センスのいらないインテリア【スタイリング編】|ベーススタイリングと、ポイントスタイリング
美しいインテリアスタイリングとは?
美しいお部屋とは、どんなお部屋でしょう?
リセノが考える「美しいお部屋」とは
- きれいに整理されている
- お部屋に統一感がある
- 空間の配置バランスが良い
- 見どころがある
- パーソナル・愛着がある
- 暮らしやすい
- リラックスできる
という状態だと思います。
たとえ、美しい名作家具をお部屋に配置したとしても、
ほかの家具との調和がとれていない状態では、美しく
ありません。
また、家具やインテリアをきれいに配置していたとして
も、ノイズとなる日用品が散見されるようでは、それも
また美しい部屋とは言えませんね。
また、きれいに整理されていても、生活動線が悪かった
り、品質が低く、使い心地の悪い家具では、リラックス
した時間を送れないでしょう。
つまり「美しいお部屋」とは、ただきれいなだけでは
なく、さまざまな要素が一定以上のクオリティにある
ことが大切になります。
そして、それらの要素をを整えることを総称して、
「インテリアスタイリング」と呼ぶのです。
理解しておいていただきたいのは「インテリアスタイリ
ング = 装飾・ディスプレイ」だけではないということ。
「装飾・ディスプレイ」は、スタイリングの一側面に
すぎません。
この記事では、スタイリングというものを丁寧に紐解き、
美しい部屋を目指すためのステップを、誰もが楽しみな
がら作れるヒントを提示していこうと思います。
インテリアスタイリングで得られる「2つの心地」
さて、インテリアスタイリングで重要な「目指す場所」
を最初に共有しておきましょう。
インテリアスタイリングで、目標とするのは、
次の2つのバランスが良い状態です。
- 使い心地(機能美)
- 見心地(装飾美)
機能性やサイズなどの「使い心地」
まずは「使い心地」についてです。
家具は、普段の暮らしで「道具」として、毎日使う物です。
ですから、座り心地であったり、触り心地、使いやすい
設計、サイズ、(照明なら)明るさ......など、快適な使
い心地を有していることは、絶対条件です。
いかにデザインが美しくとも、座り心地の悪いチェア
は要りませんし、サイズの足りないテーブルも×です。
また、素敵な照明であっても、明るさが足りなければ、
役に立ちませんね。
つまりは、家具は「暮らしやすくするための道具」で
すから、機能性としての「使い心地」を備えている事
は、とても大事なわけです。
これを専門的な言葉で言うと「機能美を有している」
という言い方をします。
使い心地 = 機能美
このように、家具を選ぶ際には、まず大前提として、
「使い心地が良い」という点が必要です。
そして、この「使い心地」を構成するのは、3つの要素
と定義しています。
使い心地(機能美)を構成する「3つの要素」
美しい部屋 | 美しくない部屋 | |
---|---|---|
利便性 | サイズ、動線、配置が良く、 快適で暮らしやすい | 使いづらく、暮らしにくい |
品質 | 品質が良く、リラックス・癒しを感じる | 心地が悪く、落ち着かない |
整理 | 片付いていて、見せたくないものは 収納されていて使いやすい | 見せたくない日用品が目に付き、 暮らしに悪影響がある |
使い心地(機能美)をもつ部屋は、利便性が高く、毎日
の暮らしがスムーズで快適です。
適切なサイズやレイアウト、家具の品質、適切な照度
などがそれにあたります。
座り心地の良いソファーや、適切な明るさの照明など
は気持ちが良く、リラックスして過ごせるようにして
くれます。
目で愛でて、心も満たす「見心地」
前項でお話した「使い心地」について、多くの人が
「そりゃそうだよ。当たり前だよ。」と、思われる
方が多いことでしょう。
必要なサイズのテーブルがなければ、人数分の食事を
置けませんし、快適な座り心地のチェアがなければ、
食事を楽しみながらの会話も弾みませんね。
「使い心地」は、絶対条件です。
では「使い心地」が、十分に足りている家具があれば
暮らしは豊かになるのでしょうか?
答えは、NOだと思います。
もし、多くの人が「使い心地」だけで満足するのであ
れば、ファッションは、おしゃれを楽しむ必要はなく、
寒さをしのげればいい、体を隠せればいいということ
になってしまいます。
また、食事であれば、お腹が膨られればいいという事
であれば、美味しい食事を楽しむ必要さえ無くなって
しまうでしょう。
つまり、人というものは
「機能が満たされれば、満足」
という風にはできていないのです。
そして、それは家具選びにおいても、例外ではありません。
だからこそ「使い心地」と同時に、とても重要になっ
てくるのが「見心地」という考え方です。
「見た目の美しさ = 見心地」が大事なのは、なぜでしょう。
その答えは、人は美しいものを見たり、触れたりする
ことで、心が喜んだり、気持ちが安らいだりする感覚
を得るからです。
家具やインテリアは、日々の暮らしの中で、幾度とな
く目にしたり、触れたりします。
それは一年を通して毎日の事ですから、お気に入りの
洋服などよりも、さらにさらに多いのです。
暮らしの中で、ふと目にしたり、触れたりした時に、
「きれいな椅子だな。素敵だな。」
「美しい照明だな。買ってよかったな。」
「このソファー、最高だな。」
といった風に「美しいものを、見て楽しむ」という
満足を感じることができます。
これを「機能美」に対して、「装飾美」と言います。
見心地 = 装飾美
そして、この「見心地」を構成するのは、4つの要素と
定義しています。
見心地(装飾美)を構成する「4つの要素」
美しい部屋 | 美しくない部屋 | |
---|---|---|
統一感 | 家具、インテリアに統一感がある | 統一感がなく、バラバラしている |
バランス | 空間の家具・インテリアの配置バランスがよい | 配置バランスが悪い |
注目 | 目を引くポイントやアイテムがある | のっぺりとしていて、単調で面白みがない |
愛着 | 個性を感じるアイテムを取り入れている | 個性を感じない |
4つの要素が上手に成立しているお部屋は、見た目が良
く、美しさを感じさせます。
そして「使い心地」と「見心地」の要素をしっかりと
表現できている部屋は、快適な暮らしを提供し、また、
心の充足も与えてくれるのです。
スタイリングアプローチ 「配置」と「装飾」
さて、そんな2つの心地を実現するために行う「インテ
リアスタイリング」ですが、より丁寧に紐解いていきま
しょう。
インテリアスタイリングとは
- 空間への配置バランス
- 装飾・ディスプレイ
の2つのアプローチが基本的な考え方です。
「スタイリング」と聞くと、なんとなく「装飾や、ディ
スプレイ」などのような「飾る」ということを思い浮か
べる方も多いのではないでしょうか。
「スタイリング = おしゃれに小物を飾る」
というようなイメージです。
これは実は、半分合っていて、半分間違いです。
なぜかというと、飾るよりも前段階に
「スタイリング = 空間にバランスよく配置する」
という「飾る」の前の「配置」という手順があるからです。
例えば、下の画像を見てみましょう。
「素敵なお部屋で、素敵なインテリアスタイリング」
だということは、感覚的に感じていただけることでしょう。
ただ、要素を紐解くと「飾る」ということも当然行われ
ていますが、それと同時に、お部屋の空間バランスを取
るために、全体的にお部屋全体を活用しながら、上手に
配置されているのが分かります。
- 統一感のある家具
- 適切なサイズのテーブルとチェア
- 部屋の角の緊張感をやわらげるフロアライト
- 目線の先にあるアイキャッチ
- 日差しを美しく調整するブラインド
など、適切な用途、適切なサイズ、適切な色味の家具を
適切な場所に置くことで、美しいお部屋の土台を作って
いることにも気付かされます。
ですから、
1. 空間にバランスよく配置する → 2. おしゃれに小物を飾る
という2つの手順でお部屋を彩ることを「スタイリング」
と呼ぶのが適切なのです。
おしゃれに小物を飾る
2つの違いは理解すると「なるほど。」と思われる方も
多いでしょうが、一言で「スタイリング」という言葉だ
けでは「配置」と「装飾」のどちらを指すのかを混同し
やすく、真意を伝えづらいものです。
ですから、この定義についてわかりやすいように、
リセノでは、独自に2つのワードを作りました。
それが
- 空間の配置バランス = ベーススタイリング
- 装飾・ディスプレイ = ポイントスタイリング
です。
ベースメイク、ポイントメイクのイメージです。
この「ベーススタイリング・ポイントスタイリング」と
いう言葉は、メイク用語に着想を得て名付けました。
リセノスタッフにスタイリングの種類について、呼び方
を相談してみたところ
「それって、女性のメイクの話と近いですね。」
「ベースメイクをして、その後ポイントメイクで仕上げるんです。」
ということを教えてもらいました。
「なるほど! メイクする人なら誰でも知っていて、
ベースとポイントの概念を掴みやすいね!」
ということで、採用させてもらいました。
ベーススタイリング(配置)
美しい部屋 | |
---|---|
整理 | 〇 余計なものが見えていない |
統一感 | 〇 トーンを統一した家具・インテリア |
バランス | × 目線の先ががらんとしている |
注目 | × 注目すべき点がない |
愛着 | × 愛着のあるアイテムがない |
まず、スタイリングの中でも「配置」を意味するのが
「ベーススタイリング」です。
シンプルなお部屋に、土台となる家具を配置していきます。
配置するアイテムの色のトーンを合わせたり、サイズ
を最適なものを選んだり、お部屋というキャンバスに
大きなアイテムを配置していきます。
よく問題になるのは、この「ベーススタイリング」で
お部屋づくりを終わりと思っている方です。
ベーススタイリングを上手に行うということで、お部屋
はきれいに整理されていて、統一感がある状態は作れます。
ただ、目線の先ががらんと空いてしまっていて、注目
すべき点や、みどころがありません。
まさに、お化粧でいうところのベースメイクで止まって
いる状態です。
ベーススタイリングの完成は、次の「ポイントスタイリ
ング(装飾)」への下地と考えると良いでしょう。
ポイントスタイリング(装飾)
美しい部屋 | |
---|---|
整理 | 〇 |
統一感 | 〇 |
バランス | 〇 目線の先にアイキャッチがあり、がらんとしていない |
注目 | 〇 アートや小物など見どころがある |
愛着 | 〇 思い出の品や、お気に入りの雑貨など |
ベーススタイリングが整った後には、ポイントスタイリ
ングです。
このポイントスタイリングを行うことによって、お部屋
の「バランス、注目、愛着」がプラスされて、見心地の
良いお部屋になります。
ポイントスタイリングには「アクセントアイテム」と
呼んでいるアイテムたちをセオリーに沿って、お部屋
に散りばめていきます。
このようにポイントスタイリングを行うことで、お
部屋はより魅力を増し、自分で作り上げた、自分だけ
の空間に仕上げることができます。
適切なスタイリングアプローチで、
誰でも美しいお部屋づくりができます。
この記事では、美しいお部屋を実現するためには、
「使い心地」と「見心地」の両方が必要であることを
起点に、インテリアスタイリングの定義についてもご
紹介しました。
美しいお部屋づくりのためには、
- ベーススタイリング
- ポイントスタイリング
という2つのスタイリングを順番に実行していくことで、
センスに自信のない方でも、誰もが美しいお部屋をつく
ることができます。
「ベーススタイリング」と「ポイントスタイリング」の
ひとつひとつの実践方法については、セオリーとして
順次公開していきます。
楽しみにお待ちいただければと思います。
動画でもご覧いただけます。
今回ご紹介した内容は、プロが解説する
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