HOME > 特集 > BETTER LIFE & HOTTA CARPET
ウールラグのある、よりよい生活
堀田カーペットのアイテムは、すべて天然の羊の毛を使ったウールラグ。座ってみると柔らかく、ずっと撫でていたくなるサラサラとした優しい肌触りや、寝転がった時の気持ち良さは天然のウール素材ならではのもの。そのふんわりとした柔らかさに、ソファーがあっても背もたれにしてつい床に座りたくなってしまうことも。
床に手を触れながら会話をしていても、暖かさやウールの感触に気持ちもほっこり。様々な色が混ざった表情豊かな生地や天然素材の風合いが、その場の空気も自然と和ませてくれます。
クッション性の良さもウールラグの魅力のひとつ。1本ずつの繊維がクリンプ(縮れ)状になっていて、上を歩くとウールが反発してくるかのようなしっかりとしたふかふか感を足の裏で感じられます。立っていても楽ですし、いつまでも踏み心地の良いフロアを保てます。子供達が走り回っても振動を柔らかく受けとめてくれる他、家具を移動させた押し跡も目立たずもとの柔らかな感触に回復します。
また、ウールの繊維が含む空気の層は、雑音や騒音を吸収するという特徴もあります。足音や話し声などの反響も防いでくれるので、階下への音が気になるマンションや、隣との距離が近い家には特におすすめ。ウールのこんな力を活かして、コンサートホールなどの大きな音の出る施設では、ウール素材の敷物が多く取り入れられています。
真冬の寒さを乗り切る羊たちの毛は、繊維が1本1本複雑に絡み合っていて空気をたっぷり含むことができるようになっています。そのため、ウールには高い断熱効果があり、冬の寒い床からの冷気を防いでくれます。また、湿度を調整してくれる機能もあり、湿気を吸収すると吸着熱が発生。熱伝導性も低く触れてもひんやりしません。
寒い冬の時期、こたつの無いリビングでも、ウールのおかげで床の冷気に室温がうばわれにくいので、クッションを抱えたりブランケットを掛けておけば、快適に過ごすことができます。
一見暑そうにも見える夏のウールラグですが、ウールは湿気を吸ったり吐いたりする調湿作用が抜群で、天然のエアコンと言われているくらい湿度を調整してくれる天然素材。その効果は綿の2倍、ポリエステルの40倍と言われています。湿気を吸収すると水分を大気に放つ際に気化熱を奪い、夏は涼しくなるという効果があります。
夏の暑い時期に裸足で歩いたり寝転んでいても、肌にまとわりついたりビチャビチャするような感じにはならないので、いつもサラサラで気持ち良く過ごせます。一番効果を発揮するのは梅雨の時期で、肌触りさらっと、快適に過ごせます。カビとか結露とか、そういう湿気への悩みがなくなったという声もあるほどです。
毎日生活をしている中で、必ずでてくる埃やハウスダスト。特にフローリングは埃が舞い上がりやすく、一番たまりやすいところが赤ちゃんがハイハイしたり、ベッドに近い床上30cmの空間と言われています。 ウール素材にはしっかり埃を吸着する特徴があり、埃の舞い上がり量はフロリーングの1/10という検査結果も。
室内のチリや埃といった、アレルギーなどのシックハウス症候群の原因物質を長期にわたって吸着しつづけウールと化学結合、有害物質を吸着して再放出しません。消臭機能もあるウールは天然の空気清浄機と言われるほで、室内の空気を綺麗に保ってくれます。
扱うのに気を使ってしまいそうなウールラグですが、汚れが付きやすい場所でもそんなに気にしなくて大丈夫。ウールには水を弾く撥水性の高さという特徴があり、液体も吸い込みにくいので汚れが付きにくくなっています。みんなで集まってお菓子を食べたり、お茶を楽しむような場面でも心配いりません。こぼしてもすぐに拭けば大丈夫。
アイスクリームみたいなとろとろしたものは、繊維の中に入ってしまうこともあるので多少手間がかかりますが。お湯をかけてタオルを乗せ、上から4〜5回たたけば、見た目も臭いもたいだい消えて綺麗になります。
ウールのメンテナンスは、基本的には普段の掃除機だけでOK。これは、遊び毛が多いというウールの特徴に関係しています。遊び毛とは、使っているうちにウールラグの表面から出てくる埃のようなもので、特に使い始めの頃は多く出てきます。そして、この遊び毛が出るという特徴により表面についた汚れも少しずつ一緒に取り除かれていきます。
もともと汚れの付きにくい繊維に汚れの付いた毛が抜けていくという特徴が合わさることで、日々の掃除機だけという簡単なメンテナンスがウールラグの美しさを長く保つことに繋がります。
ウールで作ったウィルトン織のラグは、ウールのパイル糸と裏糸を同時に織り上げる“織物なので”、パイル糸と裏地が剥れることなく非常に長持ちします。大量生産型のタフテッドカーペットの場合、表地と基布とをラテックス(合成のり)で貼りつけるため、時間の経過での風化現象や、水などをこぼした時に剥離することがあります。
また、ウール素材そのものも耐久性に優れた素材。パイルがヘタりにくく、ウールラグならではのふわっとした踏み心地が持続するので、年中使っていても傷みが少なく、害虫やカビにも強いので長く愛用できます。
ファッションのエッセンスをインテリアに取り入れ、自分の為に仕立てられた一着のジャケットのように空間に馴染み、時代や世代を超えていつまでも愛され続けるものをつくりたいという思いで作られた「COURT(コートブランド)」。 ファーストコレクションのテーマは” FISHERMAN ” 。英国や北欧の漁師さんが着ていた「フィッシャーマンズセーター」という、防寒性の縄編みセーターをモチーフにしたデザインで、フィッシャーマンセーターに見られる柄や荒々しさ、色使いなどをデザインソースにシンプルな中にも奥行きのある商品に仕上げました。
ウィルトンカーペットとは、希少性の高いブリティッシュウールを使い、産業革命時代のイギリスで生まれたウィルトン織機で織り上げたもの。ウィルトン織はウールの長さを自由に変えることができ、表面に変化をつけることができるので、ウィルトンカーペットでしか表現できない織デザイン、色、が楽しめます。また、ウールが底面まで縫いつけられているため、耐久性高く長く付き合うことができるのも特徴。「影」「グレイッシュ」「質感」の3つを軸に、ウール素材を厳選し、糸の太さや撚糸、染色、織り、様々なチャレンジを繰り返しつくられています。
ウールは、全て英国産。かつて、羊の綿はダイヤモンドや金と同じくらい高価なものでした。その価値の高さを証明するかのように、今なお「英国羊毛公社」という公的機関が輸出・販売を管理しています。ブリティッシュウールの流通量は世界でもわずか1%程と言われている中、最も流通しているのが「BLACK FACE(ブラックフェイス)」という種類の羊。山岳で育つため、しっかりとした感触で反発力に優れているのが特徴。1本1本が太く、繊維の長さは200ミリから300ミリにもなります。毛の反発力が耐久性にも直結するラグには、英国産の羊毛が欠かせません。この丈夫な羊毛を使っているからこそ、踏んだ時にも心地良く、弾力性のあるラグに仕上がります。
1962年創業。50年以上の歴史をもつ大阪・和泉市にあるカーペットメーカー「堀田カーペット」。高品質のウィルトンカーペットを作っており、丈夫さと確かなクオリティーが評判。創業以来、高級ホテルやブティック、官公庁施設、住宅など様々な内装に携わっており、独自の糸の開発や織りの技術はこのような特注カーペットで鍛えられ、今も尚開発が続けられています。糸から作り、染色、製織、補修、加工、検査出荷、刺繍まで行う、国内でも数社しかない企業。
住宅の敷き込み用カーペットが少なくなっている現代、ウールカーペットの心地よい暮らしを伝えていくため、ファッションのエッセンスをインテリアに取り入れた、ウールラグブランド「COURT」を立ち上げ。一般のご家庭でもウールカーペットの美しさや快適さをを味わっていただきたいという思いの込もったブランドです。
カーペットを作るには、イギリス生まれのウィルトン織機という機械を使用します。1800年代のイギリス産業革命の時代に開発された歴史的な織機で、国内ではもう20台しかない貴重な織機です。ウィルトン織機ならではの豊かな表情や繊細なデザインを表現できるのが特徴で、堀田カーペットでは50年ほど前に日本で生産されたウィルトン織機を何度もメンテナンスをしながら大切に使用しています。
この特別なウィルトン織機を作っている会社は、現在世界でもヨーロッパに数社残るだけで、これからも、今ある織機を丁寧にメンテナンスしながら使っていかなければなりません。熟練の技術が必要で、職人達が8台の機械を使って、毎日丁寧に製織しています。
ウィルトン織機は、「織工」と呼ばれる職人が、1台に対して1人必ず必要です。織工は目で糸を確認し、耳で織機の音を聞き、感覚を研ぎすませながら製織していきます。熟練の技術が必要で、操れる職人も国内でたった20人ほど。一人前の職人になるには10年ほどの年月がかかります。 使っている機械も時には機嫌が悪くなったり、パーツが折れて部品がなくなったりすることもしばしば。ほぼ毎日壊れるため、稼働率は決して高くありません。小さな修理をいくつも重ねて感性を磨いていく、これも熟練した職人技の1つです。
製織工程ではウールの糸だけではなく、表面からは見えない糸も含めて最大10000本くらいの糸を同時に織り込んでいきます。シャトルと呼ばれる緯糸(ヨコ糸)を飛ばす道具、ジャカードと呼ばれる柄出し装置、織機のセットアップ、少しでもタイミングが狂うと織ることができません。
堀田カーペットでは、ものづくりにこだわるため、羊の毛を使って糸から生成します。羊は世界に3000種類生息しているといわれ、それぞれの種類によりその毛並みや質感、色、膨らみなどの異なった特徴が見られます。協力紡績工場と一緒に、様々な羊毛の種類から素材を吟味。
どれくらいの太さの糸に仕上げるかを検討し、世界中から集められた羊の綿が、自然の中で混ざった雑草などを取り除かれ、1本の均一な太さの糸が作られます。
一般的には糸になった状態で染色しますが、羊の綿の状態で染色し、それらを混ぜ合わせて糸をつくる「綿染」という手法もあります。染色工程での工夫でも様々なバリエーションの糸をつくることができ、1商品に対して使う色は、9色から16色ほど。繊細で高度な染色技術や丁寧な工程を重ねているから、色に奥行きが出て、ここにしかないラグが出来上がります。
INTERVIEW
1-1
ABOUT
COURT
- 今回、私たちのお店でも販売させていただくことになった「COURT」ブランドについて、コンセプトや経緯を教えていただいてもいいでしょうか?
元々、「COURT」をやり始めた時にファッションのエッセンスを取り入れるというのを一貫したコンセプトにしよう、というのは決めていました。第1弾は「FISHERMAN’S COURT」というコレクションになるんですけど、イギリスの漁師さんが来ていたフィッシャーマンズコートを参考に、元々編み物で表現されていた柄をカットして織物で表現するということをやっています。
エンドユーザーさんからすると「ハッ?」というような話だとも思うんですが、「編むこと」と「織ること」は根本的に工法が違っています。「編む」っていうのは1本の糸をひたすら編んでファブリックにしていくんですが、「織る」のは何本もの糸を一緒に織り上げていく工法なのでそもそも作り方が全く違うんですよ。考え方が違うんです。だから、織物の柄を編み物ではなかなか表現できないし、編み物の柄を織物では表現できません。それは、それぞれ得意分野があるということなんですが、「編み物の柄っぽいものを織物でどう表現するか」ということを一生懸命開発しています。まぁ、これをやるだけで1年半かかっていますね。
INTERVIEW
1-2
ABOUT
COURT
- 試行錯誤されるなかで苦労されたことはたくさんあったと思いますが、特に印象に残っていることはありますか?
元々うちが開発している当初は、セーターみたいな柄というコンセプトではなくて「ファブリックっぽいものを作りたい」ということが頭にあったんですね。カーテン生地みたいなものを作れたらかっこいいよね、と思っていたんですよ。そもそも、「カーペットとファブリックって何が違うの?」って考えたら、やっぱり「細かさだよね」という話になって、細かさの究極をやっていこうとして細かい柄を作っていたんですけど、どんなに作ってもカーペットにしか見えないんですよね。「これは、だめだ」と。それで、とある時に一緒にやっていたデザイナーが「ザクッとしたものを作ったほうが、ファブリックっぽく見えるんじゃない?」という話になってから、現在のコンセプトに行き着いた感じですね。
- 最初はファブリックから始まって、フィッシャーマンズセーターに行き着いたのですか?
はい。だから、コンセプトありきというよりも、ものづくりをしながら何であるべきなのかを考え続けてきたという流れなんですね。それが1つ目の苦労で、2つ目は「色をどうするか?」という時に、フィッシャーマンズコートはちょっと変わった染め方をしています。一般的にはどんなファブリックでも「糸染め」という糸になった状態で染めるんですよ。でも、白い羊の綿を糸にして白い状態のものを赤に染めるというやり方をするんですが、これは違っていて「綿染め」という手法を使っています。ハリスツイードの生地とかも同じような作り方をするんですけど、白い綿を予め20色くらい綿の状態で染めておいて、染めたものを混ぜ合わせて、1色の色を作っていくという手法です。
なので、ものすごいメランジ感のある色が出るんですが、こういうことをやろうとすると、綿染めをやらないといけないんです。「糸染め」は1色でブルーだったらブルーにしか染まらないんですが、綿染めだとこういうことができます。綿染めは開発が大変だし、仕入れる時のロットがでかいんです。ラグでいうと、1色作るのに200枚作らないといけない。カラー展開を広げるとずれば、200枚、200枚、200枚と作らないといけなかった。「それはやばいね(笑)」ってなって、初めはやりたくなかったんですよ。だから、当初は糸染めで同じようなテイストのものを作っていたんですが、やっぱりどんなにやってもできないという話になって。あとはやっぱり「糸そのものから開発しなきゃいけない」というところに行き着きました。
「じゃあ、綿染めやろう」ってもう覚悟を決めてやり始めました。綿染めをやる時には、それこそハリスツイードの生地や、アパレルで使われてるような生地をたくさん持ってきて、これとこれの中間くらいの色にしたいというような調整を染屋さんと一緒にやって、この色を作り上げてきたっていうことが2つ目に苦労したことかな。やっぱり、それだけ苦労して物が作られていくと「解」としてここにしかなかったというようなものができあがりました。世界でもなかなか真似できないような商品に仕上がったと思っています。
INTERVIEW
1-3
ABOUT
COURT
- 最終的に何色くらい使っているんですか?
16色ですね。1番プレーンに見えるやつでも、9色位は使っていますね。
- フィッシャーマンズコートにおいては、大体9~16色の幅で使っているということですか?
当然、その中の1色が違う色になった時には全く違う色が出てくることになるので、この色に近づけていくということも染屋さんの技術があってこそできるんですよ。奥が深いんです。
- 近くで見ると結構強い色が入っているのに、離れたらわからないって不思議な感じですよね?
だから、それを綿の状態で見たらびっくりしますよ。コレクションの中では1番苦労したし、立ち上げの商品でもあるので妥協したものは作りたくなかった。僕らにしか作れない製品をやりたかったので、思い入れが強かったんですよね。やっぱり初めてのコレクションだったので、強い思いの中で作ってきました。あと、もう1 つは「柔らかさを追求した」というのがあります。柔らかいということは耐久性があまり無いということもあるんですね。だから、それをどうやって解決しようかという中で、このネイビーの場合、割ると中にアイボリーが入ってるんですけど、これだけでかいループがあるってことは踏んだら潰れやすいじゃないですか。だから、潰れないように「隠しパイル」という下押さえしてやるような糸をあえて入れるっていう織り方をして耐久性を上げました。
同じコレクションでも違う織り方をしているんです。そんなんは一杯ありますよ。例えばですけど、こことここのラインって織り方が違ってますよね。それは縦のストライプを強く見せたかったからなんです。これって横ライン見えてないでしょ? それぞれ1枚1枚に対して、織り方を工夫しています。
- 1個の型が出来たからシリーズはこれで統一するというのではなくて、本当に1つ1つやっているということですか?
はい。だから、1つの柄に対して1色しかないっていうのも、この色に1番合う柄が何なのかというのを追求した結果なんです。本当に細かいことをやり続けてきた結果、ここまで行き着きました。ファーストコレクションの完成まで1年半ほどかかったと思います。
INTERVIEW
1-4
ABOUT
COURT
- ちなみに、ご自身が個人的に影響を受けたファッションアイテムはありますか?
アイテムではなくブランドですが、「S.E.H.KELLY」っていうロンドンのテイラーですね。ポール・ビンセントって奴がディレクターをやっていて、そもそも「S.E.H.KELLY」に出会わなければ、「COURT」というブランドがなかったというくらい、僕は影響を受けました。作っているアイテムは、めちゃくちゃドノーマルなものしかないんですよ。紺のジャケットとかシャツとか。でも、ひたすら素材にこだわってモノが作られていて、「究極の定番」だなと思えるようなものを作っているんですよね。決して安くはないんですけど、いわゆるグッチやプラダみたいなスーパーブランドとは違って、とにかく自分たちが良いと思うものを作っているブランドで、そこの商品やWEBとか全部のテイストに出会った時に、「COURT」が目指すべきブランドは「S.E.H.KELLY」しかないって思いました。
- 路地裏では人目につかなさそうですよね?
びっくりするくらい、もうよくこんな所でやってんなぁぐらいの小さいお店で(笑)
- ポールさんが1人でやってるんですか? また実際にお会いする機会などあったのでしょうか?
ポールと奥さんのケリーが一緒にやっています。1回目に行ったときにはポールに会えなかったんですが、2回目にロンドン行く機会があったときにはポールに会えて、「今度、日本に来たら来てよ!」って言ったら、「行く行く!」みたいな感じで返してもらえました。
INTERVIEW
2-1
ABOUT
HOTTA
CARPET
- 若い人に受け入れられるために、何か工夫されていることってありますか?
WEBを見て、お洒落って思っていただくことしか無いのかなと思っています。僕らが今やっているものづくりの話を、10代20代の人が聞いて真剣に聞いていただける話かというと、正直難しいものがあると思っているんですね。でも、永く愛されることは、本質的に良いものを作ることだと思うんですよ。だから、ひたすら良いカーペットって何なんだろうっていうことを考えて作っているし、自分が良いと思わなければ作らないし売らないし、ぼくはそれが永く愛されるための絶対条件だと思っています。若者にどうやってアプローチするかっていうと、正直若者にアプローチしようというつもりでモノは作っていません。でも、当然誰かに届かない限り物は売れないわけで、届かせるためにデザインとかも含めてお洒落なものづくりをするっていうことは意識しています。
でも 、根本的にそれは2番目ですね。良いものを作って、それをどう表現するかっていうことを考えた時に写真だったり、他の手段を使って「いいね」と思ってもらうためにはビジュアルが大事だとは思っているので、WEBの作り込みやインスタなどのSNS含めて大切にしていきたいとは思っています。ただ、若者に寄り添いたいとは思っていないですね。僕らはものづくりをいかにして伝えていくかしか考えていないです。お客様が何を求めているかということを考えて物を作ったことはないです。傲慢な言い方かもしれないですけど、良いものを作ることが結果的にお客様に感動して頂ける手段だと思っているので。
INTERVIEW
2-2
ABOUT
HOTTA
CARPET
- 職人の方が1人前になるのに10年以上かかるのはものすごく大変なことだと思うのですが、育成のために気をつけていることはありますか?
正しいかはわからないんですが、育成のために工夫しているということはないです。ただ、新しいものを作ることをやり続けることを意識していますし、この技術は残さないといけないと思ったら継続するにはどうすれば良いかを考えます。だから、商品展開を考える時に、売れていないけど廃盤するかという判断を迫られた時に、「廃番したらこの技術は二度と復活できない」と思ったら続けますね。
- 堀田社長が小さい時から働いている方もいらっしゃるんですか?
まだ何人かいてくれていますね。うちは基本的に定年はあるんですが、その後は嘱託社員として65歳まで普通に来ていただいてますし、その後も元気でいる限りは外注契約をしています。今、1番下は19歳、一番上は74歳までいます。年齢幅は広くて、新しい人を定期的に入れていかなきゃいけないわけで、入れるためにはいい会社じゃないといけないわけですしね。良い会社って何なのか、みたいなことも考えなきゃいけないので。育成のために何かをするわけではないけど、ただただ当たり前のことをやっています。引退に近づいているパートさんもいるので、今のうちに教えてもらえることは教えてもらえということで、織機の入れ替えがあるんですけど、織機は全部同じように見えて、1つ1つクセがあるんです。
あえて、何年かに1回入れ替えて、いろんな織り機を使わせてみるみたいなことはやっています。僕らの機械って、58年前から使っていてほぼ変わっていないんですね。当然、形あるものはいつか壊れるんですけど、図面がないところから「これ作って」とお願いしたり、折れたりしたら補強を入れたりしています。精密機械だったらそういうことができないけれど、僕らでも手を加えていける機械なんです。職人によって違う直し方をしているから、動作が微妙に違うこともあります。そういう機械のバランスが全部違うわけですよ。モーター1つに対して、機械の動作は全部で11段階位に分かれているんですけど、歯車とか物理学の話で動いているだけなので。
あとは、結局職人の世界って、気合と根性じゃないけど、職人らしさとは何なのかみたいなことをひたすら考えるべきだと思うんですよ。背中見てついてこいも僕は有りだと思っているんですよ。だから、年に1回堀田カーペットアカデミーというものをを始めました。自分たち自身で職人のあるべき姿を考えてもらえば、結果的に技術の継承につながっていくと思っています。
堀田 将矢 MASAYA HOTTA / 堀田カーペット株式会社 代表取締役社長
1978年大阪府生まれ。北海道大学経済学部卒業後2002年にトヨタ自動車株式会社入社。2008年に堀田カーペット株式会社に入社。2017年2月3代目代表取締役社長就任。2016年にウールラグブランド「COURT」を立ち上げ、全国の家具店や雑貨店でお取扱いいただいている。また、自邸「カーペットの家」を2015年に竣工し、自ら「生活者」としてカーペットの暮らしを体感し、カーペットの暮らしのショールームとしても、多くのお客様にカーペットの啓蒙活動を続けている。
[ 140cm×100cm ]
[ 200cm×140cm ]
[ 200cm×200cm ]
[ 200cm×250cm ]
[ 200cm×300cm ]