【くちぶえエッセイ】突然の告白。突然の転機。そして決意
7年前に購入したこのお家。
とっっっても気に入っている。
近くになんでも揃っているし、
自転車でどこでも行ける。
街の雰囲気も好きで、
都会なのに緑もたくさんあって、
いつも子どもたちが走り回っている。
毎週のように遊びに行く公園は、
もはや庭みたい。
娘は同じマンション内にお友達がたくさんで、
みんな赤ちゃんのときからのお付き合い。
幼稚園では親友もできた。
私はというと、ママ友たちと毎日のように
連絡を取り合っては情報交換をしたり、
おしゃべりをしたり。
ときにはたくさんの野菜をいただくことも!
それはもう、楽しい毎日で。
何不自由なく過ごしていた2年ほど前、
夫が書斎の方から突然ぼそりと
「引っ越したいな〜」
え???
耳を疑った...。
娘の幼稚園が始まったばかりなのに??
こんなに満足してるのに??
それから、毎日のように土地探しを始めた夫。
ある日には一人で不動産屋に行ってしまい、
ある日にはレンタカーで
気になる街を走り回っていた。
ついに私と娘も不動産屋へ行くことになり、
新築の物件を一緒に何軒も見て回った。
ぜんぜん、ときめかない...!
娘はわけも分からず、はしゃいでいる。
思えば子どもの頃、親の仕事の関係で、
私は何度も引っ越した。
大分、埼玉、大阪。
大阪府内でも4回は引っ越した記憶がある。
知らない人の中にポンと
入れられる事が何度もあった。
子供ごころに、何をしてるんだろう?と
不思議に思っていた。
今思えば、私の特技「なんとかなる精神」は
子供の頃に培われたものだと思う。
ある意味、引っ越しに感謝。
夫も過去に5回引っ越したらしい。
そのたびに暮らしを楽しんでいたらしく、
昔住んでいた部屋が雑誌に載ったとかで、
自慢気に見せて来たな〜。
もう14年ほど前のお話ですが。
そういえば、結婚してからも
娘が生まれる前に4回引っ越している...!
もはや、そういう運命なのかもしれない。
まあ、将来を見据えて
夫なりの考えがあるのだろうと
理解をし始めていたころ、
パタリと引っ越しの話をしなくなった。
しばらく平和に時は流れ、
娘は年長さんになった。
夫は部屋のコーディネートを
日々楽しんでいる様子。
その影響もあってか、娘はサンタさんに
去年もらったシルバニアファミリーで、
お家のレイアウトを楽しむようになった。
そんなある日、また夫が土地を
見に行こうと言い出した。
ハウスメーカーの方に連れられ、
開発中の街並みを見学。
空が高く、静かで、程よく都会。
娘は、たまたま出てきたお隣さんの
男の子と楽しそうに走り回っている。
「あら、なんかいいやん...!」
初めてテンションが上った。
モヤモヤしていた気持ちが、
この青空にスッと溶けていった。
あれよあれよという間に土地の契約をし、
今の家が売れ、新しい家が建つまでの間に住む
借り暮らしも決まった。
それはそれは忙しい毎日で。
ハンコも何度押したか分からない。
でもこういう経験も最後だと思って、
今はすべてを前向きに取り組めている。
せっかくだから楽しまないと!
「家は3回建てないと、
理想の家にならないって言うからな〜」
初めての引っ越しを前に
「引っ越し遊び」を楽しむ娘の横で、
夫がまた怖いことを言っている。
今回の土地は、どうやら2年近く
夜な夜な探し続けて見つけたらしい。
また何年かかけて探すつもりだろうか?
一旦この話は忘れて、
目の前の作業を進めなければ!
荷物を箱に詰めてる先から、
出しては遊んで散らかす娘。
この家の思い出にと、
また雑貨を並べては写真を撮る夫。
自由なB型たちに負けないくらい、
私は片付けと断捨離に燃えている。