【 晴れのち、キッチン 】
ふたり暮らしを始めて知ったこと
「これ、2つください。」
とあるインテリアショップで出会った
ゆらぎと気泡が綺麗な
チェコのグラス。
いつもなら1つだけ買うところ。
割れないように、大事に2つ
包んでもらいました。
ふたり暮らしを始めて知ったこと。
新しいグラスを買うとき、
2つセットで欲しくなる。
洗濯物は思っているよりもすぐ溜まる。
家事をしたら「ありがとう」と
言ってくれる人がいる。
帰り道が楽しみになる。
引っ越して、しばらく経って。
よく行くスーパーでは、探しているものを
すぐ見つけられるようになったし、
いつもの通勤電車の発車時刻も覚えました。
まだまだ整えたいところがあるけど
お部屋づくりも、ひと段落。
憧れのAGRAソファーを迎えて、
クッションに埋もれているこの頃です。
ふたりで囲む食卓は、まだ少しちぐはぐで
ひとり暮らしの時に集めていた器たちが
バラバラと並んでいます。
大好きな器あつめ。
手作業でしか生まれない陰影とか、
じっと見惚れてしまう模様とか、
味わいとか。
使うたびに心が満たされるものは
「いいもの」を選ぶ立派な理由になると
思っています。
それでも、作家さんの器は
お値段もそれなり。
例えば「食器なんて安いものでええやん〜」
なんて言われることもあるかもしれない。
なんとなく、そんな覚悟もしておきました。
だけど、一緒に住みはじめてまだ間もない頃
「器が変わるだけで、おんなじ料理でも
何倍もおいしく感じるんやな〜」
と、器にこだわりのなかった彼が言いました。
思いがけない言葉に少し驚いたけど
「ね!」と、自然と返事が弾む。
これいいでしょ、こっちもいいでしょ、と
得意げに語る私に、うんうんと
何度も頷いてくれる。
「これは集める人の気持ちがわかるよ。
心が豊かになるものにお金をかけたいって
いう考えは、とってもいいね。」
最近では「今日はどの器にしよ〜」と
楽しんで選んでいる姿を、よく目にします。
バラバラの暮らしをしていた2人が
一緒に生活をするんだから、きっと
今までと違う暮らし方に触れることがある。
そして、その時はどちらかがそれを理解して
受け入れないといけないのだと思っていました。
だけど「理解しなきゃ」じゃなくて
まずは素直に共感すること。
新しい「好き」が増える機会を
たのしんでいけばいいんだ。
肩に力を入れすぎず。
背伸びしすぎず。
ちょっぴり大げさかもしれないけど
そんなことを、思いました。
ふたり暮らしを始めて知ったこと。
ひとりでは気づかなかった
「暮らしの楽しみ」が増える
チャンスだったりする。
よし。
今度の週末は、よく通っていた
器屋さんに行こう。
これから先、長く大切に使える
プレートが見つかるといいな。
できれば、2枚セットで。