【 晴れのち、キッチン 】
喫茶店モーニング部
私、早起きがとっても苦手です。
目覚ましのアラームは幾つもかけて
決まって3つ目からじゃないと聞こえないし、
できればお昼まで寝ていたい。
だけど、朝のスーッとした空気の心地よさも、
早起きすると「えー、まだお昼?」なんて
得した気分になることも、知っています。
「朝活」という言葉にも憧れがあるので、
休日の朝には楽しみを作っています。
名付けて「喫茶店モーニング部」。
朝に弱い部長(私)は、名ばかり。
朝に強い部員(彼)に起こしてもらって
喫茶店や、ローカルなカフェへ
モーニングを食べにいくのです。
もたもた準備をしている間に
彼が洗濯をササッと済ませてくれて
時計の針が9時を過ぎたころ、家を出る。
朝の空気をめいっぱい吸って
「やっぱり朝活はいいねー!」と言うと
「ん? 9時半って、朝活に入る??」と
彼が首を傾げている。
旅行先でもモーニング部は活動します。
カランコロンと扉を鳴らして、お店に入る。
お店はいつも気分で選びます。
いらっしゃいませー!と
気持ちのいい挨拶が響く。
店内には、新聞紙を広げる眼鏡のおじいちゃん、
楽しそうに話しているおばさまたち、
食べ終わったお皿の前で本を読んでいるお姉さん。
それぞれが、それぞれの朝を過ごしています。
喫茶店モーニングの何がいいかというと、
コーヒーの香りが漂う中で食べる
素朴な料理。
サラダと茹で卵がついた
あんバタートースト。
甘いトーストだって、
朝は罪悪感0で食べられます。
普段はピーマンと目玉焼きが
のっているナポリタンも、
朝はソーセージと玉ねぎと
ケチャップソースを絡めただけ。
いたってシンプル。
だけど、そのくらいが
ちょうどいいのです。
そんな気取らない朝ごはんたちが
からっぽのお腹を満たしていく。
ところで、喫茶店のナポリタンって
どうして小さな頃に食べていたような
懐かしい味がするのでしょう?
ほかほかで、もちもち。
粉チーズを好きなだけかけて食べます。
この日は、梅雨の合間の晴れの日。
じめじめ暑いので、食べ終わったあとは
アイスラテでしばらく涼みました。
年季の入ったサイフォンやフライパンに
いったい何年前から使ってるんだろう、なんて
思いを馳せたりもして。
カラ..カラ...と氷の音を立てながら
2人で何気ない話をする。
「今日は何する?」
「そういえば今週こんなことがあったよ〜」
まだ少しぼんやりした頭の中で、
こんな時間がずっと続くといいなと
思っています。
時間の流れをゆっくり感じて、
日常を楽しめる人でありたいです。
お店を出ると、日差しが強くなっていて
今日は一段と暑くなる予感がします。
スーッと爽やかな早朝の空気が恋しい。
さっきより短くなった影を見ながら
「次のモーニング部は
もっと早い時間に活動しましょう!」と言うと
「あれ? それ何回目やろ?」と笑った。
お腹も心も満たされた朝。
もうすぐ、夏がやってきます。