【 まあ、いいペース 】 三日後の君、歩き出している。
世の中にありふれているやさしい言葉に
「 ありがとう 」がある。
小さいころは、今してもらったことに対して、
この言葉をお返ししていた気がする。
そんなときは、自然と笑顔があった。
その理由は、ありがとうの中に、
「これからも、よろしくね。」があって、
安心感に包まれていたから、なんだろうな。
大人になると、その言葉のスケールは、
大きくなった。
ありがとうの前に、「 今まで 」なんて
接続詞が付いてくることも増えた。
この言葉を使うときは、そこにあった当たり前が、
なくなってしまうときだったりする。
今まで重ねてきたありがとうが多いほど、
こころはやっぱり苦しい。
そんなとき、そっと元気をくれた言葉がある。
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困難に向かい合ったとき、もうだめだ、と思ったとき。
想像してみるといい。
3時間後の君、涙が止まっている。
24時間後の君、涙は乾いている。
二日後の君、顔を上げている。
三日後の君、歩き出している。
どうだい?そんなに難しいことじゃないだろう?
だって人間は、そういうふうにできているんだ。
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原田マハさんの小説にでてくる一節である。
今、と言われたら無理だけど。
数日後、元気になっている自分を想像してみる。
ふっと、少し気持ちが軽くなった。
わたしは、嫌でも三日後には、
笑っているらしいのだから、今は悲しくてもいい。
そんなふうに思えた。
落ち込んだとき。
元気になるまでの最短距離って、なんだろう。
まだまだ分からないことだらけである。
だけど、ひとつだけ分かったこと。
悲しい気持ちは、途中で感謝に変わる。
感謝を見つけたとき、
同時にちょっと元気になっていた。