
名作椅子「CH24 (Yチェア)」を購入する前に知ってほしいこと。
https://www.receno.com/pen/chairs/u51/2023-04-25.php公開日 2025年07月11日(金)
こんにちは、カメラマンの辻口です。
「モダンインテリア」というスタイルに
ご興味がある方は、
というお悩みや疑問をお持ちの人が
多いのではないでしょうか?
モダンスタイルの作り方として「モノトーンに
しましょう」「金属素材を使おう」という
方法がよく聞かれます。
しかし「モノトーン」や「金属素材」が、
なぜモダンインテリアに関係するのか、そして
モダンスタイルにどんなメリットがあるのか、
についてはあまり語られていません。
結論からいうと、モダンインテリアには、
という大きなメリットがあります。
そして、今回はモダンインテリアが生まれた
歴史的背景を交えながら、
について、詳しく解説していきます。
「モダンインテリア」の作り方やメリットを知るには、
その歴史的背景に立ち返ってみるのが、実は近道です。
簡単にいうと、モダンインテリアは
「産業革命で生まれた過剰装飾」から
「本当の暮らしやすさと美しさ」を見つめ直す
運動が起点になっています。
「産業革命」は、19世紀のヨーロッパで起こった
「蒸気機関」「金属加工」「プリント」といった
技術の革新です。
手工業から機械による大量生産が可能になり、
当時高価だった「カラフルな装飾品」や
「複雑な彫刻家具」が、庶民でも廉価で
手に入るようになりました。
その結果、当時憧れとして存在していた
「華美なインテリア」が流行し、「過剰な装飾」や
「見た目だけの家具」が氾濫しました。
「暮らしやすさ」よりも「豊かさの虚飾や主張」が
先行したわけです。
暮らしのために存在するはずのインテリアが
目的からかけ離れていくにつれ、本質を見つめ直す
「反対運動」もまた、盛んになりました。
これがインテリアにおける
「モダニズム」の始まりです。
産業革命による過剰装飾の反動として生まれた
「モダンインテリア」の目的は、
「革新された技術を、暮らしのために正しく使おう」
ということです。
主なテーマを3つにまとめると、
といったところでしょうか。
例えば、形の正確な生産が可能になったガラスは、
華美なステンドガラスから、シンプルな
板ガラスの窓に。
金属は、複雑で装飾的なデザインから、
耐久性を活かして、空間を有効に使える
細身でコンパクトな家具デザインに
活かされるようになりました。
例えば、豊かさを誇示するように派手な装飾が
施されていたチェア。
人が座りやすい形状が、そのままデザインとなって
現れた意匠のチェアが、モダニズムの中で
たくさん生まれました。
例えば、クラフトマンシップを大事にする
北欧の家具デザイナーが「機械生産」を前提として
木工の椅子をデザインしました。
その椅子は「Yチェア」という愛称で親しまれ、
1950年の誕生から今に至るまで、手の届く
名作として今も愛され続けています。
名作椅子「CH24 (Yチェア)」を購入する前に知ってほしいこと。
https://www.receno.com/pen/chairs/u51/2023-04-25.phpつまり、モダンインテリアというのは、
「素材や技術の本質を捉える」ことや、
「本当の暮らしやすさを実現するための引き算」
が根本になっています。
そうした活動から、モダニズムは1つの
インテリアスタイルとして確立され、その「特徴」や
「傾向」もまた、確立されていきました。
ここからは「モダンインテリア」を構成する要素を
読み解き、お部屋へ取り入れるための、
という3つの方法を紐解きます。
1つ目の方法は「無彩色の割合を多く取る」です。
「余計な装飾を省く引き算」が根本になっている
モダンインテリアは、要素が少なく、すっきりと
シンプルな見た目の傾向があります。
そこでまず注目したいのが
「お部屋を占める色の割合」
です。
リセノでは、お部屋づくりがしやすくなる
色の捉え方として、カラーを「無彩色」と
「アースカラー」に分けるのが良いと考えています。
無彩色は、彩度のない「白」や「グレー」や「黒」
ですね。
アースカラーは「木」や「土」や「植物」
など自然の中に存在する彩度の低い色で、扱いやすく
お部屋に馴染みやすいカラーのことです。
そしてこの2つのカラー割合、つまりバランスを
「無彩色優位」にすることで、シンプルで洗練された
モダンインテリアを表現しやすくなります。
その理由は2つあり、1つは最初にも
お話した「要素の引き算」です。
アースカラーのような「有彩色」が、
白や黒の「無彩色」に変わることで、
「色」が引き算され、要素が整理されます。
2つ目の理由は、モダニズムの運動の中で
取り入れられた「金属」「リノリウム」「メラミン」
といった新しい素材に、無彩色が多く使われていた
ことも関係しています。
家具は元来、木材を使ったアースカラーのものが
多かったところに、モダニズムによって新素材が
取り入れられたことで、「無彩色」が
モダンインテリアの1つのアイコンになったわけです。
「モダンインテリアはモノトーンに」と
言われる理由が、歴史に立ち返ると
よく分かりますね。
お部屋に無彩色を取り入れるには、家具や雑貨に
白や黒のものを選ぶという方法も1つですが、
おすすめなのが「床色を変えること」です。
無彩色の割合が多い
床は、お部屋の面積を多く占める要素ですが、
「アースカラー」である木目のフローリングが
使われていることが多いです。
アースカラーの割合が多い
その床を「フリーカットカーペット」や
「タイルカーペット」など、賃貸でも使えるような
アイテムで変えることで、一気にモダンインテリア
の雰囲気近づけることができます。
お部屋の印象を大きく変えるカーペット。「敷き詰め」と「タイル」の選び方やメリットを解説します。
https://www.receno.com/pen/rags/u82/2025-05-09.phpただ、お部屋を無彩色だけにすると、無機質で個性の
ないお部屋になってしまうので、あくまで
「無彩色」と「アースカラー」の割合を「目指したい
モダンの濃度」にあわせて調整することが大事です。
ちなみに、この「カラー優位」の考え方については
別の記事でも解説していますので、よければ
ご参考ください。
「床色」が変われば、お部屋の印象を大きく変えることができます。
https://www.receno.com/pen/vasestyling/u4/2024-10-11.php2つ目の方法は「線の細い家具を選ぶ」です。
理由は2つあり、その1つは
先ほどと同じように「要素の引き算」です。
「太い線」が「細い線」に代わり、要素が
引き算されると、シンプルさが際立ち、
モダンインテリアの雰囲気に近づきます。
もう1つの理由は「線の細い家具≒金属」
ということです。
歴史の部分でもお話したように「金属」は
「木材」に比べ強度があり、その特性をいかして
「細く、軽く、ミニマルなデザイン」へ
活かされてきました。
「線の細い家具を選ぶ」ということは、多くの場合、
「金属が使われた家具を選ぶ」ということになります。
金属はモダニズムの中で取り入れられてきた
「モダンインテリアのアイコン」の1つですから、
「線の細い家具を選ぶ = モダンスタイルに近づく」
というわけです。
お部屋へ線の細い家具を取り入れる場合は、
まず「チェア」や「テーブル」を取り入れるのが
おすすめです。
チェアやテーブルがおすすめなのは、お部屋を
象徴する主役の家具であるということと、線の細さが
強調される「脚」のある家具、ということが
理由として挙げられます。
3つ目の方法は、収納は「隠して」「馴染ませる」です。
収納家具は「暮らしやすさ」にとって欠かせない
要素ですが、ここにもモダンインテリアへ
アプローチするテクニックがあります。
まず「隠して」については、具体的にいうと
「扉付きの収納を選ぼう」ということです。
収納には主に「隠す収納」と「見せる収納」が
あります。
家具を買う前に「見せる収納」と「隠す収納」のメリット・デメリットを理解しましょう。
https://www.receno.com/pen/storages/u7/2023-04-17.php「隠す収納」は、扉がついたキャビネットのように、
「中身の見えない家具や収納方法」のことを指します。
「見せる収納」は、オープンシェルフを使って
「中身を見せながら収納する家具や収納方法」の
ことをいいます。
モダンインテリアは「要素の引き算」ですから、
生活品などのノイズを見えなくする「隠す収納」と
相性が良いです。
「暮らしやすさを見つめ直す」という観点からも、
生活の負担を軽減してくれる隠す収納は、
モダンインテリアの思想とマッチします。
「馴染ませる」については、具体的にいうと
「無彩色の収納を選んで、空間に馴染ませよう」
ということです。
収納家具というと、その機能上、四角くて
大きな箱の形をしていて、存在感のあるものが
思い浮かぶかと思います。
この「大きくて目立つ存在」を引き算する方法が
「壁の色と同じ収納家具を選んで、壁と同化させる」
というアプローチです。
①一般的なお部屋の内装は、白い壁が多い。
②モダンスタイルは、無彩色の割合が多い。
ということを考えると、無彩色の収納家具を
選ぶことで存在が空間に馴染み、
すっきりと洗練された印象になる、というわけです。
さて、ここまでモダンインテリアの
「歴史」と「作り方」を紐解いてきましたが、
モダンスタイルを取り入れることで、暮らしに
どんなメリットがあるのでしょうか?
それは、
の3つに分けることができます。
インテリアにも、ファッションと同じように
「今年はブラウン×グレー」「自然素材をたくさん
取り入れよう」といった一時的なトレンドが生まれ、
そして早いスパンで入れ替わるサイクルがあります。
その点「モダンインテリア」は、インテリアの
根本的である「暮らしやすさ」や「美しさ」を
目指す「普遍性」があるので、シンプルで
飽きにくいです。
また、モダンスタイルのようにシンプルなベースが
整っていれば、そこにアクセントとしての個性や、
トレンド感をミックスすることもできます。
そうした「飽きないシンプルさ」や
「アレンジの加えやすさ」がモダンインテリアの
メリットの1つです。
「おしゃれは我慢」という考え方があるように、
「シンプル」を追求すると「便利さ」が犠牲に
なるのはよくあることです。
しかし、モダンインテリアの本分は
「過剰な装飾の引き算」と「暮らしやすさ」の追求
なので、「両立のヒント」がたくさんあります。
例えば「無彩色優位」は、機能性を損なわずに
色選びのアプローチによって洗練を目指す
テクニックです。
「金属」についても、素材の強さを活かして
「軽さやコンパクト」といった機能性と、
「ミニマルなシャープさ」という美しさを
両立しています。
「隠す収納」も、扉付きの家具を使うことで
「片付けのストレス」は軽減しながら、
「ノイズレス」で洗練された見た目も
叶えられるテクニックです。
つまり、モダンスタイルを取り入れることで、
「シンプルさ」と「機能性」と両方を
高めることができるというメリットがあります。
モダンインテリアを目指すことで、
「お部屋を広く見せる」という効果も期待できます。
要素が引き算される中で、お部屋の中で
「モノが占める面積」もまた減っていくので、
単純に「物理的な広さ」を確保できるわけです。
また、白のような広がりを感じさせる「膨張色」が
お部屋の中に増えることで「心理的」にも、
お部屋を広く感じることができるようになります。
方法論だけだと、暮らしにくい形だけのスタイルに。
リセノが「モダンインテリア」を取り入れる際に
大事にしているのは「歴史的背景や目的を
理解した上で、正しく取り入れる」ということです。
「モノトーンにする」「金属を取り入れる」という
方法論だけが先行すると、ただ無機質で冷たく、
使いづらいお部屋になってしまいます。
最後に、実際にモダンインテリアの要素を
お部屋へ上手に取り入れている、
リセノスタッフ3名のお部屋をご紹介します。
2人暮らしの「スタッフ遠藤」のお部屋。
大きな特徴は「グレーのカーペット」と
「壁面に馴染ませた隠す収納」です。
この2つの要素で「無彩色優位の空間」と
「使いやすさ」を両立したモダンインテリアの
ベースを叶えています。
その上で、ダイニングには「木工の大きな
ダイニングテーブル」や「自然素材のチェア」と
いったアースカラーを取り入れ、個性や温かみを
感じるお部屋に仕上げています。
2人暮らしの「スタッフ江上邸」のお部屋。
スタッフ遠藤邸と同じく、無彩色に近いカーペットや
壁に馴染ませた隠す収納で、モダンインテリアの
ベースを整えています。
その上で、蚤の市で購入したヴィンテージ雑貨や、
木工の椅子やテーブルをミックスすることで、
シンプルなベースに、個性の彩りを
うまくミックスしたお部屋になっています。
1人暮らしの「スタッフ清水邸」のお部屋。
金属が使われた線の細いテーブルやチェア、
シェルフとカーペットを取り入れながら、
ヴィンテージ家具やキリムを取り入れた
「モダン×ヴィンテージ」のスタイル。
モダンインテリアの要素をうまく取り入れることで、
メインとなるヴィンテージの家具やキリムが、
シンプルさの中で上手に引き立てられています。
モダンインテリアの「歴史」「作り方」「メリット」
を紐解いてきましたが、いかがだったでしょうか?
おさらいしますと、モダンインテリアの作り方は、
モダンインテリアを取り入れるメリットは、
です。
モダンインテリアの考え方は「暮らしやすさ」や
「本当の美しさ」を見つめる根本的なものであり、
例えモダンスタイルを目指さなくても、必ず
役に立つ知識やテクニックでもあります。
ぜひ、自分のスタイルにあう部分を
取り入れてみてください。
また、モダンから派生した「ジャパンディ」や
「ナチュラルモダン」についても別の記事で
詳しく解説していますので、あわせて
ご覧いただくと理解が深まります。
▼ジャパンディとは?
話題のインテリアスタイル「ジャパンディ」の特徴と取り入れ方
https://www.receno.com/pen/coordinate/u51/2024-02-16.php▼ナチュラルモダンインテリアとは?
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https://www.receno.com/pen/coordinate/u76/2024-05-24.php最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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