【まるく、暮らす。】
暮らしの楽しみをくれた「カップ&ソーサー」
知人と話していたときの事。
「どうやって、暮らしを楽しんでいるの?」
という話題になりました。
知人曰く
「楽しみ方が分からないんだよね」
とのこと。
いざ考えてみると、言葉にするのが難しい。
その時、「楽しみ方はこれ!」という風に、
はっきりとは応えきれずにいたのですが、
今まで暮らしていて何も思っていなかったことが、
「楽しい」に変わったきっかけは
いくつかあったなあと思いだしてきました。
そのなかでも、強く印象に残っているのが、
「カップ&ソーサー」でした。
実家にいたころ、ちょっと上品な雰囲気の
カップ&ソーサーはガラス扉に並んでいて、
なんだかよそ行き顔。
お客さんが来た時にだけ、コーヒーや
紅茶を淹れて使われていました。
そんな感じだったので、
私のなかでカップ&ソーサーは、
「ちょっと特別な時に使うもの」
だったんです。
なのでもちろん、
自分ひとりで暮らし始めても、
使うのはカップだけ。
ところが、インテリア業界に入ってみると、
カップ&ソーサーを日常使いする方がいることを
知りとても驚きました。
「あれって、自分で使ってもいいんだ。」
ちいさなことですが、幼いころからの
当たり前がひっくり返った瞬間。
正直、初めの頃は「ええ、わざわざ...。」と
思っていたのですが、あらゆる人の日常に
カップ&ソーサーが溶け込む姿を見ていたら
いつの間にか、いつか私もそうしてみたいなと
思うようになっていました。
そして、単体で使っていた
イイホシユミコさんのカップに合わせ、
後からソーサーを購入した日のことは
今でもとても覚えています。
フラッと立ち寄っては、
何度もカップ&ソーサーを眺めていたお店。
いつも、手にとっては棚に戻していたソーサーを
この日はしっかりと抱え、
お店の方に購入をお願いしました。
「ロゴの感じも少しずつ違うので、選びますか?」
と、丁寧に接客してもらい、
心弾ませながら選んだことも思い出のひとつ。
そうして、無事に念願のカップ&ソーサーを買い
帰路へとついたのでした。
それからというもの、
朝の仕事前や休日のおやつ時間、
ちょっと余裕がある日には
カップ&ソーサーを使うように。
使ってみて分かったことは、
ソーサーを合わせると、バランスがよく
カップの可愛さが引き立つ、ということ。
そして何より、ちょっとした
特別感がでるということ。
わざわざカップ&ソーサーを使うだけで、
なんてことない日の朝ごはんや、
おやつの時間が素敵に見えて、
なんだか楽しくなってきたんです。
ちょっとひと手間かけて、
「わざわざ」何かをする。
本来は、自分だからこそ
手を抜けるところでもあります。
でも、たまには自分のために
その「わざわざ」をしてみる。
それは、誰かをおもてなしで楽しませるように、
自分を楽しませる方法のひとつかもしれないなあと
カップ&ソーサーを使ってみて気づいたのでした。
今までの「当たり前」を変えることは
ちょっと勇気がいること。
しかも、「わざわざ」やると思っていたことを
変えてみる時には、本当にいいのかなあ?と
斜に構えてしまうこともあります。
でも、自分の生活にはなかったことや、
特別だと思っていたことも、
「なんだか素敵」だと感じたら
ひとまずやってみる。
すると、思いがけない気づきに出会えることも。
そのアップデートが
暮らしの「楽しみ方」をひとつ、またひとつと
増やしてくれているような気がします。
生活する上で「わざわざ」なことを、
自分のためだけにやってみる。
それは、小さな身の回りのことで
楽しみをつくるコツかもしれません。
( 少しずつ、お気に入りのカップ&ソーサーを集めています。 )