
「充実させたい」「夏らしいことしよう」と
あの頃よりフットワーク軽く行動できるのは、
この期間が貴重で、限られているものなのだと
知っているおかげなのかもしれません。
数年ぶりの沖縄旅行は、
初めて石垣島と竹富島を訪れました。
赤瓦の家屋と、白砂の道が続き
赤や黄のハイビスカスが
あちこちに咲いている。
目に映るもの、全てが色鮮やかです。
竹富島でシャッターを切っていると
ピンクの花が映り込むことに気づきます。
地元のおじさまによれば
「ブーゲンビリア」という植物で
ピンク色の花は、実は花ではなく
色づいた葉っぱとのこと。
聞いたことのない植物や、
テレビでしか見たことのない景色を見て
子どもの頃に戻ったようにワクワクします。
マンゴーかき氷と、黒糖かき氷。ふわふわでした。
美ら海水族館。キラキラ光る水面と、魚たち。
ゴーヤチャンプルーとラフテー。沖縄料理も堪能しました。
行きたかった場所へ行って、
食べたかったものを食べる。
日常から離れて過ごす、
どこかファンタジーで
夢のような時間です。
嬉しかったことのひとつは、
ずっとやってみたいと思っていた
「琉球グラス作り体験」ができたこと。
体験は15分くらい。
好きなグラスの形と、配色を選んで
職人さんに教えてもらいながら
ガラスを伸ばして、吹いて、叩いて。
実際にやってみると、想像以上に難しかったけど
職人さんが「上手ですね〜!」と
盛り上げながら助けてくださり、
なんとかかんとか、形になってく。
カラフルな渦と、気泡がきれいな
世界にたった1つのグラスができました。
青のグラスは、黄色い魚が泳ぐ
美ら海水族館で見た水槽みたい。
ピンクのグラスは、ブーゲンビリアと
黄色のハイビスカスが咲く
竹富島の街並みみたい。
なんだか沖縄で見た景色が
ぎゅっと詰まったような、
そんなグラスになりました。
うれしかったこと、もうひとつ。
旅行の最終日。
「帰りたくないなぁ。」とこぼすと
彼も同じ言葉を繰り返したあと
「でもきっと、帰ったら
家が1番やなーって思うよ。」
と、言いました。
お家に帰ると、その言葉通り
「やっぱり家が1番落ち着くわ〜。」と
ソファーで、ぐーっと伸びていて。
なんというか、それがとてもうれしかったのです。
このお家に引っ越してきたときから
「2人が帰りたくなるお家にしたい」と
お部屋づくりに励んでいた私にとって、
なによりうれしかった言葉です。
そういえば、私は「暮らし」が好きなんだった。
幻想的なあの島にいつまでもいたくて
このまま時間が止まればいいのに、なんて
旅行中は、ふわふわ考えていたけど
ぐっと現実に戻ってきた感じがしました。
それは夢から覚めたとか、嫌な感じではなくて
すこし大袈裟に言うと、自分がすべきことを
思い出したような感覚です。
昨晩、琉球グラスを初めて使いました。
私はこのグラスを使うたび
沖縄の景色と、あの言葉を思い出して
柔らかな気持ちになると思います。
さて、秋に向けて
リビングも衣替えしようかなぁ。
ファンタジーな夏休みの思い出は
このグラスに詰め込んで、これからも
お部屋づくりをがんばろう。
どんなに素敵な場所へ行っても、
1番だと思えるお家になるように。
どこよりも落ち着く場所になるように。
キラキラ鮮やかなグラスを眺めながら
そんなことを、思うのでした。