【 晴れのち、キッチン 】新しいチェアが届いた日
新しい家具が届きました。
数年前からずっと欲しかった憧れのチェア。
ERCOLのゴールドスミスチェアです。
買うタイミングは何度かあったのですが
これだ! と感じる色味と木目になかなか出会えず。
せっかく買うなら妥協したくない、と
いろんなお店に何度も足を運びました。
購入のきっかけは、
冬の気配を感じるようになってきていた
11月のある日。
以前から好きだった
とあるヴィンテージショップが
大阪に新店舗をオープンするとのこと。
その日は他の用事があったので
お店には行けない予定だったけれど、
案外はやく終わったので「行っちゃうか!」と
軽い気持ちで電車に乗りました。
予定を詰め込むことがあまり好きではない
私には珍しいことなのですが、
「もしかしたら見つかるかもしれない。」と
淡い期待がどこかにあったのだと思います。
夕方。たしか16時くらい。
お店につくとオープン日とはいえ
お客さんはまばらになっていて、
あちこちに貼られている「SOLD OUT」の札から
にぎわっていたのであろう朝の面影を感じます。
ヴィンテージ家具は早いもの勝ちの世界なので
こりゃ良いのは残ってないだろうな...と
落ち着きを取り戻した店内を見渡しながら
すこし諦め気分。
「まぁ、見るだけでも楽しもう!」と
気持ちを切り替えて回っていると
なんと、運の良いことにERCOLチェアは
まだいくつか残っていたのです。
さらに偶然は重なり、
理想の木目と色味のものを発見。
あんなに探していたのが嘘みたいです。
だけど、家具を即決するにはまだ勇気がいる。
チェアに座ってみながら
「本当に買っちゃって大丈夫かな?」と
ちょっとだけ不安になってしまいます。
通りがかった店員さんが
「これは表面を全部削っているタイプではないので
長い年月をかけてゆっくりと味が出てきますよ。」と
小さな夢がある私にぴったりの言葉をくれました。
「次いつ出会えるか分からないよ!」と
いつも蚤の市で迷っているときに
職場の先輩がくださる一言も思い出し、
そうですよね! と心の中で呟いて
しっかり購入して帰ったのでした。
そして先日、メンテナンス期間を経て
ついにお部屋にお迎えすることができました。
数日前からチェアが届いたときのことを想像しては
いそいそとデスクの位置を変えてみたりと
とにかく楽しみにしていたので、
届いたときの嬉しさったら。
いろんな角度から眺めては心が躍ります。
同じ形のチェアは世の中にたくさんあるけれど
私にはこの一脚が、ずっと特別に感じます。
いつものごはんもなんだか新鮮な気分。
気に入って買った家具で
こんなにもお家に帰るのが楽しみになるなんて。
家具を買ったときのワクワク。
届いたときのワクワク。
すこし変えるだけで
お部屋や気分がガラッと変わること。
それを感じるたびに
ああ、インテリア大好きだなぁ
それをお仕事にできて良かったなぁ
と思うのです。
デンマークでは両親や祖父母の家具を
引き継ぐ文化があると聞きました。
私も、大切に大切にこのチェアを育てて、
いつかおばあちゃんになったら
孫へプレゼントするのが夢です。
「これはおばあちゃんが
20代のときに買ったチェアなんだよ〜。
ほら、とっても良い味がでてるでしょう?」
なんて言って。